現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > マセラティ レヴァンテの先にあるもの──フェラーリ製V8エンジン搭載SUVを試乗する。

ここから本文です

マセラティ レヴァンテの先にあるもの──フェラーリ製V8エンジン搭載SUVを試乗する。

掲載 更新
マセラティ レヴァンテの先にあるもの──フェラーリ製V8エンジン搭載SUVを試乗する。

フェラーリは本当にSUVを造るのだろうか。急逝した絶対ボスのマルキオンネが敷いた路線をとりあえずは踏襲するほかない現体制下では、それがもう既定路線のように言われているわけだけれど……。

事実、本社工場の近くに住んでいるマラネッロ村の友人によれば、人目につかない時間帯にひときわ慎重な雰囲気で工場を出入りするSUVのプロトタイプが目撃されている。夜明け間際に静かにこそこそ走り去っては日が沈んでからこそこそ戻ってくる、というからパワートレーンはプラグイン・ハイブリッドなのかもしれない。

舞台は南仏!最高のドライブコースをギブリで駆け抜けた MASERATI Ghibli|GQ at the Wheel

もっとも、フェラーリは今や立派なパワートレーン供給メーカーでもある。車両開発だって請け負っている。そのテスト車両がウワサのFUV(フェラーリ・ユーティリティ・ビークル)であるという確証はない。マセラティ用か、アルファロメオ用かも知れない。

実際にフェラーリからパワートレーンの供給を受けているブランドとしては、マセラティがある。V8もV6もガソリンエンジンはマラネッロ製だ。フェラーリとはカニバらない4ドアスポーツサルーン用だった。

マセラティにはレヴァンテというSUVがあって、けっこうな人気を博している。V6に加えて、ついにマラネッロ製V8をレヴァンテに積むということになれば、将来的にFUVと競合するかも知れない。マセラティだってプラグイン・ハイブリッドは欲しいだろうし。

否、さしずめV8を積んだレヴァンテあたりはFUVの露払いかも、などと思ってしまった。ひょっとして。

そう思うのにはワケがあって、V8を押し込んだレヴァンテの開発プロジェクトは、モデナ(マセラティ本社)の与り知らないところで進んでいたらしいのだが、その進め方がとあるクルマと酷似しているからだった。

そのクルマとは、アルファロメオ・ジュリア クワドリフォリオ。マラネッロ製3リッター90度V6ツインターボエンジン(マセラティ用3リッター60度V6とはまるで別モノで、4リッターV8のF154型エンジンをきっちり3/4にしたもの)を積むこのスポーツサルーンは、極秘プロジェクトの“スカンクワークス”生まれであり、フェラーリのエンジニアも当然ながら開発に深く関与していた。マラネッロの工場内を走り回るテストナンバー付きの覆面仕様ジュリアを、そのデビュー前にはよく見掛けたものだ。

V8レヴァンテの出自もそれによく似ている。“スカンクワークス”内におけるこのプロジェクトの当初の名目は“SUV用に仕立てた新たなシャシーの限界性能を確認すること”だったというが、確認で終わるようなプロジェクトに莫大な予算を割くほどFCAはぬるい会社じゃない。

レヴァンテ用はもちろんのこと、その先のFUVを見越した実験であったことは想像に難くない。

というわけなので、レヴァンテのV8にはいろんな意味で期待していた。もちろん、レヴァンテのトップグレードとして、それから未来の“兄弟車”にも……。

面白いことに、マセラティはレヴァンテにV8グレードを追加するにあたって、2種類のパワースペックを用意してきた。本来ならクアトロポルテと同様にV8モデルはGTS一本となるはずだったが、GTSに加えてトロフェオという、いっそう過激なバージョンも同時リリースされたのだった。

このあたりからも、“スカンクワークス”の思惑がどこか他の到達点に向かっていたことを勝手に感じてしまう。要するに過激な仕様も思った以上に“よく仕上がった”のではなかったか。よくできたのなら今のうちに実戦投入しておきたい、とモデナは欲したのだろう。マラネッロがどう思ったかは知らないけれど。

なにしろ、トロフェオのライドフィールはグランツーリズモ(GT的)なマセラティ兄弟のなかにあって、ちょっと異質だ。はっきりとハードな乗り心地で、ステアフィールもがっちりかつ機敏。ワインディングロードを走らせたなら、心地のいい汗をかく。マセラティに汗は似合わないのに。

排気サウンドも、素晴らしい。前をいくスポーツカーを警告するのに最適な音量と音質だ。スポーツカーのように迫り来る大型SUV。前のライトウエイトスポーツカーから汗が飛び散っているかのように思えた。

一方のGTSだって、迫力という点ではSUV離れしており、実際のパフォーマンスもトロフェオと大差があるとは思えない。けれども、ライドテイストがちゃんと現代マセラティになっている分、穏やかに乗って過ごせた。普段乗りが多く、そう毎日ヤル気モードでなんかいられないという多くのユーザーにはGTSのほうがオススメだ。逆に、毎日が元気ビンビンという方は、迷うことなくトロフェオをどうぞ。

いずれにしても、V8を積むレヴァンテは魅力的だ。こういうご時世というのに大型SUVを買うせめてもの罪滅ぼしに、ついついディーゼルかまだ見ぬハイブリッドを所望したくなるのが人情というものだけれど、こういう時代だからこそ理屈抜きに内燃機関を楽しめるようなクルマを味わっておくということも一興ではないだろうか。今のうちに。

