■曖昧な知識が大事故を誘発
クルマを運転していると、後続車が車間距離を詰めて来て威圧感を感じさせられる。そんな経験をする事も少なくはありません。あおり運転とまではいかなくとも、車間距離を詰められるとなんだか急かされているみたいで焦ってしまいます。
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では、どこからが違反なのでしょうか。そんな、交通違反に関する素朴な疑問を5選として紹介します。
●歩行者がいる横断歩道への進入
街でよく見かける交通違反の1つに、歩行者がいる横断歩道への進入があります。何気なく行われているこの行為、実は交通違反。
横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいる場合、その進行を妨げるのは『横断歩行者妨害違反』にあたるのです。
道路交通法の第三十八条には、以下のように明記されています。 『車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない』
この法令によると歩行者がいる横断歩道では、進入前に一旦停止が義務付けられているだけでなく、一旦停止を行ったとしても歩行者の前を横切ること自体が違反となります。
さらに第三十八条の二では、『車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。』との決まりも明記されているので、横断歩道は進入時だけなく道路を横断しようとする歩行者を見かけた場合は全てにおいて歩行者を優先するという意識を持つことが大切なのです。
ちなみに、横断歩行者等妨害等違反の罰則は、行政処分:基礎点数2点、反則通告制度:大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、小型特殊自動車6千円、原動機付自転車6千円となります。
●夕暮れ時や夜間の無灯火走行
陽が落ちて、あたりが薄暗くなってからの運転時、うっかりヘッドライトをつけ忘れたなんて経験はありませんか。
クルマのライトをつけ忘れても都会など場所によっては明るく、インパネに設置されたメーター類なども発光するので、違和感なく走れてしまうのが実情です。そのため、気が付けば何キロも無灯火で走ってしまっているクルマも少なくはありません。
しかし、無灯火違反もれっきとした交通違反。しかも他者からクルマを認識しづらくなるなど、大事故につながる危険な行為。無灯火違反について定められているのは道路交通法第52条です。
『車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあっても、同様とする』
また、この場合の無灯火というのはヘッドライトのみではなく、スモールライトやテールランプなどのライト類も含まれる事が明記されています。
ちなみに無灯火違反の罰則は、行政処分:基礎点数1点、反則通告制度:大型車7千円、普通自動車6千円、二輪車6千円、小型特殊自動車5千円、原動機付自転車5千円です。
●後席のシートベルト未着用
運転席及び助手席のシートベルト着用が罰則付きで義務付けられてから30年以上が経過し、前席でのシートベルトの着用は当たり前となっています。実は後席でのシートベルトの着用も義務化されている事を知っていますか。
後席においての義務化は高速道路に限ってのものだと思っている方も多いと思います。
実際は、2008年の道路交通法改正で、運転者は自身を含むすべての同乗者にシートベルトを着用させることが義務づけられたのです。後席のシートベルト装着義務についての法律が定められているのは、道路交通法第71条の三の2。
『自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置に乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。)を当該乗車装置に乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない』と明記されています。
ちなみに、座席ベルト装着義務違反の罰則は、行政処分:基礎点数1点ですが、違反者がどの席に座っていたとしても罰則を受けるのは運転者となるので、その点もしっかり留意しておきましょう。
■まだまだあります、うっかり交通違反
●ランプの球切れ
さすがにヘッドライトが切れているクルマは見かけませんが、テールランプやブレーキランプの片側が点灯していない。そんなクルマは度々見られます。
運転中は、自分で確認する事ができないリア側のランプですが、電球の球切は整備不良。もちろん交通違反です。整備不良に関する法律が明記されているのが、道路交通法第六十三条。
『警察官は、整備不良車両に該当すると認められる車両(軽車両を除く。)が運転されているときは、当該車両を停止させ、並びに当該車両の運転者に対し、自動車検査証その他政令で定める書類の提示を求め、及び当該車両の装置について検査をすることができる。』
さらには『前項の場合において、警察官は、当該車両の運転者に対し、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図り、又は他人に及ぼす迷惑を防止するため必要な応急の措置をとることを命じ、また、応急の措置によっては必要な整備をすることができないと認められる車両(以下この条において「故障車両」という)については、当該故障車両の運転を継続してはならない旨を命ずることができる』と定められています。
また、整備不良においての罰則は、不良個所によっても変わってくるのですが、ブレーキランプの整備不良で、行政処分:基礎点数2点、反則通告制度:大型車1万2千円、普通車自動車9千円、二輪車7千円、小型特殊自動車6千円、原動機付自転車6千円。
テールランプの整備不良では、行政処分:基礎点数1点、反則通告制度:大型車9千円、普通車自動車7千円、二輪車6千円、小型特殊自動車5千円、原動機付自転車5千円です。
●適切な車間距離を取らない
クルマを運転していると、自分は法定速度で走っているにも関わらず、恐怖を感じるほどに後続車が車間を詰めてくる。そんな場面に遭遇する事も少なくはありません。
その行為は、あおり運転とまではいかないものの、その威圧感に焦ってしまい事故を誘発という危険性も大いにあります。
また、道路交通法でも車間距離に関する規定が設けられており、具体的ないやがらせ行為がなくても車間距離不保持違反に該当する可能性があるのです。車間距離の保持に関する決まりが明記されているのが、道路交通法第二十六条。
『車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない』と定められてはいるものの、明確な距離についての決まりはありません。
しかし、教習所で配布される教本に記載されている一般的な車間距離の基準は 以下の通りです。
・時速30kmから60kmの場合:「走行速度の数字 - 15」・時速60km超の場合:走行速度の数字と同じ
そのため時速30kmの場合15m、時速100kmであれば100mの車間距離が必要となります。
クルマを運転する際には、この基準を元に適切な車間距離を保つことが重要です。ちなみに、車間距離不保持違反の罰則は、高速道路で行政処分:基礎点数2点、反則通告制度:大型車1万2千円、普通車自動車9千円、二輪車7千円、小型特殊自動車6千円、原動機付自転車6千0円。
一般道路では、行政処分:基礎点数1点、反則通告制度:大型車7千円、普通車自動車6千円、二輪車6千円、小型特殊自動車5千円、原動機付自転車5千円です。
※ ※ ※
クルマを運転する上での交通ルールは、時代に合わせて少しずつ変化していきます。そのため、曖昧な認識のまま運転してしまっている方も多いのではないでしょうか。
しかし、事故が起こってしまうと「知らなかった。」じゃ済まされません。大事になる前に1度、最新のルールを確認して安全で安心なカーライフを送ってください。
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