駐車スペースなどの費用は必要だが運転する楽しさと機動性は失わない
オートキャンプに、ワゴンやミニバンで行くか、それともキャンピングカーで行くか。キャンピングカーの方が楽で豪華なような気もするが、ともあれ、どちらもキャンプの装備を積んで出かけることに変わりはない。
「釣り」と「アウトドア」をターゲットに仕立てた2種類のトヨタ・ハイエース
しかし、『走るコテージ』ともいえるキャンピングカーは、乗用車に比べると運転を楽しむにはちょっと物足りない。それにキャンピングカーは乗用車ほど視界(ウインドウが大きくない)がよくないので、せっかくの旅行で景色が見えにくい。そして、キッチンなど装備が充実化すればするほど、キャンピングカーは大型化してクルマとしての機動力は落ちてしまう。
そこで、快適なコテージとしての資質とクルマの機動性を満足できる、ということで注目されているのがキャンピングトレーラーだ。そう、愛車でコテージを引っ張って行こうというわけだ。キャンプ地に着いて、トレーラーを切り離してしまえばクルマは自由に使えるのだから、ある意味、キャンピングカーよりも自宅に近いキャンプ生活といえるだろう。
車両総重量750kgまでなら牽引免許は不要
キャンピングトレーラーは、決して新しいキャンプの方法ではない。というか、キャンピングカーと同じくらい歴史は古く、欧米の映画では、ごく普通に郊外の風景にある存在だ。一方日本では、知られてはいるもののアピール度はイマイチ。狭い道や山道の多い道路環境や、法的な未整備もあって、キャンピングカーほど普及が進んでいない。
でも、キャンピングトレーラーは、思ったよりも身近なところにある。なにしろ、総重量750kgまでの制限こそあるが、普通免許があれば牽引OKなのだ。
車重750kgといえば軽自動車よりも少し軽いのだけど、そんなトレーラーでも、全長5m、全幅2m超えで、4人がゆっくり休めるようなモデルが普通にある。ちょっとしたキャブコンバージョン・キャンパーよりも、確実に広いキャビンが備わっているのだから意外だ。
しかも、同じクラスの室内と内容のキャンピングカーよりも、ずいぶん安く買えるようで、これも意外。キャンプ場についてトレーラーさえ固定してしまえば、後は何も考えずに家のように使えるし、クルマでドライブにも出かけられる。キャンピングトレーラーの機動力は抜群といえるだろう。
ただし、キャンピングトレーラーを所有するあたって、注意しなければならないポイントもある。
キャンピングトレーラーという非日常を味わう
まずは運転面で、牽引するクルマ(トラクター、ヘッド車)が、引っ張るトレーラーに見合うだけの性能かということ。
けん引免許の要らない750kgクラスでも、ストレスなく曳いて走るには、3リッター級のエンジンが必要とされる。パワーよりもトルクの問題で、これが不十分だと山道や坂道で往生することになりかねないのだ。
また、性能には直接関係ないが、バックでの車庫入れや切り返しなど、独特の技術も必要。これが苦手だと、トレーラーの切り離しと連結にも物凄く苦労することになる。広く平らなキャンプサイトを選ぶことも重要だ。
費用の面でも思いのほか出て行く”モノ”が多い。キャンピングトレーラーもナンバープレートが着く(登録)ので、自動車税を徴収されるし、車検も2年に1度やってくる。総費用的には乗用車の半分もかからないようだが、修理やメンテナンス箇所があれば、いつも最低料金で済むわけではない。維持の面でも、自宅駐車にスペースがなければ、トレーラーの駐車場を借りなければならない(倉庫や書斎代わりになるというメリットもあるのだが)。いくら便利でも、年に数日程度しか使わない道具に見合った費用なのかどうか、ちょっと悩ましいところではある。
とはいっても、日常生活に必要ないものだから趣味なわけで、オートキャンプが年に数日の楽しみだとしても、十分に納得できるコストパフォーマンスだとも思うのだ。
オートキャンプをするのに、どれがベストというやり方は、多分ない。キャンプは本来、不自由さを楽しむのが目的みたいなものだから、不自由さをどこまで許容できるかで、自ずと方向性が決まってくるはずだ。
装備をコンパクトにまとめてフットワークよく楽しみたいなら、ワゴンやミニバンにお気に入りのキャンプ用品を詰め込めばいいし、とにかく現地で自宅のようにリラックスしたいならキャンピングカーがベストだろう。そして、キャンピングトレーラーは、どちらの方向にも振ることができるのが強み。広いキャンプサイトさえあれば、長く泊まるほど楽しみがアップしていくに違いない。
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