トヨタが販売店を再編するというニュースが2018年11月1日に入ってきた。販売車種を販売店ごとに分けてきたトヨタだが、この販売店ごとの車種制限をなくすという。
そうなると今までトヨペット店でしか買えなかったハイエースを全店舗で購入できるようになるなど、大きな変革を迎えそうなのだ。
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販売店はいったいどのように変化するのか? ユーザーにとっての利益はどこにあるのか? 大変革を迎えるトヨタ販売網に迫ります。
文:奥野大志/写真:ベストカー、AdobeStock
■全販売店全車併売で販売競争は激化する!!
2018年11月1日にトヨタから発表された販売ネットワークの変革に関するリリースは、自動車業界の関係者にとって「ついに来たか」と思わずにはいられない内容だった。
リリースの内容はこうだ。
「どのお店でも地域のお客様の求める、あらゆるニーズに対応できるモビリティサービスを展開していく前提として、2022年~2025年を目途に、原則、全販売店全車種併売化を実施します」(原文まま、一部抜粋)
トヨタは現在、販売店を4つのチャネル、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店に分けている。
チャネル毎に専売モデルを販売しているが(一部併売車種もある)、それをやめて、全車種併売にする。
つまり、2025年にはどのチャネルでもすべてのトヨタ車が買えるようになる。4チャネルはこれまで通り維持する。
しかし車種は整理、統合していくことが明らかになっており、トヨタの国内販売を支えてきた全国のディーラーにとって大きな変化であることは間違いない。
これにより、クルマ販売の現場にさまざまな影響が出ることが予想されるが、一番わかりやすい例がチャネル間の競合。
特定のチャネルの専売車種となっている人気モデルが併売になった瞬間に、販売競争が熾烈になることが予想される。
併売から専売への切り替えは、フルモデルチェンジの時に行われると思われる。
■鍵を握るはトヨペット店専売のハイエース
専売モデルの中でも、クラウン、アルファード、ヴェルファイア、ヴォクシー、ハイエースなどが特に人気だが、中でも注目なのがトヨペット店専売のハイエース。
ご存じの通り、現行の200系はデビューから10年以上経過しているにもかかわらず、職人さんや法人、趣味を楽しむ人たちの間で大人気。
人気グレードのスーパーGLは乗り出し300万円スタートの高価格モデルで、トヨペット店の収益に大きく貢献している。
ちなみにネッツ店の専売モデルとして姉妹車のレジアスエースが存在するが、今後行われる車種整理で、ハイエースに一本化されると思われる。
「地域」をキーワードのひとつとしてかかげているトヨタディーラーにとって、これらの客層はマストでおさえておきたいところ。
そのため、大きなアドバンテージがあるトヨペット店とレジアスエースのノウハウが活かせるネッツ店、それとトヨタ店、カローラ店の間で仁義なき戦いが勃発すると予想する。
ディーラー関係者のなかには「泥試合に発展する」と予想する者もいるほどで、いろいろな意味で全車併売の試金石になるのは間違いない。
すでに戦いの準備は進められているだろう。とはいえ、我々ユーザーの立場から見たら、これはウエルカムな状況。
競争が発生すれば、サービスはより向上するだろうし、これまでは考えられなかった販売方法や、斬新な発想の特別仕様車が登場するかもしれない。
もちろん、価格の面でも期待するだろう。ハイエース以外の専売モデルに関しても、チャネル間の競争になるのは同様なので、しばらくの間、トヨタディーラーの動向から目が離せないだろう。
■新型ハイエースレジアスの登場も間近で競争も激化!?
(TEXT:ベストカーWeb編集部)
ベストカーが以前からお伝えしてきたとおりハイエースには2020年春ごろに「ハイエースレジアス」が復活するのでは、という情報が入ってきている。
バンのハイエースは現在でも大人気の商用車だが、かつて存在したミニバングレードの「ハイエースレジアス」が復活するという。
この復活も販売店にとってはかなり有利に動くはずだ。というのもアルファード/ヴェルファイアの価格帯がかなり高くなっており、その少し手前の車種を求める層からの引き合いは大きいのだ。
現在でいえばミニバンラインナップで頂点のアルファード/ヴェルファイアの対抗馬として、新型ハイエースレジアスが生きてくる。
ディーラマンとしてもノア/ヴォクシークラスまで譲歩しなくても、その中間であるハイエースレジアスを勧めることができるのだ。
車種半減などさまざまな可能性も示唆されているトヨタ。しかしユーザーが望むクルマをより安く提供できるという点からすれば、全店併売は大いに歓迎すべきかもしれない。
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