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業界ニュース 2018.11.16

日産スカイラインGT-Rが蝕まれていく恐怖「過走行トラブルと劣化のポイント」

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貴重な愛車と向き合うための秘訣とは?20万km/30万kmでの消耗部位を知る

日本を代表するスポーツカー、スカイラインGT-R。いまや非常に貴重となってきたR32/R33/R34という第2世代GT-Rはすでに旧車の領域であり、それゆえに今後は本気でメンテナンスが必要となってくる。そこでプロショップの目線で過走行GT-Rとの付き合い方を伝授。一生涯愛し続けるためには何が必要だろうか。奈良県でGT-R専門のフルレストアを手がける「ガレージヨシダ」の吉田光浩代表に話を伺った。

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「30年30万kmを迎えることはクルマとして乗用車の領域を超え、距離を走る商用車の枠に入ること意味します。ただ、商用車の機関部品はグリスアップのための分解整備ができますが、GT‒Rのそれはほとんどが非分解。つまり、基本設計は数十万kmを乗ることを想定していません。一方でオーナーの一生乗り続けたいという声は高いのですが、維持していくためには強い意志が必要になります」と、吉田光造代表の顔は曇りがちだ。

「価格高騰や純正部品の製廃が進み、オーナーの不安に拍車をかけるわけではありませんが、走行距離が30万kmにもなれば、何が起こってもおかしくないうえ、各パーツの金属疲労も進んでいるため、部品を交換するなら本体だけでなく、ビス1本まで新品したほうが安心できるでしょう。心構えとして修理することをプラスに考えられないと、維持していくのは難しいですね」。ただ、掛かる費用はそれまでのメンテナンス履歴の有無で大きく変わる。定期的に予算をかけ、オーナー自らも履歴を付けるなど愛情が注がれたクルマと、乗りっぱなしで整備もそこそこなクルマでは、当然、程度にも今後の掛かるメンテナンス費用にも差がつくわけだ。

では、なぜ履歴を付けることが必要かと言えば、GT‒Rの部品には耐用年数について明確に謳われていないので、寿命自体が分からないからだ。その規定がないならば、自ら基準を作るしかない(電車やバスの部品には安全に対する明確な規定がある)。実際にGT-R Magazineの連載企画「10万&20万km倶楽部」に登場するオーナー諸氏はほとんどが、車両カルテを制作している。

「経年劣化を考えれば、すべて手を付ける必要はありますが、一気に直す必要はない。必要最低限のパ ートに分けて作業し、健康な部位を一つ一つ作っていけばいずれは、すべてが仕上がるし、その間に埋められていくカルテが知識となるはず。ただ、カルテをすでに作っておられるオーナーはいいのですが、もし、これから作っていくという場合はエンジンではなく、駆動系から作業依頼をされることをオススメします。仮にエンジンやハーネスに不具合が生じた場合、その場に止まるだけですが、ジョイント部や駆動部が故障するとクルマを止められなくなる=トラブルが生死にかかわるからです」。

まさに今までのトラブルは”どこかで止まったら困る”というものだった。ただ、次の30万km時代は止まってしまうことより、”事故しないように真っ直ぐ走らせる”ことを優先。駆動系やシャシー関係を決めてからエンジンを仕上げるのが今後のスタンダードになりそうだ。

すなわち、年数が経過し、距離を重ねたことでGT-Rのメンテナンス法は大きく変わってきている。「これまでの使用方法やメンテナンス履歴よっても変わりますが、基本20万kmまでにブッシュやゴム類、ハーネスやセンサー、各種ベアリング類は交換することが望ましい。これが30万kmまで交換しなかった場合、どうなるかと言うと、例えば20万kmでジョイント部のボールベアリングを交換すれば、次の10万kmでもボールベアリングの交換で済むはずですが、30万km無交換で使い続けると、内部のグリスが痩せてベアリングで圧入部分を損傷したり、摩耗が起きたりするなど、機械的な限界により近づいていきます。こうなると本体まで交換になり費用は必然的に高くなってしまう。予算が許すのならば、前見切りの交換がGT‒Rのコンディション維持にはやはり有利なのです」。

ちなみに、市場のスカイラインGT‒Rに大きな差が生まれた一つの原因は格安車検の存在だ。以前は、ディーラーで6カ月ごとに念入りに点検が行なわれていたが、格安車検の登場により、ディーラーの敷居も下がり、価格を下げるため、整備内要が触らない、換えない、異常がなかったらOKと車検を通るレベルに簡素化された。これによって、メンテナンスの質が下がり、中古車のレベルの差が生まれたと言えるだろう。

「最近は駆動系の劣化だけでなく、リアメンバーやアームの付け根にクラックが入ったり、金属疲労でスポット溶接が浮いているなど、躯体の中心まで劣化が及んでいる個体もあります。わたしは”好きなだけ乗ってください”とお客さまに話して、仕事をしていますが、そろそろ限界に近づいているかと思います。これからも愛車と付き合っていくためにセカンドカーの購入や乗り方を変えるなどGT-Rライフを考え直してみてほしいですね」。

