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業界ニュース 2018.11.30

【プロフェッサー武田の現代自動車哲学論考】第六章:日産 リーフ

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洋の東西を問わず、自動車の電動化がさほど遠くない将来に向けて既定路線になりつつあることは、もはや認めざるを得ない事実。その動きを見据えるかのごとく、例えばメルセデス・ベンツ「EQ」やアウディ「e-tron」など、新たなEVブランド展開を図ろうとするさまが話題となったばかりである。文・武田公実

EVは依然として「ちょっと変わったクルマ」

    【吉田由美のYou & Me】災害時に家にも人の心にも灯りをともす日産 リーフ

この世界規模の活況ぶりは自動車専門媒体やライフスタイル媒体、さらには経済系の媒体などでも連日報道されているようだが、その傍らで筆者を含む旧来の自動車愛好家、クルマ好きにとってのEVは、依然として「ちょっと変わったクルマ」という領域から大きく踏み出してはいないかにも思われる。
エクストリームなキャラクター全開で、存在そのものが「飛び道具」のごときテスラが象徴するように、現時点で旧来のクルマ好きがEVに惹かれることがあるならば、その最大の要素は圧倒的な静粛性や目の覚めるような加速感がもたらす「面白さ」。つまりEVは、まだまだ趣味性の高いクルマという受け止め方をしてしまうのが実情なのだ。


良いEVを創るには、良い自動車を作らねばならない

そんな状況のもと、EVながら既に「普通のクルマ」たり得ているおそらく唯一のクルマが、日産 リーフと言えるだろう。2010年12月に発売された初代リーフは、全世界累計で20万台以上を販売。世界で最も売れたEVと言われた。
そして昨年10月、第二世代へと進化したリーフは、まだ実験的な要素も多かったとされる初代の「ネガ」を入念に洗い出し、現状におけるEVにとって最大の懸念材料の一つである航続距離を延ばすことにも成功しているという。
ところで、先般本企画にてフォルクスワーゲン e-Golfに乗せていただいた際、自動車の三大要素といわれる「走る・曲がる・止まる」が、実に真摯に作られていることに強い感銘を受けた……と記した筆者のインプレッションを、まだご記憶いただいている読者諸兄もいらっしゃるかもしれない。
良いEVを創るには、まずは良い自動車を作らねばならない。一年ほど前の喧騒はいったん収まったとはいえ、依然として根強く語られる「EVフィーバー」の中で忘れられがちな当たり前のことを、フォルクスワーゲンe-Golfは今いちど思い出させてくれたのだ。


エンスー的なところは感じられないが、それこそがキャラクター

一方、今回俎上に乗せられた日産 リーフは、少なくとも日本国内ではe-Golfよりもかなり安価に購入できる割には、モーターの出力、バッテリー容量、航続距離ともに上回るスペックを誇る。
でも実際に街中に走り出して見ると、加速感やブレーキ回生などもかなり穏やかで、e-Golfを含めたEV特有の加速感は薄目に感じられる。しかしそれも裏を返して言えば、内燃機関を搭載したクルマに慣れた体にもナチュラルなドライブフィールでもある。
また、先代リーフから継承されたEV専用プラットフォームを持つシャシー剛性についても、フォルクスワーゲン「MQB」アーキテクチャーがもたらすシャキッとした感覚にはいささかながら至っておらず、いわゆる普通の国産コンパクトカー的。少なくとも「運転を楽しむ」というエンスージアスト的ベクトルにおいては、やはりe-Golfに軍配を上げたくなってしまうところ。

さらにインテリアについて言うなら、例えばメーター周辺のデザインなどにもe-Golfで見られたような「近未来感」がいささか薄く、自分が特別なクルマに乗っているというエンスー的な満足があまり感じられない。
しかしこれも裏を返して言うならば、日々をともに過ごす実用車としての本分に従ったキャラクター設定と観るべきなのかもしれない。


リーフは「普通のクルマ」の本分をまっとうしているが…

かくのごとく新型日産リーフは、EVでありながらも「普通のクルマ」の本分をまっとうしていることについて、間違いなく褒められて然るべきだろう。充電インフラが整った地域にお住まいの方にならば、充分おススメでき得る実用EVと思われる。
それでも、まだまだ自動車という乗り物に夢を抱いていたいエンスージアストの立場からすれば、もうちょっとだけEVへの夢、さらには近未来の自動車に懸ける夢を喚起してくれるような仕立てにも期待してしまうのである。

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