現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 超弩級スバルSTI限定車が即完売 WRX STIコンプリート車2台の超性能と次期型に迫る

ここから本文です

超弩級スバルSTI限定車が即完売 WRX STIコンプリート車2台の超性能と次期型に迫る

掲載 更新
超弩級スバルSTI限定車が即完売  WRX STIコンプリート車2台の超性能と次期型に迫る

 スバルの子会社であり、公認チューニングカーメーカーのスバルテクニカインターナショナル(STI)がリリースする、STIコンプリートカーの人気は凄まじく、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。

 WRX STIベースのコンプリートカーはS207、S208、タイプRA-Rが発売されたが、いずれも高額にもかかわらず、即完売状態が続いている。

夢のミッション!? 滅びゆくテクノロジー!? 2ペダルMT「DCT」が日本で普及しない理由

 すぐ売り切れてしまい、欲しくても買えない……。次のSTIコンプリートカーが発売されるまで、待ちきれない。そんなスバリストたちの声を受けて、メーカーがやらないのならと、2018年11月1日、群馬のスバルディーラーがWRX STIベースのコンプリートカー、TC380(限定50台)を発表した。

 その直後の11月14日、南アフリカのスバルが、STI創立30周年を記念して、WRX STIベースのダイヤモンドエディションを限定30台で販売した。

 まさに本家がやらないのなら、うちがやる、そんな2台のご当地コンプリートカーは、どんなクルマなのか? もう完売したのか? これを見て、本家STIはどう思っているのか? 生粋のスバリストである、モータージャーナリストのマリオ高野氏が解説する。

 さらにベストカーWebが掴んだ本家STIの次のコンプリートカーの情報もお届けしよう。

文/マリオ高野、ベストカーWeb編集部


写真/富士スバル、ベストカー編集部、スバル南アフリカ(SSA)

■群馬県の富士スバルがてがけたWRX STI TC380

 2018年7月19日に限定500台で発売したWRX STIタイプRA-Rは、発売開始からわずか2時間で完売したのが記憶に新しい。

 STIは1998年に初のコンプリートカー、22B-STIバージョンを限定400台で発売したのを皮切りに、インプレッサWRX STIやレガシィ、フォレスターなどのコンプリートカーをリリースしてきている。

 どのSTIコンプリートカーも人気だが、2015年10月28日に限定400台で発売したS207から、さらに人気が加速してきている。S207は、発表日当日即完売という状態だった。

 続いて、2017年10月25日に発売したS208は限定450台だったが、その人気ぶりを考慮し、抽選販売という方式をとった。結局、応募総数は約5.8倍にあたる2619件が集まった。まさかこれほどの応募が集まるとはメーカー自身も思っていなかったらしい。

 STIコンプリートカーは買いたくても買えない……。もっと台数を増やしてほしい……。熱狂的はスバリストは次のSTIの発売が待ちきれない、といった状況だろう。

 そんなスバリストたちのニーズに応えるべく、SUBARUのお膝元である群馬県太田市の正規ディーラー、富士スバルから限定50台の衝撃的なコンプリートカーが2018年11月1日に発表された。その名はTC380。

「TC」とは「テクノロジー」のTと「コンペティション」のCから名付けられている。「380」は最高出力を表す。もちろんこれはこれまでのSUBARU車やSTIの限定車の中でも群を抜いた数値となる。

 ちなみにWRX STIのベース車は308ps/43.0kgm。S207は328ps/44.0kgm、そしてS207とタイプRA-Rは329ps/44.0kgm。

 スバル、STIがリリースしたコンプリートカーの最高到達点は329ps。これをあっさりとぬいて380psのSTIを出したのである。メーカーが出さない、いや出せないから、出してしまったのである。

 最新型のWRX STIをベースに、国内外のラリーマシン作りで実績のある、ラリードライバーの新井敏弘氏が率いるアライモータースポーツが特別なエンジンチューニングを施している点が最大のポイント。

 開発コンセプトについて、富士スバルの須永隆則氏は 、

「スバルの地元ディーラーとして〝愉しさ〟をもっとお客様に提供するにはどうすれば良いのかを考えた結果、夢のあるコンプリートカーの発売を企画しました。アライモータースポーツやHKS社、レカロ社をはじめ、多くの方々にご協力をいただき実現したプロジェクトです」と語る。

