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世界で高評価、近くて遠い韓国車のいま 「安くて高品質」日本ブランドから韓国へ

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世界で高評価、近くて遠い韓国車のいま 「安くて高品質」日本ブランドから韓国へ

■韓国車、日本では低評価も世界では高評価

 1月14日から開催されているデトロイトモーターショーにおいて、北米カー・オブ・ザ・イヤー(NACOTY)が発表されました。「自動車産業のオスカー賞」ともいわれるNACOTYは、アメリカとカナダの自動車評論家50名によって選出される、1994年から続く権威ある賞です。

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 過去にはトヨタ・プリウスやホンダ・シビックなどの日本車も受賞しているこの賞ですが、今年は乗用車部門(Car)で韓国の現代自動車(ヒュンダイ)の高級車ブランド、ジェネシス「G70」が選ばれました。また、近年のSUVブームを受けて2017年に新設されたSUV部門(Utility)でも、ヒュンダイ「コナ/コナEV」が受賞しました。韓国車の受賞は2012年のヒュンダイ「エラントラ」以来ですが、2部門での受賞は史上初です。なぜこれほどまでに韓国車が評価されたのでしょうか。

 日本において、韓国ブランドのクルマは決してメジャーではありません。2009年まではヒュンダイが正規輸入を行っていましたが、日本自動車輸入組合(JAIA)によると2018年の韓国ブランドの輸入台数(乗用車)は、ヒュンダイが4台、キアが1台の計5台となっており、1台数億円とされるハイパーカーブランドのブガッティ(7台)にもおよびません。

 日本は世界第3位の新車販売市場ではありますが、韓国ブランドにとっては最も相性が悪い市場といえるでしょう。韓国ブランドが日本で売れない事情には、政治的背景や歴史的な問題もありますが、単純にいえば日系ブランドを超える品質を提供できていなかったものと考えられます。

 世界においても、「安くて高品質」というクルマは、長らく日系ブランドの牙城でした。しかし、2010年ころからその状況は変わりつつあります。現在の韓国ブランドは、ヒュンダイ、ジェネシス、キアの3つですが、すべて同じ現代自動車グループです。グループ合計の販売台数は800万台を超えるなど、世界第5位の自動車メーカーへと成長しています。

 韓国ブランド躍進の背景には、圧倒的な資金力を背景にデザインを中心とした新車開発への投資、高度なマーケティング戦略が挙げられます。その結果、欧州や新興国、そして北米を中心に、「デザインがよく、価格もお手頃なコストパフォーマンスの良いクルマ」としての地位を築いていったのです。

■NACOTYを受賞した2台のクルマ

 このように、大衆車における韓国ブランドの評価は年々高まっていましたが、今回のNACOTYで印象的だったのは、高級車ブランドであるジェネシスのG70、そして電気自動車(EV)モデルを有するヒュンダイのコナが受賞したことです。

 2016年に創設されたばかりのジェネシスは、現代自動車の高級車ブランドです。今回受賞したG70は、BMW「3シリーズ」やメルセデス・ベンツ「Cクラス」、アウディ「A4」といった強力な競合車がいるカテゴリです。

 2リッターの直列4気筒エンジンに8速ATを組み合わせたG70について、NACOTY選考委員のひとりは「(BMWやメルセデス・ベンツといった)強力なライバルに真っ向から勝負を挑み、ドライバーとのエンゲージメントやコストパフォーマンスの面で見事に打ち勝った」と話します。また、G70のデザインはアウディなどで活躍したドイツ人デザイナーのペーター・シュライヤー氏が担当しており、デザイン面でも高評価だったようです。

 さらに、SUV部門で受賞したヒュンダイ「コナ/コナEV」については、「間違いなく市場に受け入れられる、はじめてのEV」、「じゅうぶんな航続距離、手頃な価格、実用的な室内空間が素晴らしいドライビングダイナミクスと合わさり、コナEVの醍醐味だ」とデトロイトモーターショーの会場では、最大級の賛辞が聞かれました。今後の自動車産業を牽引するであろうEVでの受賞は、韓国ブランドの技術力の高さを示したといえるでしょう。

■実は正念場? 韓国ブランドの今後

 日本では、ほとんど馴染みのない韓国ブランドのクルマですが、世界中で着実に評価を伸ばしていることが伺えます。しかし、韓国ブランドは必ずしも順風満帆ではありません。世界最大の人口を有し、急激な経済成長を遂げている中国が、自動車産業でも存在感を増しているからです。

 韓国から距離も近く、市場としても世界最大を誇る中国ですが、韓国ブランドのシェアは高くありません。それどころか、力をつけた中国の自動車ブランドたちが、続々と世界進出を図っています。

 中国が持つ世界最大規模の労働力と資金力に技術力が結びつけば、たちまち世界中の自動車市場は席巻されるかもしれません。追う立場から追われる立場となった韓国ブランドは正念場を迎えています。

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