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なぜ乗車拒否に発展? トヨタ「JPN TAXI」導入開始から1年半 不満に対する改善策とは

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なぜ乗車拒否に発展? トヨタ「JPN TAXI」導入開始から1年半 不満に対する改善策とは

■車いす利用者から不満が続出していた「JPN TAXI」

 2017年に“誰もが利用しやすいタクシー”として登場した、トヨタの「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」。都市部では、見かける機会も多くなり急激に普及しています。

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 この「JPN TAXI」は、高齢者や車いす使用者、ベビーカー利用者など、さまざまな人にやさしい次世代タクシーとして、国土交通省が定める『ユニバーサルデザインタクシー認定制度』を取得しているタクシーです。

 しかし、導入開始から約1年半が経過したなかで、「JPN TAXI」を利用しようとした車いす使用者に対して乗務員が『乗車拒否』をするなどの事案が多発しました。

 この事案に対して車いす利用者などから、トヨタに車両改善を求める署名を提出するまでに発展するなど、大きな問題となっています。

 今回、トヨタは指摘されていた車いすの利用方法改善に関する説明会を実施。実際にデモンストレーションを行うなど、進化したユニバーサルデザインタクシーをアピールしました。

 従来型で車いす利用者を乗せるに、座席の折り畳み、専用スロープの設置、車いす固定、搭乗者シートベルト着用などの手順を行うほか、乗降時に広いスペースが必要です。

 また、スロープ自体も複雑な構造のため、設置・撤収にはある程度の時間や慣れが必要となり、知識や不慣れな乗務員による『乗車拒否』が発生するなどの問題に発展していました。

 このような問題点について、トヨタ「JPN TAXI」のチーフエンジニア・粥川 宏氏は次のように説明します。

「今回、すでに街中を走っている『JPN TAXI』既存車への改善と、更なる改良を施した一部改善車を出すことになりました。既存車への改善策としては、改善パーツをタクシー事業者様に無償で提供します。これで、スロープ設置から車いすを固定するまでに約4分で作業を行なえるようになります。

 さらに、ユーザーの反響を反映した一部改善車では、スロープのパーツなどを大幅に見直したほか、ラベリングなどで作業の効率化も図っています」とコメントしています。

 また、このタイミングで改善を行なったことについて、「『JPN TAXI』は2017年に市場へ出ましたが、それからさまざまなお声を頂き、少しでも早く改善をしなければとなりました。そのなかで、2018年初夏から検討が始まり、最短でこのタイミングで公表する形となったのです。

 日本のタクシー業界を衰退させず、進化させるためにも、クルマ自体の悪い部分を改善し、乗務員の教育など全体で努力していくことが重要です」(粥川 宏氏)

 トヨタは以前から「JPN TAXI」の公式サイトで、利用者に対する『車いすご利用の方の留意事項』やタクシー乗務員に対しての『車いす乗降方法』などを公開し、利用に関するアナウンスを行っています。

 今回は、すでに販売済みの車両に対する改善部品の配布(無償)と、3月に発売予定の一部改良車では、より進んだ改善を織り込む2段構えの対策になります。

■タクシー会社が行なう対応策は?

 タクシー車両側の改善が行われている一方で、実際にお客に接し、車いすの乗車対応を行う乗務員の業務改善はどうなっているのでしょうか。

 大手タクシー会社は、車いす利用者に関する問題について、「今回、トヨタさんから新たな改善車両が公表されましたが、既に導入している車両すべての部品入れ替えは、それなりの時間がかかることが考えられます。そのため、導入済み車両の改良と平行して、乗務員への教育体制の確立や車いす乗降方法に関するマニュアルを作成などして業務改善していく予定です」と話します。

 過去に、大手タクシー会社が実施した、JPN TAXI利用者や乗務員へのアンケートでは、「車内の天井が高く開放感があり快適」、「視界が広くて運転しやすい」という好評がある一方で、「後部座席の窓について右側は開かず、左側も半分までしか下がらないため、気分が悪い時に風に当たれず不便」、「電動スライドドアの開閉速度が非常に遅く、混雑した状況下では不便」という不評も出ています。  トヨタ「JPN TAXI」は、『2020年・東京オリンピック』に向けて導入された車両です。今回の改善によって、乗車拒否問題が改善され、“誰もが利用しやすい存在”となることに期待が高まります。

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