運動性能はもちろんドライバーの負担軽減にも貢献した
クルマというのは、動力源があって、駆動系を介して車輪に力を伝えて動く。動力源と駆動輪の位置で駆動方式が決まるのだが、現在ポピュラーなのがFFと4WDだろう。逆にレアな存在になっているのがRRで、新車で購入できるのはポルシェ、そしてシャシーを同じくするメルセデス・ベンツのスマートとルノーのトゥインゴぐらいだろう。もちろん過去には数は多くはないが採用されていたモデルが存在する。今回は国産車に絞って紹介しよう。
1)スバル・サンバー
農道のポルシェとしてお馴染みのサンバー。ほかの軽トラがFR(正確にはフロントミッドシップ)を採用するなか、唯一RRにこだわり続けた。スバル360のコンポーネンツを流用して誕生したというのも、すでに他車に対して希有なこと(ほとんどがボンネットバンからの進化でFR)。
荷台のフロア高が上がったり、アクセルワイヤーが長くなるなどのというハンディもあったが、エンジンがリヤにあるとドライバーの疲労も少ないことから、スバルはこだわり続けた。またベースを同じくするドミンゴももちろんRRだ。
2)三菱 i
突如として現れ、久々のRR復活と騒がれたのが三菱のi。フロントにエンジンがないとパッケージングに有利になるし、サスペンション技術も進化してRRの弱点であるテールハッピーもある程度抑えられるようになったことに加えて、EV化も見据えての採用だった。ただし、厳密に言うと、エンジンの中心はリヤ車軸の前にあり、ミッドシップとなる。
部品精度の問題でRRにせざるを得なかった事例も
3)日野コンテッサ
今ではトラック・バスの専業メーカーだが、日野が乗用車を作っていた時代があったのはご存知だろう。そのなかでも代表的だったのが、コンテッサだ。ミケロッティデザインの優雅なセダンで、一般的な形のボンネットが付いていたが、じつはRRだった。
4)日野ルノー 4CV
日本の自動車メーカーが技術レベルが低かった時代に行われたのが、ノックダウンという手法。要はライセンス生産なのだが、日野はルノーと提携して4CVというリヤエンジン車を作っていた。1950年代前後のヨーロッパではRRが大衆車ではRRが主流で、4CVもその流れを組んでいた。ちなみに1963年まで生産され、最後の頃は日野の技術が上がり、ルノーオリジナル部分はほとんどなくなってしまったほど。 (取材協力:JCCA NYM2016)
5)360ccの軽自動車たち
スバル360やその後継のR2、そしてスズキのフロンテやマツダのキャロル、360クーペなど往年の軽自動車に多く採用された。理由は限られたサイズでパッケージングを稼ぐということもあったが、FFに欠かせないドライブシャフトの等速ジョイントの性能がよくなかったことからRRにせざるを得なかったという事情のほうが大きいだろう。ホンダのN360はFFだったが、フロントのドライブシャフトの耐久性については割り切っていた。(写真はスバルR-2)
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