確実に輸入車のシェアは増えている
もはや年齢層を問わず「クルマ離れ」が進んでいて、日本は新車が売れない市場になっているといいます。しかしながら自動車の保有台数が減っているわけではありません。クルマを手放しているのではなく、新車が売れないのは買い替えまでの期間が伸びていることによるという見方もあります。
【意外と知らない】輸入車はなぜ小型車でもハイオク指定なのか?
もともと、日本車には「壊れない丈夫なクルマ」というイメージがありました。丈夫だから長く使うことができ、買い替えサイクルが伸びているために新車が売れないというわけです。実際、近頃の平均使用年数(初登録から抹消までの期間)は約13年となっているのです。
しかし、丈夫で頑丈という日本車のイメージは、かつてほど圧倒的ではありません。輸入車であっても、理不尽に壊れるというケースは少なくなってきました。輸入車だから耐久性に劣るというイメージもなくなってきたようです。趣味性の部分における魅力もあり、日本市場においても日本車は輸入車に押されているような印象すらあります。では、実際に輸入車のシェアは拡大しているのでしょうか。
結論からいえば、新車販売における輸入車のシェアは増えています。登録車(軽自動車を除き、バスやトラックを含む)に限って新車販売台数を記せば、2018年に日本市場で売れた新車は334万7943台で、そのうち輸入車は36万6266台ですから、シェアは約10.9%となります。ちなみに、2017年のシェアは10.3%でしたから輸入車のシェアは明確に拡大しているといえます。
ただし、ここでいう輸入車のなかにはトヨタ、ホンダ、日産といった国産ブランドも含まれています。とくにホンダ・シビックの販売が増えたことが、輸入車シェア拡大につながっていると考えられます。
そこで、外国ブランドに限った販売台数を見てみると、2018年は30万8389台となっています。2017年は30万5043台でしたから、前年比でも伸びています。いわゆる“輸入車”のシェアは着々と増えているわけです。
大雑把にいうと、登録車のうち10台に1台は輸入車という時代になっています。とくに販売店が集中している都市部においては、輸入車を見かける機会が多く、日本車が押されているように感じるはずです。ちなみに、2018年でもっとも輸入車(乗用車)が売れたのは東京都の5万4996台、最少は鳥取県の849台です。
ドイツ勢が苦戦するなかアルファロメオやプジョーなどが善戦
そうした輸入車の中心といえば、「ジャーマンスリー」、「ドイツ御三家」などと呼ばれるブランドを思い浮かべるのではないでしょうか。2018年のランキングでいえば1位がメルセデス・ベンツ(6万7554台)、2位がフォルクスワーゲン(5万1961台)、3位にBMW(5万982台)と、まさしくジャーマンスリーが独占しています。それに続くのがアウディ(2万6473台)、BMWミニ(2万5984台)といった状況です。
しかし、それぞれ前年比を見るとジャーマンスリーは盤石とはいえません。プレミアムブランドながら販売好調なメルセデス・ベンツにしても前年比99.0%と頭打ちになっていることを感じさせます。ディーゼルゲートで2015年に販売台数を落としたフォルクスワーゲンは前年比106.0%となっていますが、BMWは同97.1%、アウディに至っては93.4%と減少傾向が見て取れるのです。
では、どのようなブランドが伸びているのかといえば、イタフラ系ブランド(イタリア・フランス)が目立っています。2018年の数字を見ていると目立っているのはジープ(1万1438台・前年比113.2%)、プジョー(9881台・前年比119.9%)、シトロエン(3564台・前年比113.1%)、アルファロメオ(2510台・前年比136.6%)といったところがシェアを増やしています。
多様性という言葉を見かけることが増えている昨今ですが、輸入車においても定番から多様化へとトレンドがシフトしているようです。もともと「他人と違うクルマに乗りたい」というマインドが輸入車を支えているという見方もありますが、定番となったブランドは差別化できづらくなり、どこかで頭打ちになるのは仕方がないのかもしれません。
輸入車が趣味性で選ばれているとすれば、まだまだ日本市場は、実用性という点では日本車にアドバンテージがあると判断していることになります。とはいえ、耐久性や利便性、そしてコストパフォーマンスといった実用面で日本車に匹敵する輸入車も増えてきています。趣味性というフィルターを外して輸入車と日本車が比較される時代は、遠からずやって来るのではないでしょうか。
※輸入車の販売データはJAIA調べ。登録車の販売データは自販連調べ
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