■左側に寄せる行為について意見が真っ二つに
交差点で左折をする際、手前でクルマを道路の左側に寄せる行為があります。かつてこの行為を巡って、ネットが騒がしくなったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。
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2017年の某日、ロードバイク(自転車)に乗った男性がSNS上に「クルマから執拗に幅寄せをされた」という内容の文章を投稿し、大きな波紋を呼びました。
投稿に対し、クルマ乗りの方から「バイクや自転車のマナーの悪さ」を批判するコメントや、バイク乗りの方からは幅寄せを「怖い」と感じたというコメントが寄せられていました。
「バイクのマナーの悪さ」を指摘するコメントのなかには「交差点手前でウインカーを出していても、隙間に飛び込んでくる」、「二輪車を巻き込んでしまった際の過失を考えると、幅寄せしてでも防衛をするのは当然」といった意見があり、クルマを道路の左側へと寄せる行為は必要と考えているドライバーが多かったようです。
対して、クルマが寄せてくる行為を「怖い」と感じたバイク側は、極端に幅寄せをされた経験や、左折するわけでないのに進路を塞がれたといった例を挙げています。
交差点手前での巻き込み事故を防止する観点から、左へ寄る行為は必要と考える人が多くいるなか、スピードが遅い原付バイクや自転車を前に行かせたくないと考えるドライバーもいるようです。
では、左側に寄る行為は、法律でどう規定しているのでしょうか。また、教習所ではどのような指導を行なっているのか、聞いてみました。
■法律の規定と教習所での指導はどうなっているか
SNSのコメントの中には、左折時に交差点手前で左に寄る行為を「教習所で習った」というコメントも多く寄せられていました。
道路交通法第34条では「車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない」となっていますが、左へ寄せることの理由や距離については明確には触れられていません。
そこで、教習所では左へ寄せる行為について、どのように指導をしているのか、大型自動車免許も取得可能な自動車教習所にうかがいました。
──左折時、交差点手前で左に寄る行為を、教習所ではどの程度寄せるように指導していますか。また、取得する免許の区分によって違いはあるのでしょうか。
全区分に共通していますが、法令どおり、あらかじめできるだけ左に寄るということです。
しかし、寄るという表現が危険なほど寄るととらえる方もいます。したがって目的としてはバイクが入らない程度という表現が適切だと考えていますが、どの程度寄るか明確にするのは難しいかと思います。
──大型車の教習ではどのような部分に注意していますか。
実際に免許を取得されて職業ドライバーになった方は、教習所で寄るという意識が徹底されていますから、必要以上に寄せてしまう、危険なほど寄せてしまう、ということが最初はあると所属会社の指導員の方から聞いています。
この意識を変えるには、寄るという表現が、二輪車を巻き込まないことが目的であると周知するのがポイントになってくると思います。
また、大型車については、大型車特有のミラーの見え方があります。左のサイドミラーが右のサイドミラーに比べて車体から離れた所に設置してあり、ミラーに写る二輪車が予想以上に遠く見えるものですから、そこを意識して距離感に気をつけるように指導しています。
※ ※ ※
同教習所によると、「こちらが先行しているから先に曲がるではなく、危険を感じるのであればバイクを先行させてから左折するといった指導もしています」とのことで、左側に寄せる行為をのみを指導するだけではないようです。
あくまでも巻き込みによる事故を防止する手段のひとつが、左に寄せる行為だと考え、それ以外の防止方法もありえるということです。
場合によってはバイクを先に行かせる事も必要だし、バイクや自転車もクルマの挙動を予想することが大事です。こうした譲り合いが事故を防止し、お互い危険を感じることもなく、安全で円滑な交通を図ることにつながるのではないでしょうか。
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