いつの頃からだろうか、終活という言葉をよく聞くようになった。終活とは、死と向き合い、最後まで自分らしい人生を送るための準備のことだそうだ。どれだけの人が終活を考えているのかはわからないが、なんとなく、おぼろげに準備をしている人は多いかもしれない。
そして、平成もあと3カ月あまりで終わろうとしている……。
【旧車レストアの救世主になる!?】 クルマは3Dプリンターで再生できるのか?
そこでクルマ好きの担当は考えた! クルマ生活の終活も考えてみようじゃないかと。さてと、何のクルマを最後にしようか? 最後のクルマは霊柩車だからキャデラックの霊柩車がいいな……。
なんて冗談はさておいて、最後のクルマは何にすべきか、真剣に考えたいのだけど、いいクルマがなかなか思いつかない……。
ということで、最後のクルマ選びに参考にするべく、ベストカーでお馴じみのテリー伊藤さんと、6人の自動車評論家に「人生最後の1台」を選んでもらいました。
文/ベストカー編集部
写真/ベストカー編集部
初出/ベストカー2018年2月10日号
■「デロリアンのEVでカミナリにうたれてみたい」/テリー伊藤(69歳)
グラハム・ヒルやジム・クラークらが活躍していた1960年代のF1を人生最後のクルマにしたい。ハマキ型と称される昔のF1マシンだ。あの頃のF1は本当にかっこいいよね。
あのボディに現代の技術を詰め込むのではなく、エンジンから何まで全部、当時のF1のまま乗りたい。まったく乗りこなす自信はないけど、最後なんだから保守的なクルマではつまらない。
名古屋のクルマ屋さんに持っていけば、どうにかしてナンバーを付けて、公道も走れるようにしてくれるだろう(笑)。
ゴーグルをしてハマキ型のF1に乗り、コンビニに行っておにぎりを買う。駐車場に入る時に下をこすってしまい、絶望感に襲われるのもまた一興。死ぬまでに一度乗ってみたいね。
最後に乗りたいクルマの候補はもうひとつある。デロリアン。
このデロリアンは昔のままではなく、EV化したものがいい。それで映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のあの名場面を再現したい。
場所は直線路が多い北海道。デロリアンEVに避雷針を付けて直線をぶっ飛ばし、カミナリの直撃を受けて時空を飛び越えるのだ。到着するのは過去でも未来でもいい。
私はテレビ界の人間だから、生中継でそのもようを放送したい。そして、そのまま戻らぬ人となるのだ。
でも、何も起こらなかったらどうするか。そのまま港まで走ってフェリーに乗せて東京へ戻り「恥ずかしながら戻って参りましたa」と直立不動で敬礼する。それで許してくれるかな?
■「お金があったらマクラーレン540C。本当の最後は電動カート」/国沢光宏(60歳)
最後とその前のクルマは決まっている。最後については免許不要の電動車です。歩くことなく近所なら移動できるんだから素晴らしい。
海のそばにでも住み、釣りをして過ごしたい。その前はコンパクトな軽自動車ですね。10年したら、軽自動車だって前後の自動ブレーキ付き多少の運転ミスをカバーしてくれるようになるだろう。ボケ防止のためマニュアル希望。
大いに悩むのが、元気なウチに乗る最後のクルマだ。今のところの候補は、お金スンゴクあったなら中古のマクラーレン540C。もはやフェラーリ乗るほど頑張りたくないですね。お金ない場合、ロータス・エリーゼです。すでに新車はなくなってしまったため、中古車になるけど、エリーゼって走行距離少ないバリモンが多い。よい相棒を見つけられると思う。
もひとつは最後の競技車両です。現在、トヨタMIRAIとWRX S4を持ってる。この2車種、新しい技術を確かめたいという意味合いが強い。
