ホンダジェットの設計技術を反映
2月28日にホンダは、東京・青山にある東京本社にて2019年型の競技用車いすを発表した。ここでいう競技用とは「車いすマラソン」に使用するマシンのこと。じつはホンダグループは2輪、4輪、ロボット、航空機のほかに車いす競技にも積極的に参加している。
グループ会社のホンダ太陽の社員が1981年に開催された「第一回 大分国際車いすマラソン」に出場選手自らが資金を集め参戦した。だが、次第に有志が集まり現在のようにホンダが開発を行うまでになった。
プロジェクト開始当初の目標は「世界一軽い競技用車いすを作ろう!」だった。当時、他社があまり手をつけていなかった「アルミニウム」に目をつけ、翌年にはフルアルミニウムの試作車を完成させた。2000年にはフルカーボンのマシンを完成させるなど、選手の間でも大きな注目を集めていた。
今回発表された新型「翔(KAKERU)」は前モデルの「極(KIWAMI)」から、さらに軽量化・コーナリング性能を向上。選手からのフォードバックをもとに設計したという。
まずは大きく印象が変わったボディカラーだが、ドライカーボンのブラックからホワイトに変更。その理由は山本浩之選手から「夏場は(黒いボディが)熱を集めてレースに集中できない」という意見が出されたからだという。また、ホイールもドライカーボン製だが、横風対策としてフロントのみスポークタイプを採用している。
ちなみに「極」の車両重量は約8kgで、一般的な生活用車いすは約10~18kgである。
続いて、いままでボディ外側に露出していたステアリング周辺パーツをフレーム内に格納したビルトイン・ダンパー・ステアリングを採用し、操作性とデザイン性が向上している。
「2輪と4輪で培ったホンダの技術を反映させている部分は?」と開発に携わった竹中 透氏に質問すると「どちらかというと航空機の技術ですね。ホンダジェットのフレーム構造。つまり軽量化技術をこの新型のフレームに応用しました」と語る。
ホンダジェットの技術が投入された新型が東京パラリンピックで活躍する日は間もなく。ちなみに発売は4月以降を予定している。値段は未定だ。
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