 オリジナルのキーケースも質感やデザインにこだわったモノだが、TC380のプロジェクトを推進した須永氏は、多くのパーツメーカーの協力なくして実現できなかったと、まずは協力メーカー各社に感謝の意を評したいと語った。これだけの内容でギリギリ500万円以下に抑えられたのも、パーツメーカーの協力なくしてありえなかったという。

■WRX  STI TC380


■価格/496万5840円(ベース車/386万6400円、カスタマイズ費用/109万9440円)

■主なカスタマイズメニュー

■メカニズム関係


●HKS製 GTIII RS スポーツタービンキット


●HKS製スーパーターボマフラー


●HKS製メタルキャタライザー


●アライモータースポーツ社製 フロントメンバーブレース


●アライモータースポーツ社製 RQAエアフィルター

■エクステリア


●TC380専用カーボンリップスポイラー


●TC380専用リアオーナメント


●TC380専用シリアルナンバープレート(エンジンルーム)

■インテリア


●シリアルナンバープレート(コンソール)


●TC380オーナメント(インパネ加飾)


●TC380専用RECAROスポーツシート(シリアルID入り)


●TC380専用キーウェアジャケット(シリアルID入り)


●TC380専用車検証ケース

■TC380開発メンバー(富士スバル)は川田雅史さん、須永隆則さん、小川 雄さん、須田和彦さん、齋藤光章さん、塚越 隆さん、大橋良平さんの7名



■走りは新井敏弘氏が監修「Tuned by TOSHI ARAI」

 そんな富士スバルとタッグを組み、性能や乗り味を監修したラリードライバーの新井敏弘選手は、

「TC380は、WRCや全日本ラリーなど、私が国内外のラリーフィールドで培ったノウハウをフィードバックしたクルマです。ドライバーが納得して自らの選択に自信を持つことができるよう合法的にパワートレーンをチューンしました。

 サスペンションやエアロなどは個人でカスタマイズを楽しんでいただく前提としています。WRX STIとともに磨かれ続けたEJ20エンジンを真に愛していただける方に乗っていただきたいですね」と、スバル車を大切に愛する人に届けたいとの思いを語った。

■圧倒的に乗りやすく、体感的にも380psが実感できる

 注目のパワートレーンは、高出力と高レスポンスを両立できることで知られるHKSのGTIIIと呼ばれるタービンキットと、低背圧を極めた排気系により、約380psをマークする。

 追求したのは馬力の数字ではなくドライバリティで、TC380に乗ると、高回転域で炸裂するパンチが露骨にスゴイので、相対的に低回転域の印象が薄れるところがあるが、実は低速トルクが非常に厚くなっているので、どんな場面でも圧倒的に乗りやすい。よい意味でチューニングカーらしさがなく、自動車メーカーが手がけたコンプリートカーに遜色がない。

 EJ20エンジンの積年の課題だった、ターボを高回転まで回した時のオイルの攪拌抵抗の大きさと、アクセルを踏み込んでから過給圧が高まるまでのトルクの細さを解消させる方向に仕立てられた。

 HKSのGTIIIはフローティングメタル式なので、タービンのインペラ(羽根)を包み込み排ガスを加速して過給することでボールベアリングに遜色のない速さのレスポンスを実現する。

 ブーストがかかる前の領域は低背圧を極めたマフラーの効果で、まるで大排気量NAエンジンのように負圧域からスッと前に出るトルクが発揮される。S#モードで全開にすると、公道では恐ろしさを感じるほどにパワフルで、体感的には掛け値なしに380psが出ていると思えた。

 開発を手がけたエンジニアによると、最新型EJ20の潜在性能からして380psは「序の口」レベルの出力で、要望があれば合法な範囲でのチューニングでもさらに上のピークパワー引き出せる。出力的な発展性が他のコンプリートカーとは異なる点であるという。



■限定50台は受注台数に達し、ほぼ完売状態!

 ただし特別な仕様のため、パワートレーンのメンテナンスについては、基本的に発売元の富士スバルに依頼すべきであるなど、通常の新車とは異なる意識や覚悟を持つことが求められる。

 カスタマイズ部品の保証期間は車両が登録されてから1年間もしくは、その期間内でも走行距離が2万kmまで。カスタマイズ部品以外の保証期間はメーカーであるスバルの保証期間に準じる。ただし、スバルが設定している「特別保証」は適用されない。

 もちろん、エンジンに関する保証も富士スバルでのみの対応としている。販売エリアは購入後、富士スバルに整備入庫(持ち込み)が可能なユーザーのみ。群馬県太田市から遠く離れた地域のユーザーには、それがネックとなるが、そういった部分も納得できるかどうかも重要だ。