されど競技はライバルと比べた時の成績だ。2018年にフィエスタR2でWRCドイツに出て改めて感じた次第。ということでR2を乗りこなしてみたくなった。その上はもう諦めます。楽しい楽しいR2でいろんな国のラリーに出て卒業にしたい。
■「本当の最後は残価設定ローンでムリ目のクルマを楽しみたい」/渡辺陽一郎(57歳)
生涯に所有できるクルマの台数は意外に少ない。公共の交通機関を利用しにくい地域ではひとりに1台の所有も多いが、大半は1世帯に1台だ。1台のクルマに5年間乗るとして、20歳から75歳まで運転を続けても、所有できるのは11台にとどまる。
しかも若い頃は予算が乏しく、子育ての時には便利で経済的なミニバンなどを選ぶことが多い。そうなると本当に好きな車種を買えるのは、55~75歳の20年前後で4台程度になる。クルマ人生のフィナーレを飾る1台は何にすべきか。カウントダウンを楽しみながら始めたい。
「最後のクルマはどれにする?」と尋ねられ、真っ先に欲しい車種が思い浮かんだ人は幸せだ。最後は惚れたクルマと一緒になり、ハッピーエンドでいきましょう。
まさにドラマだから、ストーリー展開が重要になる。エンディングをいかに盛り上げるか、クルマ人生のシナリオを作りたい。もちろん将来の話だから、新たに別のクルマが現われて、さらに深く惚れることもあるだろう。シナリオの変更もまた楽しい。
シナリオはエンディングから考えたほうがいいかもしれない。最後は安全で快適なメルセデスベンツEクラス、その手前は体力を問われるスポーツカーのポルシェ911かケイマン、さらに時代が近づいてSUVのアルファロメオステルヴィオ、手始めに直近で買うクルマは多額の予算を費やさずに走りを満喫できるVWゴルフGTIという具合だろうか。
「楽しみはあとに取っておく」ことを言い訳に、当分は極端な高価格車は避けて、堅実なシナリオを立てたい。ポルシェからEクラスへ、というクルマ人生の盛大なフィナーレには多額の予算を要するからだ。
輸入車の場合、高価格車になると、新車価格に含まれる1台当たりの粗利が多い。多額の儲けを見込んで価格を高めに設定しているのだ。そのためにフルモデルチェンジが近づくと、日本法人を通じて販売奨励金も支給され、3ケタの値引きで売ったりする。
また在庫処分のために、新車を卸した走行距離の短い実質的に未使用の中古車もあり(新古車という表現は禁止されている)、メルセデスベンツE200が500万円少々まで下がったりする。新車に比べて約200万円安い。
このような走行距離が極端に短い中古車が大量に流通すると、普通に使われた中古車が値崩れを起こし、ユーザーが愛車を売る時の金額を下げてしまう。
リセールバリューを悪化させるから業界的には好ましくないが、単純に安く買いたいなら選ぶ手はある。そのかわり数年後に高値で売ることはできない。
また値崩れを抑えて登録台数を増やすため、販売店の試乗車を短期間で入れ替える傾向も見られる。したがって3000~5000kmを走った中古車も増えた。このような車両なら、先に述べたメルセデスベンツE200が450万円前後まで下がる。
いよいよ最後の1台になった時は、残価設定ローンを使う手もある。仮に5年後の残価率が新車時の35%だとすれば、残りの65%を返済した時に手放せる。潔くクルマ人生を終われるわけだ。輸入車には残価を保証しないタイプもあるから注意したいが、今は保証型も増えた。走行距離など規定を守った使い方をすれば、精算は生じない。
いろいろな手段を駆使して、クルマ人生で最愛の1台を手に入れましょう。
■「俺はスポーツカーに乗る!」/斎藤聡(57歳)
今、乗りたいクルマを挙げなさいと言われたら、スポーツカーに乗りたいと声を大にして言いたい! 金に糸目をつけなければ、所有したいクルマはたくさんあるが、1000万円、500万円と上限を区切って現実的な価格にしたらどうだろう?
