■高評価だったもののセールス的にイマイチだったクルマ5選
自動車メーカーは莫大なお金と、長い時間をかけてクルマの開発を行なっています。
世代を超えて愛される? 「ガンダムっぽい」クルマ5選 メカメカしい、まるでモビルスーツ!
ところが、販売台数が低迷してしまうクルマは確実にあります。世間的に高い評価を得ていても、さまざまな理由で販売につながらないというケースもあるので、ヒット商品を作る難しさが理解できます。
そこで、これまで販売されてきたクルマのなかから、高評価なのに売れなかったモデル5車種をピックアップして紹介します。
●ホンダ「ジェイド」
2015年に発売されたホンダ「ジェイド」は、中国での販売を主眼に置いたステーションワゴンタイプのミニバンです。5人乗り2列シートと6人乗り3列シートをラインナップし、リアドアはスライドドアではなく横開きドアとなっています。
ジェイドの魅力はというと、低い全高と優れた足回りがもたらす走りの性能です。
現在は少数派の4輪独立懸架でリアにダブルウイッシュボーンを採用しており、重心の低いボディは山道などで威力を発揮します。
また、使い勝手という点では1540mm(RSグレード)という全高は、ほとんどの立体駐車場(機械式)に駐車が可能で、これは3列シート車ではジェイドのみとなっています。
また、パワートレーンはパワフルな1.5リッターターボのガソリンエンジンと、経済的な1.5リッターハイブリッドが選べるなど、致命的な欠点は見当たりません。
ところが、販売台数は低迷を続けています。おそらく同社の「ステップワゴン」「フリード」という存在があるということと、スライドドアではない点はファミリー層からは敬遠されてしまいます。
それらを踏まえてホンダはジェイドに2列シート車を加えましたが、販売台数は現在も盛り返してはいません。
●三菱「FTO」
1990年代、三菱は高性能セダン「ランサーエボリューション」や、高性能クーペ「GTO」など発売するなど、ハイスペック路線を拡大していきました。
そうした流れのなか、1994年にスタイリッシュな2ドアクーペ「FTO」を発売。
駆動方式はFFながら、200馬力を発揮する2リッターV6エンジンを搭載するなど、スポーツモデルに仕立てられ、足回りのセッティングも秀逸と話題になり、コーナリング性能の高さも評判になりました。
同年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しましたが、数少ないスポーツモデルの受賞とあって、自動車専門誌はこぞってFTOを取り上げたほどです。
これほどまでに評価が高かったFTOですが、販売は苦戦してしまいます。同年代のライバルに日産「シルビア」やトヨタ「セリカ」、ホンダ「インテグラ」などがあり、ライバルに対しての決定的なアドバンテージになるような「武器」がなかったからかもしれません。
そして、発売から6年後の2000年にフルモデルチェンジすることなく生産を終了します。
●日産「ブルーバード」
初代ブルーバードは1959年に誕生し、2代目からはスポーティなグレードも用意され国内外のラリーでも活躍したことで、高性能セダンとして人気のモデルでした。
長い歴史を刻んできたブルーバードですが、1991年というバブル景気末期に発売された9代目ブルーバード(U13型)は、かなり迷走してしまったモデルといえます。
ボディタイプは、セダンの「SSS」(スーパー・スポーツ・セダン)と「EEX」、ハードトップの「ARX」を設定していました。
リヤサスペンションに採用された「スーパーアクティブトーコントロール」とボディ剛性の向上により優れた操縦安定性を実現。
また、世界初のアクティブノイズコントロール(エンジンのこもり音を逆位相の音で打ち消す技術)の採用などにより優れた静粛性も達成していました。
しかし、SSSグレードは北米市場を重視したため、米国ニッサン・デザイン・インターナショナルのデザインによるもので、曲線を多用し、これまでのブルーバードとは異質なデザインでユーザーから敬遠されてしまいます。
とくに後部に向けて下がっていくトランクのデザインは不評でした。結果、次世代のブルーバードはオーソドックスなセダンのデザインに戻されます。
じつは、この「尻下がり」トランクは過去にも失敗していて、2代目の410型もユーザーから不評で、マイナーチェンジでデザインを修正した経緯がありました。
歴史は繰り返されたということです。
■優れた運動性能やパッケージングが評価された2台
●ホンダ「レジェンド」
ホンダのフラッグシップカーとして初代「レジェンド」は1985年に発売。「アコード」は日米で好調な販売を記録していましたが、とくに北米ではさらに大型なモデルが要求されたため、レジェンドが企画されました。
代を重ねるたびにレジェンドは、より大きく快適なクルマへと進化していきましたが、大きく方向性を変えたのが2004年に発売された4代目です。
それまでFFの大型セダンだったレジェンドは、新開発の4WDシステム「SH-AWD(スーパーハンドリングAWD)」を搭載し、さらに280馬力自主規制が撤廃され、国産車で初となる300馬力を達成するなど、大いに話題になりました。
このSH-AWDは、前後輪と後輪左右の駆動力を制御することで、これまでにないほどの高いコーナリング性能を実現。一般道ではスポーツカー並のハンドリングと評価されました。
しかし、それほどのコーナリング性能がこの種類のクルマに必要だったのか。またデザインも押し出し感よりもスマートさを選択したため、大型セダンとしては線が細い印象でした。
マイナーチェンジでフロント周りのデザインが大きく変更されるなど、テコ入れが行なわれましたが、2012年に生産が終了してしまいます。
●トヨタ「iQ」
メルセデス・ベンツが販売しているスマート「フォーツー」や、かつて販売されていたスズキ「ツイン」のようなクルマをマイクロカーと呼びますが、どちらも2シーターです。
街なかを走る「足」としては十分な空間を持っていますが、2008年、トヨタはマイクロカーと同じような車体形状で4シーターとしたモデル「iQ」を発売します。
ボディサイズは全長2985mm×全幅1680mm×全高1500mmと軽自動車よりも40cm以上短く、このなかに4つのシートを収めるために非常に高度なパッケージング技術が注ぎ込まれました。
具体的な事例として、専用設計されたトランスミッションでエンジンよりも前輪を前に出し、エアコンのユニットも専用に小型化して助手席足元の空間を確保。
また、燃料タンクを床下に格納し、運転席・助手席シートバックの薄型化などで、4シーターを実現しました。ただし、快適に乗れる限界は大人3人と子ども1人の3+1のようです。
これほど小さいと安全性の確保も難しいですが、後席の乗員を追突事故時に保護する世界初の「リヤウインドウカーテンシールドエアバッグ」を全車に標準装備するなど、iQの開発には技術の粋が集められました。
トヨタの苦労の甲斐もあって、iQは2008年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、高い評価を受けます。
しかし、このサイズのクルマに4人乗車というのは一般にはあまり理解されず、そもそも軽自動車の方が使い勝手もよいはずなので、販売は低迷してしまいます。
※ ※ ※
今回紹介した5台はどれも完成度が高く、販売が低迷したのは非常に残念です。
新型車の発売は、ニーズやデザインのよさ、経済性、動力性能、ライバルの存在など、いろいろな要因で成功の可否が決まりますが、この5台も出すタイミングによっては、違った未来があったのかもしれません。
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