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アストンファンには堪らない旅のお誘い──新旧7台のアストンマーティンで耐久レースの聖地、ル・マンを訪ねる

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アストンファンには堪らない旅のお誘い──新旧7台のアストンマーティンで耐久レースの聖地、ル・マンを訪ねる

イギリスからフランスへ、アストンマーティンに乗ってル・マン24時間レースに出場するアストンマーティンの応援に行きませんか? ついでに、現地ではグランピングなど……。

聞くだけでとんでもなく楽しそうなお誘いに、スケジュールを厳密に確認することなく飛びついたのは言うまでもない(おかげで2週間以上、欧州に滞在するハメに)。ル・マン24時間レースの現地観戦そのものも数年ぶりだったし、なによりイギリスからクルマでル・マンに行くという趣向が気に入った。それも、アストンマーティンの最新モデル、のみならず、クラシックモデルを伴って、らしい。イギリスの熱狂的なクルマ&レース好きが羨むようなグランドツーリングだ。

アストン・マーティンのSUV、ついに姿をあらわす!──その名も「DBX」だ!

集合場所に指定されたのは、ロンドン・ヒースローからクルマで半時間くらいの街、クリーブデンにある五つ星ホテル「クリーブデン・ハウス」。ナショナル・トラストが保有する壮麗なイタリア式建築で、1666年に建てられた豪邸だ。邸内はちょっと“出そう”な設え、だったけれども、貴族階級の優雅な暮らしに少しだけ触れたような気がした。

そうなのだ。アストンマーティンに乗る、とはそもそも、そういうことだった。

エントランスには、すでに新旧アストンマーティンが鼻を並べていた。いったいどれを運転すればいいの? と、同業のカルロス嶋田さんと悩んでいたら、広報担当者がひと言、「好きなのを選んでいいのよ!」。ええ~、そうなん?

ちなみに選択肢は、新しいものから順に、DB11 V12クーペ AMR、新型V8ヴァンテージ、DB11 V8ヴォランテ、DB11 V8クーペ、そして、DB6ヴォランテ、DB6クーペ、DB4。

んじゃ遠慮なく、ということで迷うことなく最も古い年式のDB4を選ぶ。イギリスを走っている間はクラシックモデルを楽しんで、フランスに入ったらオートルートを最新モデルでぶっ飛ばそう、というのがボクたちの魂胆。それに最新モデルなら、今回チャンスがなくったって日本でいくらでも乗れそうだ。旧いのはというと、そうはいかない。

ストレート6の軽快なサウンドを響かせながら、ドーバーへと向かった、と、言いたいところだけれども、走り出して15分で停まった! ブレーキが効きっ放しの状態になってしまったのだ。運良く、真後ろがサポートカーだったので事なきを得たけれど、迷子になってしまった。先導車が先へと進んでしまい、コマ図(目的地への道筋を示したナビ用簡易地図)を追ってなかったボクたちは、まったく知らない街に置いてけぼりをくらった格好だ。しかも、サポートカーも参加者に付いてきただけで、ルートを全く知らないという。しばし、ボーゼン。

仕方ないのでスマホの地図を開け、コマ図の先と見比べつつ、だいたいの方向を見極めようとした。高速道路の入り口などが、最も分かりやすい。幸いにも、停まった場所から10kmくらいの地点で、ドーバーへと向かう高速の入り口があった。

無事、高速に乗って、カンタベリーを目指して南下する。途中でDB6ヴォランテを見つけて、ひと安心。復帰後のDB4は快調のひとこと。ストレート6の響きは何ともいえず官能的で、空気を吸い込むキャブレターの音さえ、心に染み渡る。

アストンマーティンは、やっぱりこの頃からイギリスを代表するグランドツーリングカーだった。高速道路を100~120km/hくらいでゆったり流しているのが最も気分がいい。

ユーロトンネル・ル・シャトルのイギリス側の街、フォークストンに到着。1台219ポンドのフレクシプラスチケットだったので、トンネルの手前で休憩だ。コーヒーと軽い食事を楽しみつつ“ル・シャトル”と呼ばれる車両用貨物列車を待つ。

