クルマ離れの現代ならではの経験も
日々さまざまなお客と商談を行うのが新車のセールスマン。なかにはいろいろな意味で印象深い人も多い。ここでは、とあるベテランセールスマンに、セールスマン人生のなかでとくに記憶に残った経験を振り返ってもらった。
■何のクルマを買っていいかわからないケース
ある週末に若い夫婦連れが店を訪れた。話を聞くと、いま乗っているクルマが初度登録から13年超となり自動車税がアップしてしまうので新車に乗り換えたいとのこと。しかし乗っているクルマは中古車店でたまたま目に留まって購入しただけで、生活の移動手段として所有しているため、どんなメーカーや、どんなモデルがあるのかもチンプンカンプン。とりあえず自宅近くなのでやってきたと話してくれたという。
セールスマンによると「最近はこのようなお客様も増えております。このようなケースではお客様が普段どのようにクルマを使用しているかなどを伺うことから商談が始まります」とのこと。
話を聞いていくと、旦那さんは免許証を持っているものの週末に運転するぐらいで、もっぱら奥さんが買い物などで日常的に使うことが多い。保育園に通う子どもがひとりいて、親子三人で乗ることがほとんどとのことだ。コンパクトハッチバックや、コンパクトサイズで背が高く、リヤドアがスライドドアで背の高いMPVスタイルのモデルを勧めると、コンパクトMPVの購入が決まった。
「車種が決まると、今度はグレードの絞り込みです。本人たちは何も希望もなく漠然と新車に乗り換えたいということなので、今度はカタログベースでエンジンバリエーションや、グレード間での装備差、おすすめオプションの説明などをしていき、希望グレードを絞っていきます」とのこと。
希望グレードやオプション、ボディカラーが決まり、ようやく見積書を作成。今度は下取り査定の仕組みや、販売諸費用などの説明に進む。「『値引きはできますか?』と聞いてくるお客様もいらっしゃいます。さすがに値引きゼロは気が引けますので、無理のない値引きを計上してようやく契約成立となります。そこまで4~5時間かかることもあります」とのこと。
「世間でクルマへの興味が薄れている顕著な現象と感じております」と最後に語ってくれた。
■新人セールスマンへ心得を指導する客
新車販売の世界へ足を踏み入れたばかり、つまり新人セールスマンのころの話。ある日上司から、すでに辞めてしまったセールスマンが担当していたお客のところへ集金に行くよう頼まれた。言われるがままに、そのお客とアポを取り、そのお客が経営する不動産会社へ集金に出かけた。
集金の際に3000円ほどのお釣りが発生したので、財布から取り出しそのまま渡すと、「ちょっと待て!」とお客。
「お釣りを渡す時にはお札の肖像画をそろえて渡しなさい。そんなのは当たり前だ」といきなり怒られたとのこと。
それが正しいのかどうかはともかく、とりあえず「すみません」と謝り、今度は領収書を記入し、お客に「三文判をください」といったら、「世の中に三文判というものはない。そのような時には”認め印”と言いなさい」とまたまた怒られた。そのあとも営業マンとしての心得みたいな話を延々と聞かされたとのこと。
営業所に戻ると、先輩から「どうだった?」と聞かれたので、正直に様子を話すと「あの人の説教は有名なんだよ」と教えてくれた。この話をしてくれたセールスマンは、その説教はもっともだと思ったので、それ以降お札はどんな時でも肖像画をそろえて相手に渡し、三文判とは言わなくなったそうだ。
昔は現金一括払いゆえの大幅値引きも!
■懐から札束を出して値引きを迫る客
週末フェア開催時、ショールーム入り口で待機していると、フルスモークのVIPセダンがやってきた。「なんかヤバい感じがする」と思いながらも、そのクルマに駆け寄ると、いかにもヤンチャな風貌の夫婦と、やはり見た目完全にヤンチャな20代と見られる息子の三人連れであった。
母親用のセカンドカーを探しているとのことで、折り込みチラシに載っていた、1300ccのコンパクトカーに興味があるとのこと。ほかに検討しているライバルはいないようなので、一発提示で限界に近い値引きを計上した見積書を見せると、何やら三人で相談をしていた。
そして相談が終わった途端に、父親が懐から帯封のついた札束と銀行の袋に入ったぱっとみで数十万円の紙幣をポンとテーブルの上に置いて、「この金額にならないか」と凄んできた。
提示した条件よりさらに値引きしないと、その現金の金額にはならないので、上司のところへ行き説明すると、現金ですぐ払うのだからその値引き額でもいいだろうということになったが、「何か理由をつけて、正式契約はのちほど自宅でさせてくれとして自宅を見てきなさい」と指示されたとのこと。
この話は少し前のものなのだが、いまでは資金洗浄の防止や、セールスマンの持ち逃げなどを防ぐ意味から、現金は口座振り込みを原則とする新車ディーラーも多い。しかし昔は現金を積んで「この金額にしてくれ」としてくるお客は結構いたとのこと。
ただ帯封がしてあってもその場での金額確認はお互いの信用のためやることになっていたので、このケースでも帯封を解いて枚数を数えようとすると、「信用できないのか」と凄まれたとのこと。契約後自宅を見に行くと、現金決済の多い自営業をしていることがわかり、問題ないとのことになったそうだ。
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