本店は窮屈な販売活動を強いられているケースも
メーカー系新車ディーラーは、各地の有力企業(必ずしも自動車関係ではない)が、メーカーから決められた地域(たとえば各都道府県内など)においての販売代理権を与えられ、オーナーとなって新車ディーラーを経営する「地場資本系」と、メーカーと資本関係のある子会社のような関係となる「メーカー直資系」とがある。
いずれも、新車の受発注や保険契約のとりまとめを行う本社業務を兼ね備える「本社営業所(本店など呼び名はいくつかある)」のほかに、営業所や支店などと呼ばれる複数の店舗が営業地域内に設置されている。
新車購入の時に、「どうせなら本社営業所のほうが値引き条件がいいのではないか」と考えるひともいるが、新車販売業界に詳しいA氏は、「セールスマンから聞いた話では、本社営業所だと、ショールームの上などにある本社オフィスに社長などの重役や、エリアマネージャーなどの“お偉方”が多くいて、たまにショールームに降りてきたりするそうです。そして販売手法などにあれこれ口を出してくることもあるようで、いつも監視されているようで窮屈だと言っていました」とのこと。
年度末決算セールなど、タイミングによって好条件が出やすくなること自体はほかの営業所とは変わらないようだが、ほかの営業所にはない“窮屈”な販売活動を強いられているようである。
エリア外から本店に行くとむしろ不利になる場合も
いまのようにディーラーのウェブサイトで店舗検索(自宅最寄りの店舗の検索)ができる前のアナログ時代には、「本社しか場所がわからなかった」として遠方からやってくるひともいたようだ。しかし自宅最寄りの店舗検索が自宅で簡単にできる今の時代では、生活圏に本社営業所がない限りは「何しにきたんだ」とか、「ウチの会社のほかの営業所とも商談していて、天秤をかけているのではないか」などと無用な勘ぐりもされかねないので、本社営業所で商談することが必ずしもベストな選択とはいえない。
しかし、本社営業所と至近距離にある営業所で聞くと、どうしてもお客が本社営業所に流れやすい状況はいまも変わっていないようである。そのため、ほかの営業所よりもフリーの来店客が多いので、そのようなお客を逃がさないためにも、好条件が出やすい環境は整っているようだ。日常生活圏内に本社営業所があれば試しに訪れてみる価値はありそうだ。
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