1000万円未満ならBMW M2とケイマンS、それにルノー・アルピーヌA110がいい。M2はまさにボクが若い時に憧れたFRスポーツのカタチ。
しかも抜群の操縦性がある。ケイマンはできればNAがよかったが、それでもピュアスポーツならではの沸き立つようなFUNがある。
基本、マニュアルミッションに乗りたいが、例外としてアルピーヌA110も3台目に入れることにした。速さではなくコントロールする面白さにフォーカスした、いかにもなフレンチスポーツで、その面白さにやっつけられてしまった。
500万円以下ならロードスターとフェアレディZの2台。次点で価格帯に入ればスープラ。ロードスターは鉄板。フェアレディZは意外かもしれないが、MTがあること、20代の一時期乗っていて思い入れがあることが理由。
いずれにしても、最後にもう1台、わがままなクルマ選びとして、自分とクルマとの会話が楽しめるクルマにじっくり乗りたいと思う。
■「未来のクルマはわからないけれどあわてることはない」/鈴木直也(64歳)
新型スープラプロトタイプ試乗会で、多田CEが「純粋な内燃機関スポーツカーはこれが最後かも?」と言ってるのを聞いて、一瞬「そっか、ヤベぇ」と焦ったのですが、これってデジャヴュのような気がするんだよねぇ。
1970年代の初期排ガス規制のころは、「パワフルなスポーツカーは絶滅する」とかいってたし、ミニバン全盛期は「クルマは全部ハコになる」だったし、最近は「電動化車両以外は生き残れない」でしょ。よーく考えると「ホントかよ?」なわけです。
さすがに、クルマの電動化はこれまでとはケタ違いのパラダイムシフトになりそうなのは認める。だけど、ガラケーがスマホに変わったような急激な変化は自動車業界では起こり得ないと思うし、本命のEVだってユーザーが買わなければ絵に描いた餅。需要もないのに法規制などで無理やり普及させようとすれば、フランスみたいな暴動にもなりかねない。
だから、ボク自身60代半ばに差しかかってはいるのだけれど、あわてて「最後の1台」みたいなクルマ選びをする気にはなれない。だって未来がどっちへ転ぶか、まだぜんぜんわからないんだもん。
唯一、確実なのは絶版名車の価格は今後も下がらないだろうってことで、1970年代以前のスポーツカーなどは早めに手に入れておいたほうがいいと思うけど、これはもう完全に趣味の世界。誰にでもお薦めできるこっちゃない。
あまり面白い結論じゃないけど、ぼくの戦略は「その時代その時代でいいと思うクルマを買う」ってこと。たぶん、「最後の1台」もそういう基準で選ぶと思います。基本的には軽くて小さいクルマがいい。
■「85歳でポルシェ911GT2だ!!」/松田秀士(64歳)
死んでしまう最期の瞬間まで安全にクルマを運転できる自分でいよう。スローエイジングでお浄土までぶっ飛ばせと言い始めて早10数年。ボクも64歳になった。スローエイジングとは加齢の速度を遅くするためのさまざまなメソッドのこと。目を鍛えたり、体幹鍛えたり。
ただし、いくら鍛えていても、スローエイジングに頑張っても、遅いながらも衰えはある。そこで自分をヘルプしてくれるのがACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKA(レーンキープアシスト)だ。
だから、これからはこのふたつの運転支援装備が付いたクルマを選びたい。最近はラグジュアリー系のモデルのほとんどに装備されている。高速道路などではこのシステムを使って疲労を軽減して走り、高速を降りてからはシステムをOFFにしてドライブを楽しむ。
そしてここからが重要。五感をくすぐり、ドライブしているだけで脳内から活性ホルモンを分泌させてくれるようなクルマ。それが終のクルマだと考えている。
ボクは85歳までは運転していたい。現行モデルがそのまま未来まであるとして、今乗りたいのはBMW5シリーズ。フロントサスがダブルウィッシュボーンでハンドリングと乗り心地のバランスがいい。
これに10年乗って74歳でレクサスLCに乗る。和のテイストを持つスポーツカーで落ち着ける。そして最後はポルシェ911。最新の911と993GT2。この2台が持てたら最高に幸せ。
ボクはGT選手権を戦っていた時代にポルシェ使いと呼ばれたから、その栄誉? を引きずりたい。一番のポルシェはタイプ993の911GT2だと考えているから。
■「ランエボもAE86もいいけど最後はロードスター」/竹平素信(71歳)
70歳代になったばかりのワシに「人生最後の1台」を考えさせるのはチト早いゾ。まだボケていないし、手足もちゃんとしている。夜以外だったら現役時代と変わらずブイブイ走る自信もある。もうしばらくは自由なカーライフをしていくつもりだ。
……といいつつも、現実はキビしく、高価なクルマはムリ、残念だが。
しかし、80歳に近づけば、いよいよ「最後の1台」を考えざるを得ないだろうな。そうなればワシはやっぱり、運転するたびに五感をくすぐってくれる相棒がイチバンだ。心地よいサウンド、人馬一体感のあるハンドリング、さらに買い物にも使えて手軽なやつがいい。
ただ、その頃は年金生活だろうな。高価なクルマはやっぱりムリでしょう。
そうだ、今所有しているNAロードスター(ナンバーレスだが)を復活させ、冥土までの相棒にしようではないか。こいつならボケている余裕はないし、乗るたびに生きている実感が味わえるではないか。AE86やランエボもワシの分身だったが、今や中古車市場でもバカ高価。
もちろん、これ1台で老後生活は不便だろう。EV、ハイブリッド、軽四、なんでもいいから金のかからない実用車が1台あればベストじゃ。ハテ、どうなることやら!?
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