そういうクルマ、最近はめっきり少なくなってしまったが、発表されてから10年、20年と造り続けられるロングセラーが、昔はけっこうあったものだった。VWビートル、シトロエン2CVとDSシリーズ、BMC/ローバーミニ、ルノーキャトル、MGB、ナローや930時代のポルシェ911、等々。
そんななかにあって、つい最近まで超ロングセラーであり続けたのが、メルセデス・ベンツのGクラス、別名ゲレンデヴァーゲンである。なにせそのデビューは1979年、同じメルセデスのSクラスでいえば名作W126と同じ頃にデビューしたのだから、これは凄い。
Gクラスを着こなせ!スタイリングを伝授するの巻。 Mercedes-Benz The G-Class|GQ at the Wheel
そのGクラスが誕生から39年目を迎えた2018年、ついにまったくの新型にフルモデルチェンジした。といってもこのモデルチェンジがまた、並みのものではなかった。パッと見では見分けがつかないほどルックスは先代の雰囲気を受け継いでいながら、中身はまったく新しい、驚愕のモデルチェンジ。
日本でラインナップされている新型Gクラスには現在、G550とメルセデスAMG G63の2モデルがあり、プライスはそれぞれ1593万円と2076万円。そのなかで試乗のチャンスを得たのは後者、G63だった。
初代ゲレンデのファンに違和感を与えないように、スクエアかつ平面的にデザインされた新型のボディだが、その内側のメカニズムに関しても根幹の部分は初代の思想を受け継いでいる。つまり、今日のクルマとしてはかなり珍しい、ボディとは別体の梯子型フレームを採用しているのだ。
しかもリアサスペンションがリジッドアクスルであることも、今日の大型高級車としてはかなりレアだといっていい。セパレートフレームにリジッドリアアクスルという選択は、クロスカントリーヴィークルとして、先代並みのオフロード踏破性を意識してのことだろう。
サスペンションに関しては、フロントが劇的に変わった。先代のリジッドアクスルから、今日の上級車として一般的な、コイルスプリングで支えたダブルウィッシュボーンの独立懸架に替わったのだ。
ただしG63のそれは、AMGライドコントロール スポーツサスペンションと呼ばれるもので、ダンパーが電子制御されるほか、フロントのコイルに対して、リアにはエアサスペンションが組み合わせられている。
エンジンは4.0リッターV8ツインターボで、585㎰のパワーと86.7kgmのトルクを生み出し、9段ATを介して4輪を駆動する。4WDの前後駆動力配分が40:60という後輪寄りにセットされているのも、新型のポイントだといえる。
というメカニズムを頭に入れたところで、高めのコクピットに乗り込む。インテリアも初代ゲレンデヴァーゲン風の雰囲気を残してはいるが、デザインそのものは現代のクルマのそれで、使い勝手も現代車と基本的に変わらない。
G63は全長4665×全幅1985×全高1975mm、ホイールベース2890mmというビッグサイズで、特に幅は2m近くある。けれども実際に走ってみると、ボディがスクエアで、しかもドライバーの着座位置が高いことが効いて、ボディサイズのわりに取り回しがいいという点では、先代と変わっていない。
ところが、走り出して少しすると、先代のユーザーだったら、乗り心地の違いに驚くことになるはずだ。先代も近年のモデルは決してゴツゴツと硬いわけではなかったが、新型の乗り心地はそういうレベルを完全に超えている。
もはやクロスカントリーヴィークル的な武骨さが皆無なばかりか、角の取れたすこぶるスムーズでフラットなライドを味わわせてくれて、ちょっとオーバーにいえば、同じメルセデスのSクラスに乗っているのと遜色ないと思えるレベルの快適さなのだ。
強靭なラダーフレームと、その上に載ったスチール骨格の強固なボディがもたらす高い剛性感、それにAMGライドコントロール スポーツサスペンションのスムーズな作動感。それらがG63にすこぶる快適な乗り心地を与えている2大要因なのは間違いない。
だが、それにも増して先代Gのユーザーを驚かせるのは、ステアリングを操作したときの感触とクルマの挙動だろう。従来型ではステアリングの切り始めにアソビがあり、切り込んでからクルマが反応するまでに明らかにズレがあって、それを見込んで操作する必要があった。
ところが新型は、ステアリングを切ると同時にノーズが反応し、特別な操作なしにスムーズに向きが変わるようになった。フロントサスペンションがリジッドから独立のダブルウィッシュボーンに替わると同時に、ステアリングギアボックスも旧式なボール循環式から、現代車の一般的な形式であるラックピニオンに替わった効果は絶大だったというわけだ。
したがって、街角を曲がるときも、ワインディングを走るときも、コーナリングの反応はぐっと自然で現代的なものになった。と同時に、直進性も先代よりずっと締まったものになったから高速道路でも明らかに走り易くなって、ドライバーはリラックスしていられる。
それに加えて、585㎰と86.7kgmを発生する4リッターV8ツインターボと9段ATからなるパワートレインは、2トンを軽くオーバーする車重をモノともせずに引っ張り上げる。分かり易くいえば、AMGの名に恥じず、力強さもまったく充分、ということだ。
今回の試乗では試すチャンスはなかったが、リアに敢えて古典的なリジッドアクスルを採用した効果もあって、オフロードにおける踏破性の素晴らしさも健在であるらしい。
というわけで、先代より明らかに乗り易く、しかもぐっと快適になったにもかかわらず、少なくともエクステリアのルックスに関しては初代ゲレンデヴァーゲンの雰囲気を色濃く残した新型Gクラス。メルセデスが断行した39年ぶりのフルモデルチェンジは、大成功といって間違いないと思う。
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