クルマの省燃費化への要望は留まるところを知らない。それに対する要求は、要素部品に顕著に現れる。トランスミッション用軸受を見てみよう。そこには充分な耐久性を維持しつつも、同時に低トルク化が求められるようになってきている。TEXT:川島礼二郎(Kawashima Reijiro)
トランスミッション用軸受として一般的に使われているのは、接触タイプのシールベアリングだ。多数のギヤが回転するトランスミッション内では、摩耗粉などが発生してしまう。そんな硬質異物の軸受侵入による軸受寿命の低下を抑制するため、接触タイプのシールベアリングが採用されている。
ところが接触タイプのシールベアリングはシール部が軸受内輪に接触する構造のため、回転時に引き摺りトルクが発生する。また近年のEVやHEVといった高速回転が必要とされる用途では、シール部の周速限界の制約により接触タイプの適用は困難であった。
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そこでNTNが新開発したのが、超低フリクションシールを採用したトランスミッション用「超低フリクションシール付玉軸受」だ。その特長は、シールリップのすべり接触部に円弧状(半円筒状)の微小突起を等間隔に設けた新構造にある。これにより接触タイプシールベアリングでありながら、回転トルクを従来品比で80%も低減して、非接触タイプシールに匹敵する低トルク化を実現した。
回転時には微小突起によるくさび膜効果によりシールと内輪の摺動面の間に油膜を形成。この油膜によりシールの引き摺りトルクを大幅に低減する仕組みだ。シールリップの突起は微小なため、潤滑油を通しても軸受に有害な硬質異物の侵入を防ぎ軸受寿命も充分に確保できる。異物潤滑下寿命はシールなしタイプと比較して5倍以上を達成した。
自動車用ULTAGE(アルテージ)円すいころ軸受
こちらも新開発された商品。転がり疲労寿命を最大化する円すいころ形状の最適設計技術を小形シリーズ向けに改良適用。高負荷や偏荷重が作用する場合でも転動体(ころ)と軌道輪(内外輪)の接触面圧を均一に形成でき、軸受の潜在寿命を最大限まで引き出す。
超高角高効率固定式等速ジョイント「CFJ-W」
2012年発表の「次世代高効率固定式等速ジョイント(CFJ)」をベースに、各部品の高強度化と潤滑性改善を施し、NTNの独自技術スフェリカル・クロスグルーブ構造を採用することで“世界最高の最大作動角55度”と“従来品(VUJ)比でトルク損失率約50%低減”を両立した。
ステアリング補助機能付ハブベアリング「sHUB」
既存ステアリング装置を変更することなく前輪の転舵・懸架装置に搭載可能で、左右各輪の転舵角度を個別に補正することができるモジュール商品。ハンドル操作角度と車速データをもとにタイヤ転舵角度を最適に補正してコーナリング性能や高速直進時の安定性を向上させる。スリップなど非常時の危険回避をはじめ、自動運転技術にも対応する。
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