いったいどんな走り味なんだろう?
クルマ好きならば誰もが思い浮かべる疑問に違いない。そう、ほぼ10年ぶりに登場したBMWの新型3代目オープン2シーター、Z4である。このクルマに対する注目は、その出来映えもさることながら前代未聞のトヨタとBMWのコラボレーションの行方への興味ゆえでもあるだろう。
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今やまさに自動車戦国時代。メルセデスと日産、トヨタとマツダとスバル、経営レベルから一緒になったフィアットとクライスラーなどなどあり得ないブランド同士のコラボレーションが進んでいる。
そして約7年前、踏み込んだ資本関係こそなかったものの、注目すべき関係を結んだのが新日独同盟たるトヨタとBMWなのだ。
まずは2011年12月にBMWからトヨタへのディーゼルエンジンの供給、次世代電池の共同開発がスタート。翌12年6月にはトヨタからBMWへのハイブリッド技術供給、燃料電池車の共同開発、軽量化技術の研究促進、次期型Z4とトヨタ スープラを共同開発が決まった。
そしていよいよ先月11月に欧州で新型Z4が登場。幸運にも小沢はポルトガルのリスボンでの試乗会に招かれたのである。
肝心の3代目Z4は、一見初代&2代目の正常進化にも見える。一方、これは初代オーナーでもあった小沢の個人的感想だが、Z4の第一の魅力は独自のギリシャ彫刻のようなマッチョさにあった。
縦置きFRスポーツの典型たるロングノーズフォルムだが、フロントは極端に上半身ムキムキなスポーツマンのようなボリュームで、リアは逆にギュッと絞り込まれ、プリっとテールがハネ上がっていた。お尻の小さい、過剰に鍛えられたボディビルダーのようなセクシーさが持ち味だったのだ。
比べると3代目は顔がさらにハデに、お尻は横の張り出しが大きくなっている。自慢のキドニーグリルは極端な横長デザインとなり、最新のLEDリングを持つヘッドライトは、輪列が横ではなく縦配置に。上からお椀を被せたようなボンネットは、サイズが大きく、聞けば「現行BMW車の中で最大」とか。
しかし真横からみるとよく分かるが、ロングノーズ&ショートデッキの典型的FRフォルムは変わらない。ディテールが若干劇画調になってはいるものの、魅力の根幹は変わってないのだ。
かたやインテリアは見事にハイテク化。インターフェイスはこの世代から新しい「オペレーティングシステム7」が採用され、メーターは遂に完全にフラットな液晶モニターとなり、クラシカルな丸型のタコメーターとスピードメーターの表示ではなくなった。
センターのワイドモニターも10.25インチとますます大型化し、センターコンソールのタッチパネルで「NAVI」「CAR(車両)」「MEDIA」「APPS」「COM」の5つの階層を自由自在に操れるようになった。
メニューが豊富すぎてすぐには使いこなせないが、走るスマホの世界に徐々に近づいているのは伺える。
よって小沢は走りもてっきりバキバキにハイテク化し、ある意味、人工的なテイストになっているのかも? と予想した。だが乗ってみたらその逆。今まで以上にナチュラルかつ、本格的な味わいへと変貌していた。
最大のキモはBMWが初めてトヨタと共同開発した完全新作プラットフォームにある。その特長はスペックに現れており、ボディ全長×全幅×全高は4324×1864×1304mmと旧型に比べて85mm長く、74mm広く、13mm高くなっているが問題はそこじゃない。
運動性能に大きく関わるホイールベースは逆に26mm縮められて2.5mを切り、フロントトレッドは98mmも広げられている。同時に重心は開発途中に設計変更してまで低く、センター寄りになっている。つまり極端に回頭性重視でロールの少ない「原寸大のレーシングカート」たる寸法的素性を獲得しているのである。
これは乗るとすぐに体感できる。とにかくステアリングがヤケに軽く、ノーズの動きも軽く、それでいて手応えはクッキリ。かつてのBMW 3シリーズを短くしたようなサルーン的な走り味とは違う濃厚かつクリーミーな味わい。これはZ4のプロジェクトリーダーのAndreas Ederer氏も認めるところで「今までのZ4はクルージング向けでしたが、今回はよりダイナミックでスポーティになっています」と。
さらにそこまでだとナチュラルが売りのマツダ ロードスターにも重なるがZ4はパワーが違う。なにしろ今回乗ったトップモデルの「M40i」はBMWのお宝とも言うべき340ps&500Nmの3.0リッター直6ターボを搭載しているのだ。
このエンジンはより変速タイムが縮められた8速ステップトロニックと組み合わされ、0→100km/h加速で4.6秒、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースのラップタイムで7分55秒台を記録した。
かつてカジュアルな大人のライトウェイトスポーツだったZ4は、今回アスリート的正確性を持つ本格スポーツカーへと生まれ変ったのだ。それもゴリゴリにハードなハンドリングではなく、軽く滑らかな味わいを持ちつつ。BMWとトヨタのかつてない提携は、あり得ないような安心感ではなく、あり得ないほどに馴染みやすく濃厚な走り味を獲得したのである。言ってみれば口当たりがよく、なおかつ強烈なウォッカのように濃厚な、そんな走り味とでも言えばいいのか。
なかなか口では伝えきれない不思議な味わいなので上陸したら是非とも試乗してほしい。今回はそうとしか言いようがない。
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