 11月1日に発表後、11月3日から注文を受け付け、11月3日、4日の富士スバル太田店の5周年記念祭を実施した会場にTC380を展示したそうだが、その2日間で受注台数の50台の達したそうだ。

 その予約台数のうち、正式には36台が販売済み、残り14台はほぼ完売(商談中)とのこと。商談中の人が辞退した場合の商談権利待ちの人もいるという。

 内容を考えると割安とはいえ、このご時世、約500万円のハイパワースポーツセダンが一瞬で完売とは……、スバリストおそるべし。

 TC380が成功を収めたことで、次の新たなる富士スバルのコンプリートカーにも期待が高まる。さらに、TC380の存在が本家のSTIから生み出される限定車の企画に影響を与え、コンプリートカー市場が盛り上がって欲しいところだ。

※詳細は2018年12月10日発売のベストカー1月10日号にTC380の試乗記事を紹介していますので、ぜひお買い求めください!

■スバル南アフリカが発売した354psのSTIコンプリートカーも完売!

 そして、もう1台のご当地コンプリートカーは、南アフリカのスバルから「ダイヤモンドエディション」という名で特別な限定車が誕生。

 こちらは最高出力354ps/47.3kgmで、エンジンマッピングの変更やプロドライブ製のパフォーマンスエキゾーストを装備するなど、往年のWRCファンにはグッとくる仕様になっている。

 STIの設立30周年を記念し、限定30台でスバル南アフリカによって2018年11月14日に発表された。価格は日本円で約633万円。

 0→100km/h加速はベース車のWRX STIに対して0.7秒短縮した5.03秒、最高速度は255km/hに達するという。

 エクステリアはハイビズイエロー塗装のフロントリップスポイラー、サイドスカート、リアアンダースポイラーが装着されており、245/35R19タイヤを組み合わせている。

 このダイヤモンドエディションもすでにサイトもなくなっており、限定30台は完売したようだ。

 そのほか、2019年初頭に北米でS209ともいうべき、STIコンプリートカーが出るという情報も入ってきている。メーカーが出さないから、今後もご当地コンプリートカーがますます増える?

■STI商品開発本部・森宏志部長に直撃!

「もっと刺激的な スバル車が欲しい!」という要望の高まりは世界的なものになっているのは明らか。これらのご当地オリジナルのスペシャルチューン車の相次ぐ発売を受けて、STIは大きな刺激を受けている。

 STIの限定車の開発を手がける森宏志部長は、

「我々にとっても大きな刺激になっています。RA-Rの即時完売や、TC380のようなモデルの誕生を受けて、我々に期待してくださるお客様の満足度を高めるために、これまで以上に特別感のあるクルマを作らねばとの使命感がさらに高まりました」と語った。

■STIのスーパースポーツが、2019年末についに出る!

 次のSTIコンプリートカーがどうなるのか? いまベストカーWeb編集部が入手している情報を最後にお伝えしよう。

 いよいよSTIが動き出す。STIが満を持して投入する、STIのスーパースポーツがそれだ。これまでベストカーWebが何度も取り上げているとおり、現在、開発は着々と進んでいるという。

 現段階では、メーカーとしてのコンプライアンスや日常域での使いやすさを考慮して、EJ20エンジンは350ps程度に抑えられているというが、STI社内には380ps~400ps程度にしようとする声も高まっているという。

 まさにSTI史上最強のスーパースポーツは22B-STIバージョンの再来ともいうべきもので、大型のブリスターフェンダーを装着。すでに最終仕様がスバルとSTIの役員会議で決定。2019年末のデビューを予定している。

 もう待ってられない! という声に、早く応えてほしい!

