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業界ニュース 2019.1.3

【モンスターマシンに昂ぶる】28気筒という超ド級星形エンジン、P&W製R-4360【第3回】

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第1次世界大戦期に登場し、第2次世界大戦で急激に進化した航空機用の星形エンジン。今回の【モンスターマシンに昂ぶる 第3回】では、その最終進化形として最後を飾ったともいえるプラット&ホイットニー社(P&W社)のR-4360を取り上げてみよう。

2018年に連載してきた「モンスターエンジンに昂ぶる」。2019年からタイトルを「モンスターマシンに昂ぶる」に変更し、陸・海・空をゆくあらゆる“マシンそのもの”を考察していきたい。2019年1月6日まで、短期集中連載していこう!

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星形エンジンの急激な進化と、複雑化した最終形態
第一次世界大戦の軍用機に採用され、その後35年近く航空機エンジンの主流だった星形エンジン。ところが第二次世界大戦後、まるで恐竜のように完全に消滅してしまう。その最後は、いったいどのようなものだったのだろうか。

まず、星形エンジンの特徴を再確認しておこう。

■放射状にシリンダーを配列しているため、ほぼ1気筒分の奥行(厚さ)しかなく、クランクシャフトを短くできる。クランクシャフトは長いと重くなり、また強度や精度の確保、製造が難しかった。

■シンプルな空冷が最適で容易。全シリンダーが同一面で直接風にさらされ、均等に冷却できる。V型や直列など液冷/水冷に必要な水路や冷却用補器が不要。

■構造がシンプルなので、多気筒化=高出力化しやすい。4サイクルの行程+点火を入れ、5気筒を基本に7気筒、または9気筒で活用されたのが第一次世界大戦時代。

■放射状ピストン配置なので振動を打ち消し合うので、滑らかな回転特性。そのためクランクシャフトへの負担も小さく、トラブル防止に繋がった。

■全シリンダーが機体前面にあるため、V型や直列などと比較して整備性が良い。

以上のように、当時の工業水準や戦場に見合った多くの長所を持っていた。複葉機機時代は7気筒か9気筒の1列配置だったが、約20年後の第二次世界大戦前には金属機体の単葉機となり、2列配置の14気筒か18気筒が主流になる。

第二次世界大戦後期には、シリンダーを大型化し排気ターボを装備した2000馬力級エンジン搭載のアメリカ軍機が制空権を握り、他方ドイツが開発したジェットエンジン戦闘機が、数少ないながら高い威力を見せ始めた。

とくに、戦略上の要となる大型爆撃機に大型化と高速化が求められた。これに応えるように開発されたのが、星形エンジンの最終形態・最高峰といえる7気筒×4列のプラット&ホイットニー(P&W)製R-4360ワスプメジャーだ。

P&Wは「ライト」と並ぶアメリカの2大航空機エンジンメーカーで、日本製で有名な栄/ハ35エンジンは、同社のR-1830ツインワスプを手本としている。また、R-4360のベースは9気筒2列配置のR-2800で、F6Fヘルキャット、F4Uコルセア、P-47サンダーボルトのエンジンと言えば誰もが知るところだろう。

この高性能エンジンを、7気筒×4列という驚きの直結構造とし、しかも後列の空冷効率を考慮して、4列を捻じって配置するという超複雑メカで、なんと3000馬力を実現した!

R-4360ワスプメジャー、驚愕の超複雑メカが仇となり…
第二次世界大戦中、日本が恐れたB-29には「ライトR-3350」エンジンが採用されていた。しかし、大戦後は、パワーも信頼性もイマイチと言われていたこともあり、P&W製R-4360ワスプメジャーに代替され、機名も新たにB-50としてデビューした。

同時により大型で航続力・速力のある新型戦略爆撃機が計画され、下の写真にある現代版ステルス爆撃機のような、XB/YB-35実験機の15機が同エンジンを搭載して飛行している。

結局B-29/B-50の後継は、その3倍もある巨大爆撃機コンベア社のB-36ピースメーカーとなる。しかし、すでに戦闘機はジェット機の時代に突入しており、より高々度を高速で飛ぶ必要が求めらた。つまり、4300馬力のR-4360-51を6発載せても足りず、さらにジェットエンジンを4機も追加する状況だった。

他にも、同エンジンは史上最大のプロペラ機ヒューズH-4ハーキュリーズに8発で搭載されたり、多くの輸送機や旅客機に採用されるが、あまりに複雑な構造が災いし、あっという間にジェットやターボプロップエンジンに交代されてしまうのだ。(文&Photo CG:MazKen/ホリデーオート2018年5月号より)

※航空機のデータは試験飛行条件や資料により大きく異なる。

プラット&ホイットニー R-4360-51 エンジン主要諸元
型式:空冷星形4重28気筒
排気量:75.1L
過給機:1段可変速遠心式スーパーチャージャー+GE製ターボチャージャー×2
離昇出力:4300hp/2700rpm
直径:1397mm
燃料:108/135オクタン航空ガソリン

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(Webモーターマガジン Webモーターマガジン編集部)

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みんなのコメント

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  • kaz*****|2019/01/03 20:31

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    108/135オクタン航空ガソリンって凄いな
    当時の日本のオクタン値は90ぐらいだったらしいから、高性能エンジンでも力を発揮出来なかった
    アメリカはガソリンが良いからエンジンの性能を100%発揮出来た
  • yuj*****|2019/01/03 20:56

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    なにがすごいって、2列でも冷却には苦労したのに、4列をちゃんと冷やして飛べるようにしたっちゅうんやからね。
    B29で最後まで解決しなかったのがエンジンの過熱問題、迎撃する日本機のパワーが出なかったのも冷却問題。
    レシプロエンジンの歴史は冷却の歴史やもんな。
  • yo2*****|2019/01/03 19:51

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    航空機の星型エンジンは凄い多気筒ですね。乗用車のエンジンだとフォルクスワーゲンがブガッティ用に18気筒を開発してたが結局16気筒になりましたが。

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