いよいよ本日夕刻からジュネーブショーが開幕。各メーカーから力作が大量出品されるなか、注目したいのは新型ルノー・クリオ(日本名はルーテシア)。その新開発プラットフォームは、日産ジューク、そして三菱RVRにも採用される。(ホリデーオート3月号「ザ・スクープ」より抜粋)
遅れていたBセグ用CMF
ようやく市場に投入へ
日産ルノーがモジュラー式のプラットフォーム戦略=CMF(コモンモジュールファミリー)の導入を宣言して早くも7年近くが経った。2012年当時、クルマを設計・開発する場合は、プラットフォーム=車台と呼ばれるアンダーボディをベースに進めていくのが当たり前だった。いわゆる共通化だが、実際には車種ごとに細々とした設計変更が発生し、一見効率が良いようで実はコストが上がる要因となっていた。
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そこで品質の向上とコストダウンという相反する理想を実現するために日産ルノーが取り組んだのが、「モジュール化」である。車体の構造を「エンジンコンパートメント」「コクピット」「フロントアンダーボディ」「リアアンダーボディ」の4つのモジュールに分け、さらに、電子部品を共通化する「電子アーキテクチャー」を加えた4+1のモジュールを組み合わせることで、さまざまな車種/カテゴリーに対応するのだ。
この手法は2013年に発売されたエクストレイル(現行型)から採用が開始された。中型車=いわゆるC/Dセグメントから着手されたCMF戦略は、その後新興国向けのコンパクトカー用=CMF-Aに拡大された。
残るのは先進国のBセグメントコンパクトクラスに向けたCMF-Bだ。いままで採用されたCMF-C/DやCMF-Aは日産主導で開発されたと伝わるが、このBセグメント向けの開発はルノーが主導して行ってきたという。
ゆえにその最初の採用車が、今年のジュネーブショーでワールドプレミアされる新型ルノー・クリオ(日本名ルーテシア)となるのは道理だ。
新型ジュークもほぼ完成
生産工場に一抹の不安も
クリオに続くのが今年のフランクフルトショーで公開される可能性が濃厚な次期ジュークだ。コンパクトクロスオーバーのパイオニアとして、日本はもちろん、とくに欧州で大ヒットした現行モデルは発売以来9年が経過仕様としており、ユニークなデザインはいまも新鮮だが、こと走りについてはさすがに古さは隠せなくなってきた。
もっとも、すでに開発はほぼ終えており、あとは公開のタイミングを探している段階。ところがここで問題発生。英国のEU離脱である。本来であれば、新型ジュークは今年6月に英国サンダーランド工場で生産を開始する予定だった。だが、事態は流動的だ。この問題が決着するまで、安易に手は付けられない。となれば、本来は今秋から生産開始予定だった日本の追浜工場の生産が先に立ち上がる可能性もある。
ちなみに次期ジュークには、新開発プラットフォームのほか、新開発のエンジン&パワートレーン、進化したプロパイロット(運転支援システム)を採用するなど、すべてが一新される。中でも国内仕様で注目したいのは、新世代e-POWERの採用だ。発電専用となるエンジンにはVCR(可変圧縮比)が採用され、より発電効率に優れたものになると同時に、モーター出力も強化。先ごろ発表されたノートeプラスと同じものが採用される。もちろんノートのシステムを転用した4WD車もラインアップされるだろう。
トリをつとめる三菱RVR
4輪制御に独自技術投入も
そして2020年に発表されるのが、アライアンスに最後に加わった三菱の新型RVR。ジュークと同じタイプのクルマだけに、プラットフォームだけでなくパワートレーンなど多くを共用するものの、そこは4輪駆動技術に並々ならぬ情熱を注いできた三菱のこと、駆動制御に独自の解釈と技術を加えた三菱専用グレードが加わるという。詳細は不明ながら、おそらくはS-AWC関連の制御になるのではないかと思われる。
このように見ていくと、ルノー→日産→三菱ときれいに順を追ってリリースされることがわかる。まったく新しいプラットフォームゆえ、どんな仕立てで登場してくるかは未知数だが、プロパイロットを始めとする運転支援技術の進化も大いに期待出来そうである。
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