2018年11月13日、JARI(一般財団法人 日本自動車研究所)は、無人のクルマがパーキングスペースへ自動で移動して駐車する「自動バレーパーキングシステム」の実証試験を公開した。
自動バレーパーキングシステムの商業運行は2021年度以降を予定か
クルマのハンドルを人の操作なしでクルクルと回転させながら、狭い屋内駐車場内を3台のクルマが隊列を組んで移動、そしてキレイに駐車スペースへと収まっていく。ひと昔前であれば、まるで魔法のような技術だと感動したかもしれないが、パーキングアシストや自動運転技術の進歩を目の当たりにした現代では、目新しい光景とはいえないかもしれない。
しかし、この自動パーキング技術と駐車スペース管理システムを組み合わせれば、駐車場にまつわるいくつもの課題をクリアできるというのだ。そもそもどんな課題があるのかといえば、都市部を中心にした駐車スペースの確保、事故の削減、利便性の向上などといったもの。その解決の糸口となるのが、今回JARIが公開した「自動バレーパーキングシステム」である。
日本ではあまり普及していないが、海外のホテルやレストランなどにクルマで乗りつけたとき係員に駐車を依頼できるシステムが「バレーパーキング」。これを人による運転操作なしで、自動で駐車スペースまで移動→駐車→出庫までを完了させようというものが、自動バレーパーキングシステムである。
高度な自動運転技術が必要ではないかと思ってしまうが、これは歩行者と一般車両の立ち入らない限定空間での運用を前提にしているので、すでに市販車に採用・普及しているシステムだけで完成してしまう。大雑把に言ってしまうと、クルマのカメラや超音波センサーを利用したパーキングアシストとACC(アダプティブクルーズコントロール)、4G通信回線、そして駐車スペースを管理・クルマに指示を出す管制センターだ。
だからユーザーは「自動バレーパーキングシステム」に対応したクルマを所有していれば、比較的簡単に利用することができる。たとえば、ショッピングセンターに行ったとすると……
ユーザーはエントランスでクルマを降りて、スマホアプリでクルマの入庫指示
↓
クルマは駐車スペースへ自動で移動/ユーザーは買い物へ
↓
そろそろ帰ろうかという時間帯に、アプリでクルマの出庫指示
↓
クルマはエントランスに移動して待機
↓
クルマに乗り込んで退出
と、ユーザーは駐車スペースを探したり移動するなどの手間を省き、さらにその間の事故の危険性も大幅に減少させることができる。
もちろんユーザーメリットばかりではなく、事業者サイドにも駐車可能台数の増大というメリットがある。駐車場で人が乗り降りしないシステムなので、ドア開閉のためのスペースを省き、より多くのクルマを停められるようにすることもできるわけだ。
いまにも実現しそうなものと読めるが、危機管理や事故発生時の保険、国際標準化(ISO 22374)など越えるべきハードルも多く、商業運行は2021年度以降を予定しているという。今後の発展に期待大である。
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