フェラーリ製V8エンジンを積むSUV。まずはコレに乗ってFUVを待つというのも手じゃないか。

こんな記事も読まれています

ブリッツの「テレビナビジャンパー」にトヨタ/ダイハツ、ホンダのディーラーオプションナビの適合が追加
ブリッツの「テレビナビジャンパー」にトヨタ/ダイハツ、ホンダのディーラーオプションナビの適合が追加
レスポンス
F1第5戦木曜会見:「勝つための要素が揃ってきている」アストンマーティンと“最後の契約”を結んだアロンソ。決断に満足
F1第5戦木曜会見:「勝つための要素が揃ってきている」アストンマーティンと“最後の契約”を結んだアロンソ。決断に満足
AUTOSPORT web
ヤマハ「XSR900GP」 往年のGPマシンを彷彿とさせるヘリテージモデルを5月20日に発売
ヤマハ「XSR900GP」 往年のGPマシンを彷彿とさせるヘリテージモデルを5月20日に発売
バイクのニュース
F1中国GPの”ペイント”路面処理、FIAは把握もチームやピレリに知らされず「現地入りして驚いた」
F1中国GPの”ペイント”路面処理、FIAは把握もチームやピレリに知らされず「現地入りして驚いた」
motorsport.com 日本版
車に付いた「花粉」汚れ そのまま“放置”は絶対NG!? きれいなボディに悪影響与えることも… 早めに手入れしたい理由とは
車に付いた「花粉」汚れ そのまま“放置”は絶対NG!? きれいなボディに悪影響与えることも… 早めに手入れしたい理由とは
くるまのニュース
【2024年スーパー耐久をイチから学ぶ】プロとアマチュアの共闘。自動車メーカーも集う日本最大の参加型モータースポーツ
【2024年スーパー耐久をイチから学ぶ】プロとアマチュアの共闘。自動車メーカーも集う日本最大の参加型モータースポーツ
AUTOSPORT web
F1参戦を目指すアンドレッティ、今後数週間のうちにドメニカリCEOや経営陣らとの“重要な”ミーティングを実施へ
F1参戦を目指すアンドレッティ、今後数週間のうちにドメニカリCEOや経営陣らとの“重要な”ミーティングを実施へ
AUTOSPORT web
「どこへでも行き どこででも眠れる」!?  トヨタ新型「ランドクルーザー250」に専用の車中泊ベッドキットが早くも登場!
「どこへでも行き どこででも眠れる」!? トヨタ新型「ランドクルーザー250」に専用の車中泊ベッドキットが早くも登場!
VAGUE
ヘルメットのシールドの曇りは、中性洗剤で解消できる!
ヘルメットのシールドの曇りは、中性洗剤で解消できる!
バイクのニュース
ボルボが超本気出してきた!! 最小クロスオーバー「ボルボEX30」に期待しかない!!
ボルボが超本気出してきた!! 最小クロスオーバー「ボルボEX30」に期待しかない!!
ベストカーWeb
メジャーリーガーは1200人なのにF1はたった20人! 「なるだけ」でも「超狭き門」の世界だった
メジャーリーガーは1200人なのにF1はたった20人! 「なるだけ」でも「超狭き門」の世界だった
WEB CARTOP
日産、北京モーターショー2024にNEVコンセプトカーを複数出展
日産、北京モーターショー2024にNEVコンセプトカーを複数出展
日刊自動車新聞
5速MTあり! スズキが新型「軽トラック」初公開! “商用モデル”超えた斬新カラー「デニムブルー」も採用! 軽トラ「新型キャリイ」発表
5速MTあり! スズキが新型「軽トラック」初公開! “商用モデル”超えた斬新カラー「デニムブルー」も採用! 軽トラ「新型キャリイ」発表
くるまのニュース
レッドブルF1のエイドリアン・ニューウェイにフェラーリとアストンマーティンが高額オファーか
レッドブルF1のエイドリアン・ニューウェイにフェラーリとアストンマーティンが高額オファーか
AUTOSPORT web
【20世紀名車ギャラリー】名匠G・ジウジアーロ作の華麗な造形、1972年式いすゞ117クーペの肖像
【20世紀名車ギャラリー】名匠G・ジウジアーロ作の華麗な造形、1972年式いすゞ117クーペの肖像
カー・アンド・ドライバー
車中泊を快適に! ランドクルーザー250 用ベッドキット登場
車中泊を快適に! ランドクルーザー250 用ベッドキット登場
レスポンス
レッドブルF1、サインツJr.獲得は難しい?「カルロスはアウディから非常に有利なオファーがある」と重鎮マルコ明かす
レッドブルF1、サインツJr.獲得は難しい?「カルロスはアウディから非常に有利なオファーがある」と重鎮マルコ明かす
motorsport.com 日本版
スバル“新”「フォレスター」登場! 上質なブラック内装&精悍グレーがカッコいい! 特別な「最上級モデル」に反響
スバル“新”「フォレスター」登場! 上質なブラック内装&精悍グレーがカッコいい! 特別な「最上級モデル」に反響
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1299.02349.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

326.82295.0万円

中古車を検索
レヴァンテの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1299.02349.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

326.82295.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村