近年、車の性能・完成度は飛躍的に向上したものの、人気・実力ともにカテゴリーでNo.1の評価を得る車となれば、ごく一部のモデルに限られる。
多くの場合、No.1車と“その他のモデル”の間には、人気と実力で「差」がある。車全体がレベルアップした今、果たして、何がその差を生むのか?
なるか下剋上!? 兄貴分より強い弟分モデルを探せ 同門対決 8選
評価が高い車とそれ以外の車には、評価を分ける理由が必ず存在する。たとえ僅差であってもその違いが、人気や実力の評価を分ける境界線となっているケースが多い。
文:鈴木直也、国沢光宏、渡辺陽一郎、片岡英明
写真:編集部
ベストカー 2018年11月10日号
“高評価”のクラウンと“今一歩”なレクサスLSの差は?
■「価格に見合った仕上がりかどうかが評価を分ける」
レクサス LSの価格は一番人気のLS500hで1121万4000円。一方、自他共に認める高級車のド定番、メルセデス Sクラスは、話題の直6・ISG(モーター機能付き発電機)搭載モデルS450で1147万円。これはもう、ガチで競合するライバルと言っていいわけだ。
こうなると、期待値のハードルはいやが上にも高まる。パフォーマンス、コンフォータビリティ、ラグジュアリー度などなど、すべてにわたってLSはSクラスと互角以上であることが求められてくるわけだ。
ところが、筆者の見るところ、シャシーの洗練度という最重要パートで、LSはクラス標準に届いていない。
サスペンションのしなやかな動き方、乗り心地のスムーズさ、あるいは全体的な走りの上質感といった部分では、どこをとってもSクラスの圧勝。正直「どうしちゃったの?」と聞きたくなるような完敗状態なのだ。
これに比べると、価格が半額近いクラウンのほうがはるかに健闘している。
クラウンもLS同様プラットフォームからサスペンションパーツ類まですべてを一新しているが、コチラはその投資に見合った成果を上げている。速度レンジも日本の実用速度にぴったりフォーカスしている印象で、誰が乗っても「いいクルマになったね」と納得できる。
ゆえに、クラウンのほうが評価が高いということだ。
【鈴木直也】
■「クラウンはCクラスと勝負できるが、LSはSクラスと勝負にならない」
当たり前のことながらクルマというのは「商品」であり、価格と内容のバランスが大切である。クラウンに1000万円のプライスタグを付けたら間違いなく評価低いし、LSが600万円だったら国沢光宏も手放しでホメることだろう。
……という「社会の常識」でLSを見ると、同じ価格帯のライバルはベンツSクラスとなる。この2車種を比べたら、もうハンドリングからリアシートの居住性まで勝負にならないです。
ここまで読んで「燃費はLSのハイブリッドのほうがいいでしょ!」みたいな声も出る? 考えていただきたい。1200万円のクルマ買うような人って、自分の小遣いでガソリンなど入れないです。
LSで最も頑張っている安全性だってドイツで最も新しい技術を入れているSクラスと比べたら勝ったり負けたり。明らかな優位点は指摘できない。ということで価格と内容のバランスが悪く、商品として評価低くなる。
クラウンは同じ価格の競合車種がベンツならCクラスで、BMWだと3シリーズになります。ライバルと10番勝負したら、7対3くらいでクラウンの勝ち。安全性能や居住性、燃費、装備は誰でもクラウンに軍配を上げると思う。
乗り心地とインテリアの質感さえ上等になったら、新型Cクラスと比べたって勝負になると思う。コネクテッドの技術はトヨタのホームなので強いし。クラウンの評価の高さは当然でしょう。
【国沢光宏】
ハリアーが“高評価”でCR-V、フォレスターの評価が伸び悩む理由は?
■「日本のユーザーに向けた車か否か」
ハリアーの面白さは日本の市場をメインに開発されている点にある。CR-Vとフォレスターってアメリカ市場だと日本でいうヴェゼルのように安いクルマというイメージ(アメリカの収入は日本より30%くらい高い)。したがって豪華さなど求められない。
結果、いろんな意味で300万円のクルマとして考えたら安っぽいです。飛び抜けた魅力や装備だってなし。
一方、ハリアーの開発陣に聞くと、最初から300万円を高額車として位置づけ、それなりの品質を持たせている。インテリアなど圧倒的に丁寧。ボディサイズだってCR-VとフォレスターがCセグメントベースなのに対し、ハリアーはDセグメントだ。
すべてのクルマに言えるコトながら、アメリカ市場をメインに企画したら日本だと割高感が出て魅力を訴求できない。やはり、日本で売るクルマは日本のことを考えなくちゃアカンです。
【国沢光宏】
■「価格に見合った満足感が得られるかが評価分ける」
ハリアーの価格は、フォレスターやCX-5よりも高めになる。それでもハリアーの評価が優れているのは、国内向けの上級SUVとして、「日本の高級感」を大切に開発したからだ。
例えばインパネには合成皮革を使うが、品質は本革と同等かそれ以上に見える。フロントマスクなど、外観の作りもていねいで、乗り心地は快適だ。ノイズも小さい。居住空間は、後席を含めて広く、シートの座り心地も優れている。生地の肌触りもよい。
つまりハリアーは、クラウンのようなSUVなのだ。ミニバンに当てはめればアルファード&ヴェルファイアになる。ハイブリッドやターボなど、エンジンを多彩に選べることも魅力だ。
今は高価格車を売りにくいといわれるが、しっかりと日本向けに作れば、ユーザーから歓迎されて売れゆきも伸ばせるのだ。
【渡辺陽一郎】
“日本一”のN-BOXとタント&スペーシアの差は?
■「室内の使い勝手に加え、安全装備でもN-BOXが圧倒」
N-BOXは、新型にモデルチェンジしてからも新車販売台数でトップを快走している。人気の理由は、ホンダならではの卓越したパッケージングだ。
キャビンスペースの広さと装備の使い勝手のよさ、これはライバルの追随を許さない。リアシートはライバルにはないチップアップ&ダイブダウン機構付きのスライドシートだから、大きな荷物も無理なく積むことができる。
また、スペーシアやタントを圧倒しているのが先進安全装備だ。一部を除き、カーテンエアバッグまで標準とした。先行車追従機能付きクルーズコントロールを標準化するなど、上級クラス顔負けの安全装備を採用しているのは大きな強みだ。
【片岡英明】
■「N-BOXはこのカテゴリーに求められる要素を高次元で実現」
N-BOXの高い評価は先代型で確立された。エンジンは補機類を含めて縦長に配置され、エンジンルームが短い。そのために有効室内長を拡大できた。
ホイールベースは前輪駆動の軽自動車では最長となり、天井が高くて床は低い。これらの相乗効果で、軽乗用車では最も広い室内空間を得た。
そのためにN-BOXを最初に見た人は、実用的に必要か否かに関係なく、この広さに圧倒されて購買意欲を高めた。
そして、現行型では、軽自動車で最も優れた安全装備、上質な内装と快適なシート、快適な乗り心地なども加わり、売れゆきを一層伸ばした。
【渡辺陽一郎】
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