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業界ニュース 2018.12.6

「移動給油所」はGS過疎を救うか 「どこでもスタンド」でタンクローリーから直接給油

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ガソリンの「移動販売」本来はできないワケ

 ガソリン需要の減少や、後継者不足などを背景に、ガソリンスタンドが減少し続けています。特に過疎化が進む地方では深刻で、2018年3月末現在においてスタンドが3か所以下しかない自治体は、全国で312にも上っています。

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 そのようななか、静岡県浜松市が経済産業省の補助金を活用し、2018年11月から2019年1月まで、市内の山間部で日本初となる「移動給油所」の実証実験に取り組んでいます。通常、ガソリンスタンドでは地下タンクに貯蔵した燃料を供給しますが、今回の実験は可搬式の計量機「どこでもスタンド」を介し、タンクローリーから一般のクルマへ直接給油するというものです。浜松市の市民協働・地域政策課に話を聞きました。

――今回の実験にはどのような背景があるのでしょうか?

 天竜区の春野地域でガソリンスタンドがなくなるとわかり、地元から対策の要望書をいただいたことがきっかけです。そこで、経済産業省の「SS(サービスステーション)過疎地対策検討支援事業補助金」に応募し、今回の実験を行うことになりました。2018年11月にまず3日間、同じ天竜区の龍山地域にあるガソリンスタンド跡地で実施したほか、今後1月までのあいだに龍山地域・春野地域で計4回行います。

 両地域は公共交通がなく、生活にはクルマが不可欠です。灯油は民間業者が移動販売を行っていますが、ガソリンは通常、そのような販売ができません。また、実験で使っている「どこでもスタンド」と呼ばれる計量機は、同時に複数油種を取り扱えない仕様であるため、今回はレギュラーガソリンの販売に限定しています。

――タンクローリーからの給油は、これまで行われていなかったのでしょうか?

 消防法により、タンクローリーからクルマへの給油は原則として認められていませんが、災害発生時に10日以内のあいだ、臨時的に認められる制度があります。今回はそれを特別に適用したものです。

――ドライバーが自分で給油できるのでしょうか?

 いえ、給油は専門のスタッフが行います。今回の実験は特例ということもあり、給油する者、それを監視する者、仮設給油所の交通誘導を行う者も含めてスタッフ6人体制で行い、一般ドライバーも給油の際にいったんクルマを降り、そこから離れてもらうなど、安全を確保したうえで実施しています。

経済産業省としても「新たな試み」 地元からの標板は?

――実運用となった場合、どのような体制になるのでしょうか?

 細かな決まりは今回の実験結果を踏まえ、経済産業省や消防庁で検討していくこととなりますが、事業としては自治体が行うのではなく、民間で行うことを想定しています。今回の実験でも、運用は地元の業者に委託しています。

――地元からの評判はいかがでしょうか?

「近場で給油できるのはありがたい」というお声をいただいています。1回目に実施した龍山地域は、実験場所となった旧ガソリンスタンドが10年前に廃業して以来、住民のみなさんは給油のために片道10km以上の距離を往復しなければならない状況です。加えてこの地域では高齢化も進んでいます。日にちと時間を決めたうえで限定的に給油所として開設するだけでも、利便性は大きく改善するでしょう。

※ ※ ※

 ガソリンスタンドの減少対策に取り組む、経済産業省 資源エネルギー庁も、今回の実験を、ひとつの新たな試みと位置付けています。

 一般的にガソリンスタンドと呼ばれる「給油取扱所」は、危険物施設(危険物の製造所、貯蔵所、取扱所の総称)のひとつで、地下タンクをはじめとする安全を確保するための細かな施設基準が消防法で定められています。ガソリンの揮発性や可燃性が高いことなどによるもので、指定数量以上(ガソリンの場合200リットル以上)の危険物を貯蔵したり、取り扱ったりすることは、危険物施設以外では原則としてできないことになっています。

 しかし、来店客が少ない過疎地におけるガソリンスタンドの採算性維持が困難となるなか、地域特性に応じた効率的な運用形態についても、経済産業省および総務省消防庁で検討されてきました。そのひとつが今回の、タンクローリーから直接給油する「移動給油所」という形態です。資源エネルギー庁は、「過疎地の拡大は避けられないことからも、ガソリンスタンドの『維持』だけでないあり方を視野に入れていく必要があります」と話します。

 資源エネルギー庁によると、今回の実験は「ガソリンスタンドの再開見込みが立たない」という浜松市からの相談を受けて実施に至ったとのこと。同庁は計4か所の運用状況を踏まえて、今後の展開を検討していくそうです。

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(乗りものニュース 編集部)

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