■チェーン装着による『過信』は禁物
従来、積雪・凍結している道路では、スタッドレスタイヤを履いていれば『安心』というイメージがありました。しかし、2017年1月・2月に異例な大雪となった際、スタッドレスタイヤだけでは、対処できず多くのクルマが立ち往生するという問題が発生します。
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これを機に、国土交通省は『チェーン規制』に関する発表を行うなどに発展していますが、『チェーンを装着したから大丈夫』といった過信は、新たなトラブルを生む原因となるのです。どのような危険があるのでしょうか。
タイヤにチェーンを装着する場合、FF車(前輪)、FR車(後輪)というふうに駆動輪につけることが基本です。4WD車(AWD車)では、クルマによって装着位置が異なり、積雪地方に強いイメージのあるスバル車では、『チェーンは前輪装着とし、後輪には装着しないで』とアナウンスしています。
一方で、日産「GT-R」やスズキ「ジムニー」などは、『チェーンは後輪に装着』と説明。各社の4WD制御システムによって、装着方法は変わってくるのです。
一般的なイメージとして、『チェーン+4WD』という組み合わせであれば、雪道でも心配いらないと思われがちですが、これには意外なトラブルとなる要素が存在します。
それは、4WD車(AWD車)にチェーンを装着すると、前後タイヤのグリップ力がアンバランスとなり、不安定な状態となるのです。そのため、積雪地に慣れていないユーザーが過信した運転をすると簡単にスピンする可能性が高くなるのです。
前輪にチェーンを装着した場合、前輪のグリップ力が高く、旋回時に後輪が流れスピンを誘発。チェーンを装着したことによる危険性について、スバル車の開発を担当する新田亮氏は次のように説明します。
「90年代のスキーブーム当時、チェーンを装着してハンドルを切った状態で発進するとクルリと回るという話が結構ありました。とくに、物理的に見ても前輪にグリップ力の高いチェーンを装着し、後輪はそのままの標準タイヤだと4WDはスピンしやすい傾向です。
スバルでは、その後のタイヤや車両の開発において『チェーン装着』という部分も考慮して開発をしています。スバルの4WDは、純正タイヤの雪上性能やチェーンの評価などを実施し、安心して雪道を走行できるように配慮しています」
※ ※ ※
また、モデルやグレードによってはチェーン自体を装着できないクルマも存在。トヨタ「C-HR」の18インチタイヤを履くモデルでは、『タイヤとボディの隙間が狭いため、タイヤチェーンを装着できない』としています。また、欧州メーカーの一部でもチェーンの装着不可を謳っています。
■施行された「チェーン規制」の実態とは
2018年11月に、国土交通省と警察庁は『大雪時における道路交の確保を図る』ことを目的としたさまざま取り組みを検討。そのひとつとして、『タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め』の規制標識を新設すると発表しました。
公表当時、各メディアは「チェーン義務化」と報道をしたせいで、ユーザーの間では誤った情報が拡散。実際の内容について、国土交通省の担当者は次のように説明しています。
「今回の発表は、タイヤチェーンを装着していない車両が通ってはいけない区間を、よりわかりやすくするための新しい道路標識に関するものです。
国土交通省としては、『タイヤチェーン装着の義務化』という表現はしておりません。ただし、『チェーン規区間』を通行される場合には、タイヤチェーンの装着は必須となります」
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具体的な『チェーン規制』の内容は、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるときに実施。大雪時に通行止めを実施する場合でもチェーン装着を条件として、積雪による通行止め時間を短くすることが目的です。
実施区間は、急な山道など、過去に雪による立ち往生や通行止めが起こった場所の中で、タイヤチェーンを着脱できる場所や通行止めが解除されるまで待機できる場所がある区間で実施。チェーン規制時には、規制区間の手前でタイヤチェーン装着状況の確認を行います。
実際に一般国道で、規制対象となっている山形県・月山道路(112号線)を利用するユーザーは、今回の『チェーン規制』について、次のように話します。
「今まで、積雪量が多い時期には、通行止めとなっていた112号線が、今回の『チェーン規制』によってチェーンを巻けば通行できるという点では良いことだと思います」
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チェーンを履いたことによる過信や『チェーン規制』というイメージによって、人は安易な考えをしがちです。しかし、どんな内容にも明確な理由や方法があるということを肝に銘じておくことが、安全運転につながるといえます。 【了】
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