■日産、ルノー、三菱合わせて昨年の役員報酬は約19億円
2018年11月19日17:10頃、衝撃のニュースがメディアを駆け巡った。
期待するだけ無駄!? 「2Lターボで250万円のFRスポーツ」は夢物語なのか
日産自動車会長、三菱自動車会長、ルノー取締役会長兼CEOのカルロス・ゴーン氏が、東京地検特捜部により、同日夕刻、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で任意同行・事情聴取を受けているという。
同ニュースを最初に報じたのは朝日新聞。
同紙によると、過少申告した金額は億単位にのぼり、容疑が固まり次第、逮捕する方針だという。(2018年11月19日19:50、ゴーン氏の逮捕が報じられた)。
ちなみにカルロス・ゴーン会長の日産自動車からの役員報酬は2016年度が10億9800万円(当時は社長兼CEO)で過去最高、2017年4月に会長職へ退き、33%減の7億3000万円だった。いっぽうフランス・ルノーからの役員報酬は740万ユーロ(約9億5000万円)、三菱自動車からの役員報酬は2億2700万円だった(3社合わせると約19億円)。
2000年6月の社長就任以来18年半にわたり、日産自動車を率いてきたカルロス・ゴーン氏。就任から数年でV字回復を成し遂げ、「名経営者」の代名詞と呼ばれ続けてきた同氏がどうなるのか。
また、独自の鋭い自動車戦略で日本および欧州のトップランナーとして手腕を発揮してきた実績もある。少なくともゴーン氏が豪腕を発揮しなければ、フェアレディZの復活や世界最高のスポーツカーといえるGT-Rの活躍、さらにEV事業への先進的な投資と発展は難しかっただろう。
経済界のみならず、自動車界を大きく揺るがすニュースとなった今回の件、はたしてどのように進展するのか。状況を見守りたい。
なお当サイトにおける直近のカルロス・ゴーン会長関連記事で最もアクセスが多かったのは以下の記事となる。同氏の仕事に関心を強めた方は、ぜひご参照されたい。
『【救世主だったのか? それとも…??】 検証 カルロス・ゴーンの功と罪』
■日産自動車広報部より公式リリースが発表、代表取締役も関与!?!?
と、ここまで書いて公開・配信した直後に、日産自動車広報部より驚くべき公式リリースが届いたので、以下に引用したい。
(引用ここから)
当社代表取締役会長らによる重大な不正行為について
日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:西川廣人)は、内部通報を受けて、数か月間にわたり、当社代表取締役会長カルロス・ゴーン及び代表取締役グレッグ・ケリーを巡る不正行為について内部調査を行ってまいりました。
その結果、両名は、開示されるカルロス・ゴーンの報酬額を少なくするため、長年にわたり、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明いたしました。
そのほか、カルロス・ゴーンについては、当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為が認められ、グレッグ・ケリーがそれらに深く関与していることも判明しております。
当社は、これまで検察当局に情報を提供するとともに、当局の捜査に全面的に協力してまいりましたし、引き続き今後も協力してまいる所存です。
内部調査によって判明した重大な不正行為は、明らかに両名の取締役としての善管注意義務に違反するものでありますので、最高経営責任者において、カルロス・ゴーンの会長及び代表取締役の職を速やかに解くことを取締役会に提案いたします。また、グレッグ・ケリーについても、同様に、代表取締役の職を解くことを提案いたします。
このような事態に至り、株主の皆様をはじめとする関係者に多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを、深くお詫び申し上げます。 早急にガバナンス、企業統治上の問題点の洗い出し、対策を進めて参る所存であります。
以上
(引用ここまで)
上記リリースを読むかぎり、これは日産自動車側がゴーン会長とケリー代表取締役を東京地検特捜部に告発した、ということになる。
同社はすでに、ゴーン会長とケリー代表取締役の解任を取締役会に提案しているという。上記がすべて事実なら、日産自動車から両名に対し、巨額の損害賠償請求もありうる。
■日産自動車西川社長が緊急会見
同日(2018年11月19日)22時より神奈川県横浜市のグローバル本社にて記者会見を実施。
西川廣人・日産自動車代表取締役社長は以下のように語った。
「現在捜査が続いているので詳しくは話せませんが、ゴーン氏の問題は大きく分けて3つあると捉えています。1、有価証券報告書へ過少に報酬を記載したこと、2、日産自動車の投資資金を不正に私的目的で投資したこと、3、日産自動車の経費を不正に私的流用したこと。」
「今回の事件は、長年にわたるゴーン体制の負の遺産と言わざるをえません。その一方で、2000年以降、多くの従業員たちが培ってきた財産もまたあると考えております。」
(「今後、株主への責任などを考えて、日産自動車としてカルロス・ゴーン氏を訴える可能性はありますか?」との記者からの質問に対して)
「おっしゃりたいことはよくわかりますし、その点についてはもちろん可能性として考慮する問題だとは思います。ただ大変申し訳ないのですが、私の口からはその点に関して、いま申し上げることはできません。本当に申し訳ありません」。
事態は急展開を迎えた。今後の展開を見守りたい。
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