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いざという時の切り札となるか? クルマに備わる「イベントデータレコーダー」の実態とは

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いざという時の切り札となるか? クルマに備わる「イベントデータレコーダー」の実態とは

■EDRは、メーカーが製造時に組み込む記録装置

 世間一般にも認識されている「ドライブレコーダー」は、ユーザーが購入して取り付けし、カメラで映像を記録するものが多いです。似たような役割を果たすものとして、「イベントデータレコーダー(以下:EDR)」ものも存在しています。

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 EDRとは、自動車メーカーが製造時に車体に組み込むもので、一般のドライバーが存在を意識することはありません。簡単にいえば、車両状況の記録装置となり飛行機のフライトレコーダーの簡易版というイメージです。

 EDRには、ドライブレコーダーのように一定時間分を記録して、メモリーがいっぱいになったら古い部分から上書きしていくものや、大きな衝撃が加わった際のデータを記録するものなどがあります。海外では、自動車メーカーや損害保険会社に送信するものなどさまざまな種類が存在。

 アメリカの国家道路交通安全局では、EDRの規格統一を推奨してEDR装着の義務付けを推進。現段階では、自動車メーカーの自己判断で装着していて、日本の自動車メーカーもEDRの装着が増えています。

 EDRには、衝突時の映像まで含まれるものもありますが、基本的な記録内容はエアバッグが開くような衝突事故の際に、速度やエンジン回転数、ブレーキが使われたのかアクセルをどのくらい踏んでいたか、衝撃の大きさ、ハンドル操作、シートベルト着用していたかなどを記録。

 日本では、平成20年に国土交通省自動車交通局が「J-EDRの技術要件」を発表していますが、海外の動向を踏まえながら要件の見直しを行なっているところです。

■EDRは正しいドライバーを守る記憶装置のはず

 EDRに記録されたデータは、主に事故原因の究明に使用されます。例えば、建物にクルマが突っ込む事故を起こしたドライバーが「ブレーキを踏んだのに止まらなかった」と証言したとしても、実際には踏み間違えてアクセルが踏まれていたなどの事故原因を記録したデータから明確にすることができます。

 自動車同士の衝突事故などでは「こちらは制限速度を守っていたのに、相手がすごいスピードで突っ込んできた」など、双方のドライバーの証言が食い違う場合でも、衝突前の車両状況の記録から警察などの公的機関が事故原因を究明するのを助け、迅速な事故処理が可能です。

 自分が正しい運転をしていながら事故を起こしてしまった場合など、どちらに過失があったのかを明らかにできるため、『「正しいドライバーを守る装置』として機能することが期待されています。

 EDRの記録を読み込むには、EDRボックスを取り外してコンピューターで読み込むだけで足りるため、事故車両の状態によっては数十分程度で確認可能。ただし、EDRのデータ解析を行えるのは、自動車メーカーと警察のみとなっています。

 日産が公開しているEDRの取扱説明書では「車両の使用者の同意がある場合」「裁判所命令など法的強制力のある要請に基づく場合」「統計的な処理を行うなど、使用者や車両が特定できないように加工したデータを研究機関などに提供する場合」に限定してデータを開示・提供すると記載。

 一方で、事故原因が自動車の欠陥によるものだった場合、データが改ざんされる恐れも懸念されるため、第三者が解析を行なう、もしくは立ち会う必要があるとの意見もあります。

 EDRの解析依頼件数はどのくらいあるのか、実際に解析で判った例や、記録内容など海外との仕様統一などもあるのかをホンダの広報部に聞いてみたところ「現状、ホンダ車は日本国内での適用はありません。ただ、今後、法規対応も含めて適応を検討して参ります。したがって現状で、解析の依頼状況、実績など、お答えできるものはございません」とのことでした。

 国内でEDR搭載を明言しているトヨタは、「EDRについてはセンシティブな内容であるため、すべて非公表」とのことでした。

 新車を販売するディーラーにおける、EDRの取扱方法について話を聞くと「事故が起きて『ブレーキ踏んだのに加速した』というような、大きな不具合の可能性がある場合、解析はサービス本部や部品メーカーに依頼します」という説明されました。

 国内では、まだまだ不透明な部分も多いEDRですが、すでに事故原因の究明には活用されているようです。今後の普及と活躍が期待されます。

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