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業界ニュース 2019.2.25

ホンダが発表したイギリスからの撤退よりも重要な変革のポイントとは?

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■2年連続で日本一売れた「N-BOX」を生み出した手法が全面展開の予感

2月19日にホンダの八郷隆弘 代表取締役社長が『事業運営体制変更に関する』会見を行なった。ほぼ緊急記者会見といった趣で始まった記者会見の内容は各種メディアで報じられている通り。そうした記事のメインテーマは「イギリスの四輪車生産工場であるHonda of the UK Manufacturing Ltd.における完成車生産を終了する」こととブレグジット(イギリスがEUから離脱すること)の関係性を示すものが多い。記者会見で「撤退の判断にブレグジットは関係ない」と八郷社長が明言したが、言葉通りに受け止めるというムードはないようだ、

    ホンダ、事業運営体制の変更を発表 代表取締役社長 八郷隆弘氏によるスピーチ内容

ところで、記者会見での内容をじっくりと読み込んでいくと、イギリスからの撤退どころではない、ホンダの将来にとって重要な発表がなされていることに気付く。それは『二輪車・四輪車・パワープロダクツの各領域で運営体制の変更』だ。二輪部門については、二輪事業本部と二輪R&Dセンターを一体化することが発表された。商品企画、開発、生産・購買の関係を密にすることで、ビジネスのスピードアップを図ろうというものだ。まずは二輪部門からの改革となるが、将来的には四輪部門でも同様の改革がなされるという宣言と捉えていいだろう。二輪での改革は、本田技術研究所と本田技研工業の一体化への布石と考えることもできる。開発部門と製造・販売部門を別会社としていることがホンダの強みでもあったが、世界的なスピードアップの風潮に対して、それでは限界があるということなのかもしれない。

ちなみに、二輪で行なうような企画、開発、生産、購買の一体化を、ホンダでは『SEDBに一体化』と呼んでいる。SEDBは営業(Sales)・生産(Engineering)・開発(Development)・購買(Buying)のイニシャルをつなげたものだ。そして、このSEDBの一体化は絵に描いた餅ではない。すでに大きな成果を上げている。その代表例といえるのが軽自動車「N-BOX」の開発であろう。

N-BOXの誕生においては、東日本大震災により本田技術研究所(栃木県)が被害を受けたという外的要因もあって、開発チームが生産拠点となる鈴鹿製作所に移った。これによりSEDBのワンフロア化が実現。その体制は2代目N-BOXにも引き継がれている。そうして生まれた、現行N-BOXが2017、2018と2年連続で暦年での国内販売トップとなったのは明確な事実。この一例を持って絶対的な手法というのは乱暴かもしれないが、SEDBの一体化は商品力の向上につながると考えることは自然だろう。

では、SEDBの一体化にはどのようなメリットがあるのだろうか。少し前だが、N-BOXの開発責任者である白土清成(しらときよなり)氏に話を聞いたことがある。その中で出てきた話題のいくつかを整理してみよう。

たとえば、外野からすると購買部門というのは下請けから安く仕入れることが仕事と思いがちだが、そうではない。メーカーに食い込みたいサプライヤーは購買部門に最新技術をプレゼンテーションすることがある。つまり、新しい技術についての知見では開発部門より詳しいこともあるのだという。これまでSEDBがバラバラになっているときは購買部門がサプライヤーの新技術を知っていてもそれを開発部門に教えることはさほどなかったという。わざと教えないのではなく、どんな狙いで開発しているのかを知らなければ、なにが適切な新技術なのかを判断することはできない。しかし、SEDBの一体化が進むと、そうした情報も共有されることになる。リーズナブルに、最高の技術を採用することが可能になるのだ。

また、生産と開発がいっしょに考えることで設計の最適化も進むという。従来であれば生産部門に無理を言っていたような設計がなくなり、また生産の都合で設計を妥協することもなくなるのだという。効率よく、優れた製品を生み出しやすくなるというわけだ。実際、N-BOXではピラー部分にレーザーによるシームレス溶接が採用されている。手間のかかる手法だが、それが可能になったのはSEDBの一体化が貢献していることだろう。しかも、こうした手間をかけているにもかかわらず、N-BOXの溶接工程におけるタクトタイムは46秒程度と非常に短い。

こうして優れた製品を素早く作ること、素晴らしい部品を適切に仕入れることで、N-BOXの商品力はいっそう上がった。それが躍進につながっている。つまり、四輪においてSEDBの一体化は有効であり、まだ組織としては異なっているが部分的には始まっている。

八郷社長による『事業運営体制変更に関する』発表のメインは、SEDBの一体化であり、それはN-BOXにおける勝利の方程式を全社的に展開するという風にも理解できるのではないだろうか。

文:山本晋也
自動車コミュニケータ・コラムニスト

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