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一人勝ちなぜ続く? 高額でもトヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」が爆売れする理由

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一人勝ちなぜ続く? 高額でもトヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」が爆売れする理由

■成功したライバルの後追いとして誕生した「アルファード」「ヴェルファイア」

 世の中、あまり景気のよい話は聞こえてきませんが、それでもコンスタントに売れている高級車があります。それがトヨタの高級ミニバンの兄弟モデルであるトヨタの「アルファード」と「ヴェルファイア」です。価格は、一番安いグレードが337万円、一番高いグレードは750万円ですが、高級ミニバンとしての販売ランキングはずっとトップをキープし続け、兄弟車であわせると常に毎月8000台以上売れています。今回は、「アルファード」「ヴェルファイア」の歴史を振り返りながら、そのヒットの理由を探ってみます。

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 現在、高級ミニバンの代表格といえばトヨタの「アルファード」と「ヴェルファイア」の兄弟が筆頭であることは、誰もが認めるところ。しかし、高級ミニバンというジャンルを最初に開拓したのは、トヨタではなく日産でした。それが1997年にデビューした初代「エルグランド」です。

「エルグランド」の謳い文句は「ファーストクラスの室内空間」。つまり、飛行機のファーストクラスのような快適さがあるとアピールしたのです。さらにエンジンには大排気量の3.3リッターV6エンジンを基本とし、車種は乗用専用としました。それ以前のLサイズのミニバンにあった商用車の派生というイメージを打ち消し、“高級感”を前面に打ち出したのです。その戦略は大成功し、「エルグランド」はヒット。“キング・オブ・ミニバン”とまで呼ばれるようになります。

 それをトヨタが黙って見ているはずはありません。2002年に、やはり乗用専用となる「アルファード」を新型の“最上級ミニバン”として発売して、ライバルを追撃します。そして2008年に第2世代目へのフルモデルチェンジの際に「ヴェルファイア」を追加、2015年に第3世代を世に送り出します。一方、ライバルである「エルグランド」は、2002年に第2世代、2010年に第3世代をデビューさせましたが、その戦いの歴史の中で、徐々に「アルファード」と「ヴェルファイア」に圧倒されていきます。

 現在の「エルグランド」の販売は、相当に厳しいもので、日本自動車販売協会連合会(自販連)の月ごとの乗用車ブランド通称名別順位を見ると、2018年の50位以内へのランクインは、3月と9月のわずかに2回。しかも、どちらも48位というギリギリでのランクインです。一方、「アルファード」と「ヴェルファイア」はランキングの常連で、2018年1~6月では「アルファード」が19位、「ヴェルファイア」が24位。ちなみに他のライバルであるホンダ「オデッセイ」は38位、三菱「デリカD:5」は43位。これらに対しても「アルファード」「ヴェルファイア」は、大きな差をつけています。現在のところ、「アルファード」「ヴェルファイア」は、国内のLサイズ高級ミニバンの王者といえる存在になっています。

■ライバルを圧倒する室内空間の広さが魅力

 先行していたライバルである日産「エルグランド」だけでなく、ホンダ「オデッセイ」、三菱「デリカD:5」というライバルを圧倒する「アルファード」と「ヴェルファイア」。その人気の理由はどこにあるのでしょうか。

 トヨタがそもそも持っている販売力の強さも理由のひとつでしょう。モデルライフが長いライバルに対して、現行の「アルファード」「ヴェルファイア」は2015年のモデルチェンジというフレッシュさもアドバンテージです。また、ガソリン車とハイブリッド車を用意するラインナップの豊富さも魅力です。しかし、最大の理由は、やはり室内の広さにあるといっていいでしょう。

 なんといっても「アルファード」「ヴェルファイア」は、室内の高さがライバルに勝ります。ライバル勢の室内高が1300mm前後のところ、「アルファード」「ヴェルファイア」は1400mm。10cmも違うと、明らかに室内の雰囲気が異なります。着席したときの姿勢が、より直立したものになりますし、単純に空間の容積も大きくなります。

 その分、クルマ全体の背が高くなるので、走る/曲がる/止まるといった走行性能にはネガティブに影響します。しかし、ミニバンを買いもとめる人の最大の関心事は室内空間の快適性でしょう。そうしたときに、室内高の余裕がモノを言います。これがライバルを圧倒した最大の理由なのではないでしょうか。芸能人や政治家、企業のトップが「アルファード」を好んで利用するのも納得できます。

 ちなみに、今、日本でもっとも売れているクルマはホンダの軽自動車である「N-BOX」です。2018年1~11月で、22万5263台を売り上げ、小型車のナンバー1である日産「ノート」の12万8260台を楽々に上回ります。この大人気の「N-BOX」のウリも、室内高1400mmもある空間の広さです。

 ある意味、日本は世界有数の室内の広いミニバンが大好きな国といえるでしょう。軽自動車と小型車をあわせて、一番多く売れているのが室内空間の広さを誇る「N-BOX」です。小型車の販売ランキングを見ても、上位20位までにトヨタ「シエンタ」「ヴォクシー」「ノア」、日産「セレナ」、ホンダ「フリード」「ステップワゴン」、それに2列シートですがトヨタ「ルーミー」「タンク」が並びます。自販連の乗用車ブランド通称名別順位の20位までの3分の1ほどがミニバンです。そうした室内の広いクルマの最高級に君臨するのが「アルファード」と「ヴェルファイア」ですから、少々値段が高くても売れるのも当然なのではないでしょうか。

 ちなみに、アセアンや中国などでも「アルファード」と「ヴェルファイア」は人気モノです。とくに渋滞がひどく、お金持ちがお抱え運転手を使うインドネシアでは、ミニバンは大人気。日本からインドネシアへの並行輸入には莫大な関税がかかるため、「アルファード」「ヴェルファイア」は日本円で1000万円以上する超高級車扱いですが、それでも数年前にジャカルタの中心街を訪れたときは、数多くの「アルファード」「ヴェルファイア」の並行輸入車を目にすることができました。ショーファーで使う人には、メルセデス・ベンツの高級セダンよりも、室内が広く高級感のある「アルファード」「ヴェルファイア」を選ぶ人がいるというのです。広い室内を求める人にとっては、日本でも世界でも「アルファード」「ヴェルファイア」は大人気というわけです。

 「アルファード」「ヴェルファイア」の人気の理由は、「ライバルを圧倒する室内空間の広さ」、そして「室内空間を重視する日本という市場の特性」にあるといえるのではないでしょうか。

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