では、過走行でトラブルを減らすための秘訣とは。次ページでは20万kmと30万kmでチェックしておきたい消耗部位を紹介しよう。

↓【次ページに続く】↓

20万キロになればハーネス、ゴム類は必須!!ベアリング交換で延命処置を行ないたい

まずは、20万km以上で見ておきたい消耗部位について。10万km交換を推奨するブッシュ、ゴム類だが、通常走行ならギリギリ使用可。20万kmでは各部のジョイント部の金属摩耗が進み、ガタが見られる場合があるので、圧入される金属部の交換が望ましい(ボールベアリング、ベアリング レースなど)。ハイキャスジョイントやドライブシャフトは、20万kmではブーツのみではなく、本体ごとの交換か、リビルトが望ましいだろう。エンジンオーバーホールにも最適な時期なので、サージタンクの下側は上側から作業するのが難しい部位であるハーネスやゴムホースも交換しておきたい。

【ハーネス】エンジンの近くに装着されるハーネスは熱による硬化でボロボロな状態。端子もほぼ劣化しており、接点復活剤を塗っても復活しないことが多い。ハーネスを新品に交換すると電圧が安定し、調子がよくなりやすい。エンジンを降ろしたときはハーネスを交換するチャンスたといえよう。

【ゴム類】水まわりのホース類は20万kmではほぼ全滅。ホースバンドの外側先が硬化し、亀裂が入り、水漏れの原因に。取り付け部も腐食。ホースバンドはR34スカイラインGT-Rのクランプ式が優秀で面圧を低減する。他にもAACバルブやオイルプレッシャーセンサーなどの固着や故障も増えてきたので要注意。

【配線】R33/34スカイラインGT-Rはリアメンバー周辺にある配線は被覆がむき出しなので、腐食しやすく通電しないことが多い。4WD&HICASのチェックランプが点灯した場合は、まずはこの配線を疑ってみることだ。

【センサー】各種センサー類も経年劣化で数値がずれていることも。水温センサーは冷間補正が入り燃費が悪くなることもある。完全に壊れたらコンサルトに出るが、数値異常の場合は”問題なし”と出てしまう。

【ハブベアリング】ハブベアリングは20万kmであれば、内部のグリスとベアリングのみの交換で復活する。ヘタリが顕著になるとアライメントがズレて走りがフラフラしたり、タイヤが偏摩耗を起こしたりする。

30万kmともなれば長年の使用でグリスが劣化、さまざまな金属摩耗がトラブルを生む

プロペラシャフトのような非分解部品を除いた回転部位の劣化は、それまでのメンテナンスによって症状が異なる。しかし、30万km未交換の場合は、ジョイント部のベアリングだけでなく、圧入部分の表面まで摩耗が進むケースも。グリスの劣化が主の原因で、その劣化具合に応じてヘタるスピードが変わる。30万kmは長年の金属摩耗によってこれまで想像していなかったいろいろな部位にトラブルが発生しやすいのだ。そのまま放置を続けるとガタが大きくなり、最後は破断。回転部位の劣化は危険が伴うので、点検して早めに交換してやるべきだろう。

【プロペラシャフト】30万kmまでに交換したいのがプロペラシャフト。大きく動くセンターのジョイント部のゴムが劣化する。ただし、現在は部品が製廃。

【ペラシャフトほか】

破損した前側ペラシャフトのジョイント部(写真右上)。フロント側がもげて、フロアを叩くなど酷い状態、一歩間違えば事故に繋がりかねない。そして、サードリンク部のキングピンも、経年劣化ベアリング内部が削れてガタガタになりやすい(写真左上)。こうなるとアッセンブリー交換しか手がない。また、R32GT-Rのリアデフも要注意なのだが、すでに製廃なので中古部品で対応するしかない。他にもステアリングラックのジョイント部は長年の可動で、痩せてガタが出るのでチェックしたい。

【リアメンバー】公道仕様のR32GT-Rでもリアメンバーの折り返し部分や取り付け部周辺などでクラックが目立つ。これらの補修作業も増えてきているという。R34GT-Rはフロントのドライブシャフトのトンネル部分に見られるとか。

【マスターバック】30万kmが近くなるとクラッチ&ブレーキのマスターバックも長年の使用で中身の機構にトラブルが見られる。”ギーギー”といった異音や踏み込んだときの違和感が出たりするのだ。特にR32GT-Rは要点検項目。

なお、「ガレージヨシダ」では2つのリフレッシュプランを用意しているが、いずれも20万kmを想定。今後は30万km以上をターゲットにした過走行パッケージも検討中とのこと。

30万、40万kmはGT‒Rにとって通過点。 吉田代表は今後もさまざまなプランを展開し、悩めるオーナーに向けて愛情と手を差し伸べる。

取材協力:ガレージヨシダ TEL0745-60-7513http://garage-yoshida.net/

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(Auto Messe Web 『GT-R Magazine編集部』)

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