こんな記事も読まれています

正確、確実、多用途! ダイナミックな走行テストを受ける新型「BMW X3」
正確、確実、多用途! ダイナミックな走行テストを受ける新型「BMW X3」
LE VOLANT CARSMEET WEB
ロータリーエンジン復活へのノロシ!? 半世紀前に登場した近未来デザインスーパーカー マツダ「RX500」が実車展示 その深い歴史とは
ロータリーエンジン復活へのノロシ!? 半世紀前に登場した近未来デザインスーパーカー マツダ「RX500」が実車展示 その深い歴史とは
VAGUE
マツダ新型「最上級セダン」世界初公開!? “横一文字”テール&「後輪駆動」採用!? 新型「マツダ6!?」まもなく中国に登場か
マツダ新型「最上級セダン」世界初公開!? “横一文字”テール&「後輪駆動」採用!? 新型「マツダ6!?」まもなく中国に登場か
くるまのニュース
チームメイトに敗北が続くシャルル・ルクレール、言い訳はなし? 「彼はシンプルに良い仕事をしてる」
チームメイトに敗北が続くシャルル・ルクレール、言い訳はなし? 「彼はシンプルに良い仕事をしてる」
motorsport.com 日本版
トヨタ プリウス、13万台をリコール…走行中にドアが開くおそれ
トヨタ プリウス、13万台をリコール…走行中にドアが開くおそれ
レスポンス
ホンダ、「N-VAN」を一部改良して発売、特別仕様車「STYLE+ NATURE」を同時発売
ホンダ、「N-VAN」を一部改良して発売、特別仕様車「STYLE+ NATURE」を同時発売
LE VOLANT CARSMEET WEB
写真で見るニューモデル トヨタ「ランドクルーザー250」(日本仕様車)
写真で見るニューモデル トヨタ「ランドクルーザー250」(日本仕様車)
日刊自動車新聞
MAXWIN のバイク用スマートモニター「M2-02」約20%OFF の6万500円で一般販売を開始!
MAXWIN のバイク用スマートモニター「M2-02」約20%OFF の6万500円で一般販売を開始!
バイクブロス
【MotoGP】アプリリアで勝利達成ビニャーレス、スズキ&ヤマハ時代とは「異なる価値がある」
【MotoGP】アプリリアで勝利達成ビニャーレス、スズキ&ヤマハ時代とは「異なる価値がある」
motorsport.com 日本版
【リコール】ステランティス プジョー、シトロエン、DSブランドの7車種5900台超でDPFフィルター不具合 
【リコール】ステランティス プジョー、シトロエン、DSブランドの7車種5900台超でDPFフィルター不具合 
Auto Prove
EV普及のゲームチェンジャーとともに、クルマづくりのゲームチェンジャーも明らかに!日産全固体電池パイロット生産ライン見学会レポート
EV普及のゲームチェンジャーとともに、クルマづくりのゲームチェンジャーも明らかに!日産全固体電池パイロット生産ライン見学会レポート
Webモーターマガジン
【ヤマハ】「Yamaha R3 bLU cRU Asia-Pacific Championship」第6戦をオーストラリアにて11/8~10開催
【ヤマハ】「Yamaha R3 bLU cRU Asia-Pacific Championship」第6戦をオーストラリアにて11/8~10開催
バイクブロス
ヤマハ主催「The Dark side of Japan Night Meeting 2024」 “MTのMTによるMTのためのMeeting”開催
ヤマハ主催「The Dark side of Japan Night Meeting 2024」 “MTのMTによるMTのためのMeeting”開催
バイクのニュース
トヨタ車体が1人乗り「りょくまる」実車展示! 小さな丸目が斬新スギ!? 「謎の小型車」が実は凄かった
トヨタ車体が1人乗り「りょくまる」実車展示! 小さな丸目が斬新スギ!? 「謎の小型車」が実は凄かった
くるまのニュース
ギャルにも響く メッチャかわいい人生初の愛車[ワゴンRスマイル]を仮免で早くも納車された強者がいたああ
ギャルにも響く メッチャかわいい人生初の愛車[ワゴンRスマイル]を仮免で早くも納車された強者がいたああ
ベストカーWeb
ヤマハYZF-R7はバイク版のユーノス ロードスター(初代)だ!!「自分の腕だけで勝負したいアナタに」
ヤマハYZF-R7はバイク版のユーノス ロードスター(初代)だ!!「自分の腕だけで勝負したいアナタに」
モーサイ
アルファロメオ、新コンパクト『ミラノ』……改め『ジュニア』が世界初公開。HVに加え初BEVも
アルファロメオ、新コンパクト『ミラノ』……改め『ジュニア』が世界初公開。HVに加え初BEVも
AUTOSPORT web
70.5kWhの高電圧バッテリー搭載で一充電走行距離は591kmに延長! メルセデス・ベンツが新型EQAを発売
70.5kWhの高電圧バッテリー搭載で一充電走行距離は591kmに延長! メルセデス・ベンツが新型EQAを発売
THE EV TIMES

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

452.1485.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

84.91180.0万円

中古車を検索
WRX STIの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

452.1485.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

84.91180.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村