1963年のデビューから今年で実に55年。スポーツカーのアイコン、ポルシェ911が通算8世代目となる新型へと生まれ変わった。お披露目の舞台となったのはポルシェ エクスペリエンスセンターLA。そう、ここアメリカは911にとって今も世界最大のマーケットなのだ。
テストコース上に作られた特設会場で行われた発表イベントでは、まずこれまでの7世代の911が次々に走行しながら登場して、改めてその歴史の長さ、連続性がアピールされた。そして最後に登場したのが、タイプ992のコードネームで呼ばれる新型。ポルシェAGのオリバー・ブルーメ社長、ポルシェ デザイン部門トップのミハエル・マウアー氏、そして911開発責任者のアウグスト・アハライトナー氏などが登壇し、ポルシェのアンバサダーを務めるマーク・ウェバーらとトークを繰り広げ、その魅力をアピールしたのである。
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歴代モデルを眺めたあとに、まずお披露目された新型911カレラS、そしてカレラ4Sを見て、まず感じたのはその凝縮感の高さだ。従来のタイプ991と較べて線が太く、力強い印象と言える。
そのひとつの要因がボディサイズ。新型は全長がほとんど変わらない一方で、後輪駆動も4WDも全幅が共通となり、後輪駆動のカレラSで言えばリアフェンダーが40mmワイドになっている。しかも新型はフロントボディもそれに合わせて幅が広げられているのである。さらにタイヤサイズはフロントが20インチ、リアが21インチとリアが大径化されている。これらの相乗効果で、視覚的にマッシヴ感が強まっているのだろう。
ディテールを見ると、ヘッドライトの形状が微妙に変更され、ピーナッツ状だったタイプ991から、より楕円に近づいているように見える。正面から見ればもちろん、ほぼ真円だ。テールランプは最近のポルシェの様式に従って左右が連結され、そこに「PORSCHE」のロゴが埋め込まれている。すっきりとした面構成と相まって、どちらから見ても往年のモデルへのオマージュを感じ、同時に未来的な雰囲気をもうまく醸し出していると言えるのではないだろうか。
インテリアも、やはり受ける印象は似ている。タイプ996からタイプ991までの縦型のセンターコンソールは廃され、ダッシュボードは水平基調のデザインに。これは言うまでもなく初代からタイプ993までの空冷時代の911のイメージだ。中央の回転計だけアナログのまま残され、その左右に7インチモニターを並べたデジタルメーターパネルにも、5つの円形メーターが重なり合うことなくきれいに並べられている。これはインテリアデザイナーのこだわりだそう。大型10.9インチタッチスクリーン、触感フィードバックスイッチを使ったセンターコンソールなど未来的要素を用いながら、911ファンならニヤリとするに違いないモチーフを効果的に引用し、歴史の連続性を見る者にしかと意識させる、技アリのデザインである。
このデザインをさらに引き立てるべく、トリムにはカーボン、ボディ色などに加えて久々にウッド素材が復活している。また、フロントシートの背もたれを前倒しするには、革紐を引くようになっている。こんな具合で細部に911マニアの心をくすぐる要素が満載されているのだ。
こうしてデザインが明らかになった一方で、実は主要諸元やメカニズムについては今回は多くは発表されなかった。まず登場したのはカレラSとカレラ4Sで、いずれもエンジンは最高出力450psの水平対向6気筒3.0リッター ターボ。トランスミッションは8速PDKで、おそらく7速になると言われるマニュアルギアボックスは2019年に追加になるとされる。0→100km/h加速はスポーツクロノパッケージを装着したカレラSで3.5秒、カレラ4Sでは3.4秒という俊足ぶりを示し、最高速はカレラSで308km/hに達する。もちろん、ベーシックなカレラも遠からず揃うはずである。
シャシーも詳細は不明だが、ウェット路面での安定した走行を可能にするポルシェウェットモードの採用がアナウンスされている。ホイールハウス内の音響変化から雨天を検知し、ドライバーに設定を促すこのモード、切り替えるとエンジン、トランスミッション、ESP等々の制御が変更されて、より安心して走行できるようになるという。その他、ナイトビジョンアシストも、911では初採用の先進アイテムだ。
実は明かされている情報はこれぐらい。さすがに、ちょっと物足りない……と思っていたら、ポルシェジャパン広報氏が911開発責任者のアウグスト・アハライトナー氏との即席インタビューセッションをアレンジしてくれた。ここで短時間ではあったが、さらに突っ込んだところを聞くことができたので、紹介しておく。
まず軽量化に関しては、従来はスチール製だったリアフェンダーを含むパネルをアルミ化するなど推進はしているものの、重量増に繋がるアイテムも多く、相殺された結果、軽くはなっていないという。重くなる要素はたとえばガソリン微粒子フィルター、8速PDK、大径化されたリアタイヤなど。ガソリン微粒子フィルターは欧州の最新排ガス規制をクリアするには必須だし、8速PDKも重くはなるがトータルでのパフォーマンスは高まるという。
「この8速PDKは、構造的には中に電気モーターを収めてハイブリッド化も可能です。ただし、開発は簡単ではなく、今の時点では将来ラインナップされるかどうか明言できません」
大径リアタイヤは車重が重くなるものの、そもそも8速PDKなどでリアが重くなっていることもあり、必要なグリップをもたらすものとして採用したという。カレラ系では、前後19/20インチも用意される模様だ。
「ポルシェウェットモードは、タイプ991がドライ路面で素晴らしいパフォーマンスを発揮できるモデルだった一方、ウェットでは改善の余地があったことから開発しました。車体が軽量で、ワイドなタイヤを履くクルマにとってウェットでの操縦安定性は課題ですが、うまくできたと思います」
様々な改良により、新型911カレラSはタイプ991と較べてニュルブルクリンク旧コースでのラップタイムを5秒短縮しているという。つまり7分30秒を切るタイムを記録しているのだ。
「タイムだけを狙うなら10秒短縮することもできたかもしれません。ですがこのクルマは911ですから、すべてにバランスの取れた性能向上を目指したのです」
要するにすべての変更点に理由があり、性能向上に貢献しているということ。さすが911の新型である。
この新型911の発表の翌週、ポルシェAGは911の開発責任者として実に18年を過ごし、現在63歳となるアハライトナー氏のリタイヤを発表した。後任は現在、ル・マンGTEカテゴリーでのレース、そして市販車のGT系モデルを担当するGTプログラム担当副社長のフランク・シュテファン・バリザー氏が務めると併せて明らかにされている。
言わば“ミスター911”の置き土産でもあるタイプ992がどんな走りを見せるのか。早く試してみたいが、ポルシェは我々をもうしばらく焦らすつもりのようである。
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