小雨がぱらついてきた。最新のDB11 V12 AMRに乗り換えて、列車内へ。プライオリティ(優先)ボーディングで向かうと、列車が記憶にある以上に狭い。DB11だと、ぎりぎりだ。降りて確認してみると、タイヤの両脇に残されたスペースはわずかに1cmあるかないか。びびりながら、何とか列車内の所定の位置(前から順にツメツメ)へ。

たった35分で、フランスはカレーに到着。とても、便利だ。ただし、途中、やることなどない。景色も見えない。最新モデルAMRの復習でもしておこう。なになに、AMRとはアストンマーティン・レーシングの訳で、12気筒エンジンはノーマルより30psアップの639ps、シャシーも改良されて……。要するに、エレガントさが際立ったDB11の、走りのホンキ仕様というわけだな、ふむふむ。

隊列を組んでオートルートを走っていると、やたらイギリスナンバーのスポーツカーに追い越された。彼らは笑顔で手を振りクラクションを鳴らしてアストンマーティンの車列に敬意を表しつつも、ぶっ飛ばしていく。やっぱり、自分のクルマでル・マンを目指すのは、イギリスのクルマ好きにとって、年に一度のお楽しみなのだ。そういやイギリスのスーパーカー乗りが、ル・マンを目指す道すがら、スピード違反で捕まったってニュースでやってたっけ。ちなみに、オートルートの制限速度は130km/hです。

その日の宿泊地はオンフルール。ノルマンディー海岸セーヌ河口にあるカルヴァドス県の小さな港町だ。狭い町並みを抜けて丘を少し上ると、瀟洒な建物が見えてきた。スターシェフのレストランがあることでも有名なホテル、「ラ・フェルム・サン・シメオン」。もっとゆっくりと街とホテルを楽しみたい、と思うのは毎度のことだけれど、ここは真剣にそう思った。絶対、プライベートで遊びに来るぞと誓って(今まで数えきれないほどあるけれど、どれひとつとして実現していない)、翌朝、こんどはDB6ヴォランテでル・マンを目指す。

DB4に比べて、いっきにモダンになった印象だ。おそらく、年次進化に加えて、ホイールベースの延長も効いている。よりグランドツーリングカーとして完成度が高まった。ストレート6のサウンドも、相変わらずゴキゲン。

ル・マンが近づけば渋滞するものとばかり思っていたけれど、案外とスムーズに車列は進む。ランチタイムの機会に最新ヴァンテージへとクルマをチェンジしていたのだが、この最新モデルは、スポーツ性が際立っていた。サルトサーキットへと近づくにふさわしい、機敏なハンドリングの持ち主だ。

DB4からDB6、そして最新のV8ヴァンテージにDB11 V8、そしてDB11 V12 AMRと、新旧アストンマーティンの贅沢な乗り比べを試しつつ、ル・マンにやってきた。ふたつ、分かったことがある。アストンマーティンは、あくまでもラグジュアリーなGTカーブランドである、ということ。けれどもその一方で、昨今のモータースポーツ活動からも分かる通り、スポーツ色を強めはじめている。新型ヴァンテージが、GTカーとしてもちろん使えるが、ハンドリングを重視したバランスのいいスポーツカーへと生まれ変わっていたことが、そのことの証と言っていいだろう。

金曜の夕方、ル・マンに到着したわけだが、その日の宿泊は、サルトサーキット近くにアストンマーティンが特設したグランピングだった。グラマラス・キャンピング、略してグランピングはイギリスが発祥の地と言われている。観戦ツアーの顧客やジャーナリストを招いた豪華なキャンプ施設で、BBQなどを楽しんで、決戦の時を待つ。

土曜日。朝からサーキットへ向かった。さほど込んでいる様子はない。聞けば今年は特別だそう。正午にワールドカップのフランス戦がキックオフされるからだった。

15時の決勝を前に、午前中にはアストンマーティンのレース車両だけが参加できる、フェスティバルレースが開催された。過去のGT3マシンや、トラック専用車ヴァルカンなど、カテゴリーを超えたアストンマーティン・レーシングカーだけの夢のレース。日本人もヴァルカンで参加し、ストレートで見事な全開パフォーマンスをみせ、観客を沸かせる。

本戦には、こちらも最新のヴァンテージGTEが登場。マシンの熟成不足ではあったものの、無事、24時間を走り切ったのだった。

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