ホンダの礎を築いたのは2輪がスーパーカブなら、4輪は間違いなく1972年に登場した初代SB1型シビックだ。小型車の常識を覆したシビックは自動車が憧れの対象だった時代、既存のメーカーにない新しい発想を世に問い、これまでとは異なる価値観を持った層に強く支持された。
とくに若い世代に人気があり、“大学生のシビック”と一部では言われたほど。一見、ハッチバックのようなデザインは、独立したトランクを持つショートファストバックの2ドアセダンだった。
エンジンはコンパクトな1.2リッターSOHCエンジン(60PS)のみ。トランスミッションも4速MTのみだった。それまでのホンダ=ハイパワーのイメージを完全に覆した。
ホンダ創世記のクルマ作りは、レーシングエンジンのような精緻さでホンダの技術力を誇示するものだった。二重空冷1.3リッターSOHCエンジンで100ps以上を発揮したホンダ 1300や、高回転ハイパワースポーツカーのS600/800などにくらべると、シビックのエンジンは驚くほど控えめな性能だった。ライバルのカローラやサニーに比べてもはるかにおとなしい。
この低中速トルクに徹した軽量なエンジンは、従来のホンダファンが期待するものとは異なったが、フラットなトルク特性は600kgの軽量ボディと相性がよく、想像以上によく走ったのを記憶する。
発表から約1カ月後、69psにパワーアップしたモデル「GL」が登場。そして1974年にはツインキャブ搭載(76ps)のスポーティ・モデル、「1200RS」もくわわった。
ちなみに、RSは“レーシングスポーツ”の略称ではなく、運輸省など関係官庁を慮ってか“ロードセーリング”と、あいまいなサブタイトルの略とされた。排ガス問題やオイルショックの影響で、スポーツモデルが認可されにくかったからだ。
乗ってみると確かにそれまでのシビックよりスポーティだったが、パンチがあるというほどのパワーではなく、市街地でも扱いやすかった。「なるほどロードセーリングだなぁ」と、妙に納得したのであった。
とはいえ、初代シビックといえば、やはり1973年12月に追加された1.5リッター CVCCエンジンだ。当時、“規制をパスするのは不可能”と言われたアメリカの排ガス規制法「マスキー法」を最初にクリアした低公害エンジンであり、世界中から大きな注目を集めた。
ただし、パワーやレスポンスはイマイチだった。濃いガスをボンボン燃やしていたほかのエンジンに比べてパンチがない。薄い混合気を無理に燃やしているのだから当然だ。
CVCCエンジンをはじめて積んだ初代シビックは、グローバルで大ヒットした。1300の失敗から、一時は乗用車製造から撤退するとまで噂されたホンダが、再浮上&飛躍するきっかけを作ったのである。
2代目は初代のキープコンセプト
大成功した初代シビックは1979年、2代目の通称“スーパーシビック”にフルモデルチェンジ。ボディはひとまわり大きくなって、乗り心地もドタバタしたものから改善した。エンジンは初代からブラッシュアップしたCVCCエンジンを搭載。初代同様パンチはなかったが、この頃になると排ガス規制がより厳しくなったため、他メーカーのエンジンはもっとパンチがなかった。
2代目からはスポーティモデルもCVCCエンジンを搭載した(1.5リッター)。標準仕様の80psから85psにパワーアップし、名称も先代のRSから「CX」に変わった。
当時、友人でもあったレーシングドライバーの志村 久氏が、シビック CXを使ってラリーで活躍していた。氷上のスペシャルステージでは青空の下、白いボディがさわやかに舞っていたのが心に残る。FR全盛時代、FFは滑りやすい路面ではとくに速かったのだ。もっとも、シビックに限らずこの頃のホンダ車はサスペンションストロークが限られていたため、ラリー向きではなかったかもしれないが。
その後、志村氏の世話で親戚がスーパーシビックを購入した。エントリーグレードの「SE」だった。納車直後に運転したが、街中を滑らかにそしてスマートに走り、初代とは明らかに違う。大人のクルマに成長していたのだ。これならファミリーユースの親戚にも納得してもらえる、と思った。
ただ、オレンジ照明のメーターは、タコメーターとスピードメーターが同軸上にあるユニークな配置だったものの、視認性はよくなかったと記憶する。
2代目は、大ヒットした初代のキープコンセプトで、あらゆる箇所を成熟させたのが売りだったが、ユーザーには響かなかったようで、初代ほど話題にならなかった。
個人的には、この代より「シビックワンメイクレース」がスタートしたことが印象深い。当時、排ガス規制やオイルショックの影響もあって、ホンダもモータースポーツ活動を大幅に縮小していたからだ。ホンダのレース魂は健在だったのだ。
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