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業界ニュース 2018.12.10

1位はアルピーヌ A110!──2018年の「我が5台」 Vol.8 渡辺敏史編

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その姿を初めて目の当たりにしたのは2017年のジュネーブショーだった。MRレイアウトにもかかわらず、RRレイアウトのオリジナル(初代)になるべく寄せたとおぼしきエクステリアデザインをみて、僕でさえ複雑な想いを抱いたわけで、生粋のアルピニストの心境やいかばかりだったろうか。

一方で、押出材を直線的に用いながら切削や鋳造などの加工材を適材適所に配した、美しく無駄のないオールアルミシャシーには大いに期待を抱いた。が、どちらかといえばロータス エリーゼやアルファロメオ 4Cを好むような、場数を踏んだ“走り好き”向きの局所的な性能を想像していた。

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そんなものだから今年、ようやく上陸したA110に触れてみての衝撃は大きかった。ミドシップといえどもクルマの動きはとにかく優しい。ドライバーの操作に対し、綺麗にそして饒舌に反応するサマはマツダ ロードスターにも相通じるところがある。

普通に走っても乗り心地は洗練されており遮音にも気を配ったフシも見受けられるほどだ。スタティックでみても内外装のクオリティは、軽量化とのバーターを言い訳にしたものではなく、乗用車的な設えにほど近い。

A110の大マジメな作り込みや味付けをみるに、彼らは本気でミドシップスポーツカーのリファレンスを目指したのだろう。その位置付けは世界の自動車メーカーがスポーツカーづくりのお手本にするポルシェ ケイマンに最も近い。

その意気に驚かされた以上に感慨深かったのは、少量生産に適すると思われていたこの手のシャシーワークでも、量産化に適したコストパフォーマンスが実現可能なことをルノーが証明した点だった。

開発者自らが「まずは皇室のために」と、その存在意義を言い切る日本でただひとつのクルマだ。リアシートはサイドシルの段差からして乗降性のために均されており、窓は額装された肖像画を思い起こさせるべく真四角に枠取られる。

2度の水研ぎをくわえる7コートのペイントは文句なく世界ナンバーワンの品質だし、Cピラーの塗装面は、降車時に自分の姿を映し、身なりを整えられるように、鏡同然まで磨き込まれている。

乗れば旧LS譲りの5.0リッターV型8気筒エンジン+モーターのハイブリッド仕様は、加減速のリニアリティなど大きく改善されており速度コントロールはドライバーのおもうがまま。ドライバーズカーとしても一級であるが、運転席まわりはスイッチ類がずらりと並べられ、完全に“実務仕様#になっているなど、主従関係のはっきりした作りも含めて日本車離れした孤高の存在といえるだろう。採算云々考えても本当によくフルモデルチェンジしてくれたと思う。

印象的なSUVあるいはクロカンモデルの新型が多かった今年であるが、なかでも衝撃的だったのはカリナンだった。その主旨は至って明快で、悪路上でも徹頭徹尾ロールス・ロイスであり続けられるからだ。

その目標達成もあって、カリナンは極限的なオフロードスペックは有していない。丸太や岩場をガシガシ乗り越えるような仕事はそれこそクロカンモデルに任せ、その手前までの路面状態であれば最良の乗り心地を約束する。

しかも、悪路を走るためにわざわざ“特別な儀式”はなく、必要なのは「Everywhere」と呼ぶオフロードボタンを押すのみ。舗装路では、ゴーストを上まわる快適性を披露しながら、ガレ場でさえ車体を揺することもなく、外界を遮断した独特の静寂とともに粛々と歩を進める。

ロールス・ロイスで悪路を走るという悪趣味にもみえる経験が、これほど異界的な豊かさを感じさせてくれるものとは思わなかった。

伝統的なクロスカントリーモデルのフルモデルチェンジが相次いだなか、Gクラスはユーザーニーズにも鑑みつつ、全幅の拡大とフロントサス及び操舵系の構造変更によってオンロードでの動的な質感が一気に向上した。もう交差点でハンドルを戻し遅れることも、高速道路で轍に悩まされることもない。

一方、勘どころの悪路走破性は最小限の電子アシストデバイスをくわえながらも、デフロックを任意で選択出来るなどアナログ的な作法もきちんと残す。フルフレームシャシーにコイルサスを組み合わせるがゆえ、期待されるタフネスぶりを損なわないよう配慮しているのだろう。好感がもてる。

シャシーの刷新により強大なパワーも受け止められるようになったため、AMGモデルのG63の商品力も大いに高まったが、それでも個人的には来年追加されるはずのディーゼルモデルが本丸だと思う。

一線級のスポーツカーとも対峙しうる運動性能を備えつつも、2+2シーターのゆとりあるキャビンなどラグジュアリークーペ的な側面も併せ持つ、日本車としては稀有なコンセプトの贅沢な1台。

今年は操舵系の骨格やブッシュ、ダンパーなど動的質感の改善に細かく手が入れられ、そのライドフィールには確実に洗練の跡がみてとれる。内外装の設えはそのままであるが、大胆なプロポーションのエクステリア然り、独創的なトリムのインテリア然り、その存在感は2年近く経つ今もまったく色あせていない。個人的にはそろそろ内外装にもう少し落ち着いたカラバリが追加されてもいいように思う。

【著者プロフィール】
渡辺敏史(わたなべとしふみ):1967年、福岡生まれ。企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)で2輪、4輪誌の編集経験を経て、フリーランスの自動車ジャーナリストとして独立。海外の取材も積極的にこなし、国内外の最新モデルや最新の技術、時代に求められる自動車のあり方などを、専門誌や一般誌、ウェブ媒体などで紹介する。

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(GQ JAPAN 渡辺敏史)

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