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スポーツバイクに勝てるネオクラシック!──往年の名車の名を冠したトライアンフ・スピードツインに試乗する

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スポーツバイクに勝てるネオクラシック!──往年の名車の名を冠したトライアンフ・スピードツインに試乗する

スピードツインは「ネオクラシック」あるいは「モダンクラシック」などとカテゴライズされるモデルだ。つまり現代のメカニズムを往年の名車をモチーフにしたスタイリングで包んだバイクのことである。とくにビッグバイク市場においてはネオクラシックがトレンドとなっており、ドゥカティ・スクランブラーやカワサキZ900RSなどは、発売と共にたちまち人気車種となっている。

もっともトライアンフというメーカーは、こうした流行が生まれる前からこの手の懐古調モデルを主力製品にしていた。一度は倒産したトライアンフが紆余曲折を経てヒンクレーに新たな工場を建設し復活したのが1990年。95年には「サンダーバード」という50年代に一世を風靡した名前を冠したモデルを登場させている。これは随所に往年のディテールを取り入れたスタイリングに最新の水冷並列3気筒DOHCエンジンを搭載した、いわばネオクラシックの元祖的存在だった。

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スピードツインにもモチーフとなった"元ネタ“が存在する。1938年に登場したオリジナルの「スピードツイン」は、単気筒エンジンが主流だった時代に2気筒エンジンを採用し、その高性能によって商業的に大成功を収めたモデルとして知られている。とはいえ、いくら何でもガーターフォークにリジッドサスペンションという戦前のモーターサイクルの姿をそのまま再現させられる訳はなく、あくまでネーミングと理念を受け継いだ、ということだ。

受け継がれた理念を解釈するなら、「軽量でコンパクトな車体」ということになるだろう。クラシックバイクに関する文献によると、オリジナルのスピードツインは単気筒エンジンに匹敵する軽量コンパクトなツインエンジンによって、群を抜いたパフォーマンスを実現していたという。

新型スピードツインのエンジンはスラクストンなどにも採用される1200ccの水冷並列2気筒エンジンだが、マグネシウム製カムカバーや新設計エンジンカバーの採用などにより2.5kgの軽量化を果たしている。フレームはトライアンフのクラシックシリーズの中でもっともスポーティなスラクストンRのものがベースだが、これも一部の部材をアルミニウムに変更するなどしてさらなる軽量化が図られている。

端正かつ古典的な造形のエクステリアを眺め、何の覚悟もなく走り出したら、その強烈なパワーにのけぞった。1速でラフにスロットルを開けようものならリアタイヤが一瞬ホイールスピンし(すぐにトラクションコントロールが介入するが)、「ばちーん」とパチンコで弾かれたように猛然と加速する。2速に入れてもフロントタイヤが浮くようなトルク感は途切れない。思わず「はえ~」と声が出た。

排気音も素晴らしく気持ちがいい。「ズパパパッ」という大排気量バーチカルツイン特有の重低音の効いたエグゾーストノートが強烈な加速を伴って鳴り響き、ライダーの口元は緩みっぱなしになる。

速さの理由はごく単純なことだ。このクラスとしては超軽量な200kg以下の車重と、112Nmという大トルクを4950rpmで発揮するエンジン。これで遅い訳がない。とくに体感的な速さには低回転域でのトルクの大きさがものをいう。

それにくわえて、一塊の金属を思わせるソリッドで強靭なシャシーが大パワーをあますところなく路面に伝達する。ハンドリングはかなりシャープだが、急加速や急ブレーキ、急旋回をくれても破綻するような動きがなく、どんな状況でもコントロールできるという自信をライダーに与えてくれる。車体のコンパクトさもそう感じさせる理由のひとつだ。

リアサスペンションはツインショック式にするなど、トラディショナルな様式を踏襲しているものの、パフォーマンス的には例えばドゥカティ・モンスターのような現役バリバリのスポーツモデルと遜色がない。このような全域でパワフルな特性のエンジンというのは街乗りでも意外と扱いやすく、楽しく走れる。ある回転数を超えると意図せず急激にパワーが炸裂するような危なっかしさがないからだ。

ネオクラシックモデルの魅力はレトロなスタイリングと現代的パフォーマンスの融合にある。前述の通り、スピードツインはそもそもオリジナルモデルに似せようと思って作られてはいないが、そのスタイリングはやはりどこからどうみてもトライアンフ的に見える。伝統のバーチカルツイン・エンジンを除けば「これぞ」というシンボルがある訳ではないのにじつに不思議だ。ネオクラシック一筋25年の年季は伊達ではないということか。

丸型のヘッドライトやティアドロップ型の燃料タンクなどは、ボンネビルやストリートツインなどと同じクラシックな意匠だが、よりモダンでスポーティな印象を受けるのは、シートやフェンダーなど車体の前端、後端にある部品を切り詰めているからだ。重量物を車体の重心付近に集めるのは近代のスポーツバイク設計における重要なテーマだが、それを視覚的に表現しており、それゆえ単なるクラシックではない、ネオでクラシックなスタイリングへと巧みに変貌させている。

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