フォルクスワーゲン・グループ傘下のなかでも、ブガッティは異色のブランドだ。2016年3月に発表された「シロン」は、3億円以上する価格にもかかわらず、多くのバックオーダーを抱えている。そのため、納車までに2年以上要するという。
また2018年3月には、シロンをよりスポーティに仕立てた「シロン・スポーツ」も登場した。さらに、同年8月にはアメリカでおこなわれた「ザ・クエイル、ア・モータースポーツ・ギャザリング」で、軽量化するとともにダウンフォース性能を高めた「ディーヴォ」がお披露目された。
13億円超のスーパースポーツはすでに売約済み!──ジュネーブ国際自動車ショー2019リポート【第20弾:ブガッティ】
ブガッティの公式発表によれば「シロンのオーナーを招き、ディーヴォの内覧会をおこなった結果、その場で40台のオーダーを受けました」とのこと。車両価格が6億円超するから驚くばかりだ。
販売好調なブガッティを現在率いるのがCEOのステファン・ヴィンケルマン氏だ。ブガッティ以前はランボルギーニに在籍し「アヴェンタドール」、「ガヤルド」、それに「ウルス」の開発を指揮した。
今回、ヴィンケルマン氏の来日に際し、インタビューをおこなった。まず、現行モデルについて訊いたところ、「シロンの納期が少し長すぎるので、なんとかしなくては、と思っています。シロンの魅力はW型16気筒エンジンが発揮する圧倒的なパフォーマンスと快適性を両立している点です。とくに快適性は、乗ってみないと理解出来ないかもしれません」と、話す。
東京・青山のショールームにあらわれたヴィンケルマン氏は、ダークスーツをすきなく着こなす。
「ブガッティの歴史を振り返ると、テクノロジーなどさまざまな分野で、ほかのメーカーをリードしていたと思います。いまのブガッティも、おなじようにリードすべきであると私は考えます。顧客を思えば、守るべきものと変えるべきものがあるはずですから見極めは重要です」
ヴィンケルマン氏は続けて、「たとえばデジタライゼーションの見極めは難しい」と、話す。近年、フォルクスワーゲン・グループの最新モデルは、メーターパネルに液晶を使う。ベントレーでさえ、最新のコンチネンタルGTはフルデジタルだ。
「ブガッティはアナログメーターのままでいいかもしれません。というのも、ブガッティは100年単位で後世に残るクルマを手がけているので、デジタルメーターよりもアナログメーターのほうが信頼性の点で向いていると思うからです。こういった歴史の重みを、ことさら意識させられたブランドは、私にとって初めてです」
ヴィンケルマン氏の話から思うに、ブガッティの商品は、”未来の過去”を存分に意識し開発されているのだろう。くわえてヴィンケルマン氏は、「“歴史”という点においてシロンは、1934年に登場した『T57』のデザインを一部取り入れています。ルーフ中央を前後に走るキャラクターラインや、円弧を描くウィンドウグラフィクスです」と、教えてくれた。
ここで筆者は、「ブガッティはSUVやEVを手がけますか?」と、訊いた。おなじフォルクスワーゲン・グループに属するベントレーやランボルギーニがSUVやEVを手がけるだけに、大いに気になる。
問いに対し、まずヴィンケルマン氏は「ブガッティがもっとも意識しているのは、創設者であるエットーレ・ブガッティ氏が、あらゆる分野に挑戦した事実です」と、答える。
続けて、「2021年までに、これまで手がけなかった分野にも挑戦していきたいと考えています。たとえば、自動運転技術などを含む先進技術も、これから挑戦するかもしれません。その場合、新技術を搭載するのは現行のシロンでなく、新型モデルになる可能性もありますよ」と、こたえた。
ブガッティの挑戦に、大いに期待したい。
【ステファン・ヴィンケルマンCEO 略歴】
ベルリン生まれ、ローマ育ち。ローマで政治学を修めたものの、キャリアのほとんどは自動車ビジネスだ。メルセデス・ベンツやフィアットなどでマーケティングやセールスを担当したあと、2005年1月から2016年まで、ランボルギーニの社長兼CEOを務める。アウディスポーツのCEOを経て、2018年1月にブガッティ・オートモビルのCEOに就任した。
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