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ボルボ240エステートを普段使いする!

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ボルボ240エステートを普段使いする!

あれはどの天皇の時代のことだっただろうか。「カメラマンのクルマ=ボルボ」という時代があった。

おぼろげな記憶によれば、それは80年代後半から90年代初頭、つまりは元号が昭和から平成へと変わっていった頃。「ボルボのワゴンにあらずんば横文字職業人にあらず」といった空気が世の中に蔓延していたのだ。

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その当時、フォトグラファーがこぞって購入したのはボルボの240エステートというステーションワゴンと、同じくボルボの740エステートまたは940エステートだったと記憶している。

だが今、つまり元号が再び変わろうとしている2019年春、240エステート以外の「当時物ボルボ」を街で見かける機会は少ない。

一世を風靡した740エステートや940エステートは、果たしてどこへ行ってしまったのだろうか?

いや……話はむしろ逆なのかもしれない。すなわち、前述3モデルのなかではもっとも古い設計である240エステートだけがなぜ、あれから約30年も経過した今なお愛され続けているのだろうか?

答えは「設計が古いからこそ残った」という、逆説的ながらシンプルなものであるのだろう。

ボルボ240シリーズは、やや大げさに言うなら自動車界のシーラカンスである。「生きた化石」ということだ。

その源流というか基本設計は、1966年登場の140シリーズまでさかのぼってしまう。1966年といえば、元号で言うところの昭和41年。大卒初任給が2万1600円、ラーメン1杯が約70円だった「大昔」である。

そんな140シリーズの基本設計を受け継ぎつつ240シリーズが登場したのは、1974年秋のこと。もちろんその後さまざまなマイナーチェンジは受けたわけだが、根本の部分はさして変わらないまま、240シリーズは1993年まで長らく製造され続けた。

そんな「大昔の設計」を持つ240シリーズは、大昔のモノであるゆえに、当たり前だがそのビジュアルは大いにクラシカルだ。

全長こそ4785mmとまずまず長いが、それに比して(現代の目線から言うと)きわめてナローな1715mmという全幅が「古典」を感じさせるのだろうか? わからないが、とにかく240は、特にワゴンの「240エステート」は、フォルムとディテールがかなりシブい。ローファイ系あるいはクラシカル系の物事を好む者なら男女問わず、好感を持たざるを得ない造形だと言える。

だが気をつけねばならないのは、ビジュアルと同時にその乗り味も大昔のものであるということだ。

あえて悪しざまに言うのであれば、240のエンジンフィールは最新ボルボのそれと比べれば耕運機のようであり、ハンドリングはお世辞にもシュアとは言えない。

だが、それでいて妙に安心して長距離を走りきることができ、そしてなぜか不満も覚えないのが、このクルマの不思議なところである。

いや正確に言えばこうだ。

現代のクルマに慣れきっている者であれば、240エステートを初めて運転した際に「なんだこりゃ?」と感じることだろう。だがしばらく運転していると「まぁこれはこれで悪くないのかもしれないな」と思いはじめ、さらに乗っているうちに飛ばす気が完全に失せ、のんびりと幸せな気分になる――というのが、ボルボ240エステートの実像だ。

もちろんボルボ240のこの部分(すべての動きが古くさく、でもなんだか妙に味があるという部分)が好きになれない者もいるだろう。そういった場合は当然ながらわざわざ絶版240エステートなど買う必要はなく、最新のXC60あたりを買うのが幸せへの近道だ。

だが世の中には「そういうの(モダンすぎるほどモダンなクルマあるいはその他の物事)はもうお腹いっぱいだよ」と感じている人間も一定数数はいる。

とはいえそういった人間が「じゃ、昔のボルボワゴンでも買ってみるか」と思ったとき、80年代に設計された740シリーズや940シリーズではいささか新しすぎるのだ。

いや、80年代だって今や十分「大昔」なわけだが、740や940のビジュアルや乗り味は、後の90年代後半ぐらいまでのクルマに通じる部分も多々ある。それは普通に考えれば「良いこと」なのだが、この場合に限っては「悪いこと」になる。クラシカルという意味ではいささか中途半端なのだ。「……これならいっそ新しいやつを買ったほうがいいかな?」と、どうしても思ってしまうのである。

だが240エステートは違う。流通している中古車は740や940のそれと似たような「89年式」や「91年式」あたりが中心なのだが、なにせ基本設計を受けた年代が大きく異なる。こちとら完膚なきまでの生きた化石である。

それゆえ、同時期に販売されていた740や940ではどうしても感じてしまう「現代的なクルマに対する未練」のようなものを、240では感じようがない。なぜならば「生きた化石」であり、現代社会と(ある意味)断絶しているからだ。

そんなボルボ240エステートというクルマに対し、我々が取れる態度は2つしかない。「無視する」か、「その世界に浸る」かの2択である。まぁ正確には「好意を持って傍観する」という第3の立場もあるわけだが、基本的には「買うか否か」に大別される。

「買わない」という選択も大いに結構だ。筆者も万人におすすめするつもりはない。だがもしも買うのであれば、そしてあなたがボルボ240というクルマの世界観にマッチするお人であるならば……幸せへの道は約束されたも同然である。

なぜならば、クラシック系ボルボの補修用パーツは、他ブランドのそれと比べてきわめて廃番率が低い。欠品しているものもあるにはあるが、たいていの補修用部品が今なお普通に入手可能なのだ。そして決して数多くではないものの、240の整備を専門あるいは得意としているファクトリーも全国に点在している。

さらに言えば、ボルボ・カー・ジャパンがオフィシャルに運営している「ボルボ・クラシックガレージ」という正規の整備販売拠点すらある。

そして何より、唯一無二といっても過言ではない素敵なビジュアルと、不思議な味わいを持つこれまた唯一無二の乗り味が、そこにある。

ダメな個体(具体的には妙に安すぎる中古車)をつかまず、「車両価格150万円以上」をひとつの目安としてボルボ240エステートを探せば、ある種の人は、ほぼ確実に幸せになれるはずだ。

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