■それ違反なの?忘れてしまいがちな高速道路の交通ルール
クルマでの長距離移動の時間をグンと短縮してくれる高速道路ですが、そんな便利な高速道路にも交通ルールが存在します。そこで今回は、高速道路でうっかりやりがちな交通違反についておさらいします。
「知らなかった!」では済まされない! うっかりやりがちな交通違反5選
●追越車線をずっと走る
高速道路の一番右側の車線は、通称「追越車線」と呼ばれています。この追越車線を、前車を追い越す以外の目的で走り続けているクルマを見かけたことはありませんか?
追い越しするために車線変更をしたけれど、うっかりそのまま走ってしまったという方もいると思いますが、追越車線を走り続けるという行為は、「通行帯違反」に当たります。
この「通行帯違反」について道路交通法の第二十条一号には、以下のように明記されています。 「車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に3以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。」としています。
この法令によると、3車線以上の道路では車両は一番右の車線を通行してはいけない決まりとなっています。
また、追越車線を通行していい場合の条件として、第二十条三号では、「車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。」とも明記されています。
これによると、追越車線を走行できるのは、追い越しを行う場合や緊急車両などに道を譲る際、道路の交通状況などでやむを得ない場合のみなのです。
「通行帯違反」の罰則は、行政処分:基礎点数1点、反則通告制度:大型車7000円、普通車6000円となります。
取り締まりを受ける距離について明確な決まりはなく、警察の判断に委ねられているので、前の車を追い抜いたらすぐに元の車線に戻ることを心がけたいです。
●左から追い越す
車速の遅い前方の車を追い抜こうと追越車線に移動した時、その追越車線にノロノロ走るクルマがいた場合に、走行車線に戻って左側から追い抜きをかけることがあると思います。
そのようなケースで、速度の遅いクルマを追い抜いた後に、すぐに追越車線に戻るのは「追越し違反」にあたります。
この「追い越し違反」についての法令が明記されているのが、道路交通法第二十八条一号です。
「車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両の右側を通行しなければならない。」となっています。
そうは言っても、ゆっくり走る前の車両を左側から追い抜くこと自体が違反という訳ではなく、左側から追い抜きした後に、そのまま走行車線を走っている分には全く問題はありません。
これについては第二十八条二号に、明記されています。「車両は、他の車両を追い越そうとする場合において、前車が第二十五条 第二項又は第三十四条 第二項若しくは第四項の規定により道路の中央又は右側端に寄つて通行しているときは、前項の規定にかかわらず、その左側を通行しなければならない。」
ちなみに追い越し違反の罰則は、行政処分:基礎点数2点、反則通告制度:大型車1万2000円、普通自動車9000円となっています。
■勘違いから起こる交通違反も…
●最低速度以下で走る
高速道路でやってしまいがちな交通違反というと、誰もがスピード違反を思い浮かべると思います。また、自分はそんなに飛ばさないから問題ないと思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし高速道路ではスピード違反の逆で、「最低速度違反」でも取り締まりを受けることがあります。
高速道路の最低速度は時速50キロと定められているので、それ以下の速度での走行は違反になってしまうのです。
「最低速度違反」についての法令が明記されているのは、道路交通法第七十五条四号で、「自動車は、法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、高速自動車国道の本線車道(政令で定めるものを除く。)においては、道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間にあつてはその最低速度に、その他の区間にあつては政令で定める最低速度に達しない速度で進行してはならない。」と定められています。
高速道路での走行は、速すぎても遅すぎても取り締まりの対象となることを覚えておいてください。
「最低速度違反」の罰則は、行政処分:基礎点数1点、反則通告制度:大型車7000円、普通自動車6000円となっています。
●逆走する
ニュースでも度々問題となっている高速道路の逆走ですが、どうしてそのような間違いが起こるのかと、不思議に思っている方も多いでしょう。
しかし、知らない街をクルマで走っていると、ふとした勘違いや焦りで起こってしまうアクシデントのひとつです。
逆走した場合に問われるのは、「通行区分違反」です。逆走をしたことで事故が起きなかった場合に問われるのは、本来の通行部分と異なる部分を通行したことへの罰則となります。
「通行区分違反」について明記されているのが道路交通法第十七条四号で、「車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄つて設けられている場合においては当該道路の軌道敷を除いた部分の中央とし、道路標識等による中央線が設けられているときはその中央線の設けられた道路の部分を中央とする。以下同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。」と定められています。
重大な事故につながる可能性が高い高速道路での逆走ですが、現在逆走に特化した法令は無く、意外に罰則が軽いと感じた方もいるのではないでしょうか。
しかし、事故を起こしてしまった場合の過失割合は原則「加害者(逆走):被害者=100:0」です。
なお、通行区分違反の罰則は、行政処分:基礎点数2点、反則通告制度:大型車1万2000円、普通自動車9000円となっています。
●バイクの2人乗り
一般道では、免許を交付されてから1年が経過すると可能となるバイクでの二人乗りですが、高速道路ではその条件が運転免許の交付から3年以上かつ20歳以上に変わります。
条件を満たしていない場合は「大型二輪自動車等乗車方法違反」に該当します。
道路交通法 第七十一条 四号四には、「第八十四条第三項の普通自動二輪車免許を受けた者(同項の大型自動二輪車免許を現に受けている者を除く。)で、二十歳に満たないもの又は当該普通自動二輪車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して三年に達しないもの(当該免許を受けた日前六月以内に普通自動二輪車免許を受けていたことがある者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、高速自動車国道及び自動車専用道路においては、運転者以外の者を乗車させて普通自動二輪車を運転してはならない」と明記されています。
「大型二輪自動車等乗車方法違反」の罰則は、行政処分:基礎点数2点、反則通告制度:1万2000円となっています。
高速道路では速度域が高い分、小さなミスが大惨事になりかねません。重大な事故が起きないように、まずは正しい交通ルールを確認してみてください。
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