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布製タイヤカバー、その実力は 新「チェーン規制」に適合 「本来は緊急用」

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布製タイヤカバー、その実力は 新「チェーン規制」に適合 「本来は緊急用」

取り付けかんたん、値段も手頃な布製タイヤカバー

 2018年12月14日(金)、国土交通省が「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令」(通称:道路標識令)を改正し、「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の道路標識が新設されました。2018年度冬から全国13の指定区間において、大雪に対する緊急発表などが行われるような異例の降雪時に、「タイヤチェーン必須のチェーン規制」が実施されます。

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 国土交通省は同日に「チェーン規制についてのQ&A」も発表。このなかで、規制に対応するチェーンについて、カー用品店などで販売されているものであれば問題ない(ただしスプレーのように薬剤を吹き付けるタイプのものは不可)とし、参考として次のような種類を挙げています。

・金属チェーンタイプ:金属製のチェーンやワイヤーの製品
・ウレタン&ゴムチェーンタイプ:ゴムなどの樹脂製の製品
・布製カバータイプ:アラミドなどの特殊合成繊維製の製品

 カー用品店「オートバックス」を展開するオートバックスセブンによると、このなかで最も簡便なのが「布製カバータイプ」とのこと。どのような製品なのか同社に聞きました。

――布製のタイヤカバーとは、どのような商品なのでしょうか?

 タイヤにカバーをかぶせる形で使用でき、金属チェーンや樹脂製チェーンなどと比べてコンパクトで軽量です。当社では(株)エフ.イー.シーチェーンさんが輸入している「オートソック」という商品を取り扱っており、軽自動車用は9300円から、普通・小型乗用車用は1万2000円からとお求めやすい価格になっています。

※ ※ ※

「オートソック」の場合、まず駆動輪に半分かぶせ、クルマを動かしてタイヤを半回転させ、残りをかぶせれば装着完了です。オートバックスセブンによると、タイヤとボディーのあいだが狭くチェーンが付けられない(チェーンがボディーをこすってしまう)車種にも使えるほか、ふだんは折り畳まれて袋に収納されているため、トランクに入れてもかさばらないといいます。

本来は「緊急用」

 布製タイヤカバーについて、オートバックスセブンに再び話を聞きました。

――どのような仕組みで、滑らずに走行できるのでしょうか?

 雪や氷に薄い布やメッシュなどを押し当てると、ぺたぺたと張り付くことがありますね。かんたんに言うと、その原理を応用して雪や氷でグリップ力を発揮します。

――長く使えるのでしょうか?

 いえ、長距離の走行には向いていません。金属や樹脂のチェーンであれば、日本自動車交通安全用品協会(JASAA)という業界団体が性能試験を実施しており、600kmの走行に耐えるといった性能を有する商品を認定していますが、「オートソック」を含む布製タイヤカバーについては、そうした認定はありません。

 布製タイヤカバーは、もともと緊急用として開発された商品です。突然の降雪に対し、ひと山乗り越えるといった用途を想定しており、従来、高速道路や一般道で行われてきたチェーン規制(実質的に「冬タイヤ規制」)では、現場の判断で不可とされる場合もありました。

なぜチェーン規制適合となった?

「オートソック」は近年、自動車メーカーの純正品にも採用されているなど、布製チェーンは徐々に普及していますが、その商品カタログにもチェーン規制時には通行できない場合がある旨が注意書きされています。

 それがなぜ今回、国土交通省が導入する新たなチェーン規制で適合となったのでしょうか。国土交通省道路防災対策室によると、現在の法令ではタイヤチェーンの性能を規定する基準がないことが理由のひとつに挙げられるそうです。

 法令において「タイヤチェーンとは具体的に何か」を示しているのは、「道路運送車両法の保安基準」第9条第4項の「タイヤ・チェーン等は走行装置に確実に取り付けることができ、かつ、安全な運行を確保することができるものでなければならない」という条文のみ。このため、物理的に取り付けるものではないスプレータイプは対象外としたものの、布製タイヤカバーについては対象に含めたといいます。

 国土交通省道路防災対策室によると、今後「チェーン規制」が行われる場合には、全国一律で布製タイヤカバーについても「可」にするとのこと。ただ、経過を見たうえで変更もあり得るそうです。

 なおオートバックスセブンによると、布製タイヤカバーは乾燥路を走行すると摩擦で切れやすいそうです。「規制区間を通過したら外すのがよいでしょう」と話します。

【表】「タイヤチェーン必須のチェーン規制」が導入される13区間

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