コンパクトなプラットフォームCMAを採用したXC40。今回は遅れて日本に上陸したT4に試乗した。ベーシックモデルという位置付けとなるT4だが、安全装備に関しては上級モデルと差別化されることなくすべてが標準装備されている。(Motor Magazine 2018年12月号より)
ベーシックなT4シリーズの注目
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2018年3月から日本導入が開始され、すでに3000台の受注を抱えているボルボXC40。まずはパワフルなT5エンジンを搭載し、20インチタイヤを履くスポーティなRデザインの導入限定車「ファーストエディション」から導入が開始されたが、ここで改めて通常のカタログモデルのラインナップについて紹介しよう。
XC40にはT4とT5の2種類があり、それにインスクリプション、Rデザイン、モメンタム(T4のみ)の3種類が組み合わされる。そしてT4モメンタムにはFFモデルも用意される。
今回注目したのは、T4 AWDモメンタム。カジュアルなグレードとして位置づけられる。薄いブルーのボディカラーに、オプションのホワイトカラールーフ、ドアミラーとホイールが映え、カラーコントラストがカジュアルながらもオシャレ。ちなみに、試乗車はセットオプションにより標準の18インチに対して19インチが装着されていた。
インテリアはホワイトのフェルトが特徴的だ。また、モメンタムにはファブリックシートが装備されるが、キレイな色味のベージュにセンスの良さを感じる。レザーシートも高級イメージがあって魅力的だが、このインテリアなら妥協でなく積極的に選択できる。
見た目の質感だけではない。ファブリックの素材感は、乗り味にまで影響を与えている。シートも衝撃吸収材のひとつと捉えられるが、クルマのしなやかな動きにこのしっとりした座り心地のシートがマッチングしていて、乗り心地の良さが強調される。スポーティでアグレッシブなRデザインに対し、モメンタムは快適志向だと言える。
まるでワンルームのような居心地の良さと使いやすさ
T4のパワートレーンは、2L直4ターボエンジンに8速ATが組み合わされる。基本的にはハードウェアはT5と同じだが、出力が異なる。T5の方がピークパワーは大きいが、T4は1400rpmから最大トルクを発生し、ピークパワーの発生回転数もT5より低いので、街乗りなどの実用域ではスペックの数値ほどの大きな差は感じられない。アクセルペダルを踏み込んだ際の加速力やパワーを求めるのであればT5となるが、発進加速、登坂、追い越し加速などどのシーンでも、T4は必要十分な動力性能があり、実用性は高い。
FFのT4モメンタムにも乗ってみた。こちらは18インチタイヤを装着。たしかに車重が軽い分、軽快感はある。しかし、それ以上に4WDの落ち着きある走りが、この2台の比較によって強く印象づけられた。 FFは路面からの入力が姿勢変化となってボディに伝わるが、4WDはフラット感が高い。しかも、価格差はなんと20万円しかないのだ。ちなみに、T4とT5の価格差は50万円。いかに4WDがお買い得か実感できる。
FFでもパフォーマンスは十分に堪能できるが、プラスαの質感や安心感を求めるなら個人的には4WDがオススメ。グレードやエンジンなど、カスタマイズ感覚で選択範囲が広いのも魅力的だ。もちろん、全車に先進安全機能が標準装備される。
ファミリーイメージが強いボルボの中でも、XC40は“Me=私”のためのクルマを望むスマートで個性派志向のユーザーのために作られたモデル。XC90やXC60の単なるコンパクト版ではなく、デザインから走りまで、「キャラ」が際立っている。「XC90が革靴なら、XC40はレザーのスニーカー」というデザイナーの表現は、このクルマのポジショニングをうまく示している。コンパクトSUVの機動性、走破性、ワンルームのような使い勝手と心地良いインテリア、そしてスカンジナビアンテイスト溢れるクルマだ。(文:佐藤久実)
ボルボXC40 T4 AWD モメンタム 主要諸元
●全長×全幅×全高=4425×1875×1660mm
●ホイールベース=2700mm
●車両重量=1670kg
●エンジン=直4DOHCターボ
●排気量=1968cc
●最高出力=190ps/4700rpm
●最大トルク=300Nm/1400-4000rpm
●トランスミッション=8速AT
●駆動方式=4WD
●車両価格=459万円
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