新型車のカタログへの記載が始まっている新燃費基準のWLTCモード。これまでのJC08モードよりも実燃費に近いとされるが、そこは実際に測らないとわからない。
ということでベストカー編集部が実走でテストを実施。車種はWLTCモード値が公表されたクラウン、カローラスポーツ、そしてフォレスター。
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普通に走ってWLTCモードにどれだけ近づけるのだろうか。
文:ベストカー編集部(鈴木直也)/写真:ベストカー編集部
■市街地ではクラウンが圧倒的燃費をたたき出す
2018年9月26日、自動車評論家の鈴木直也氏とベストカー編集部員とで、国交省が採用している実路走行試験のコースで燃費テストを行った。
この試験コースはかつてのディーゼル車の燃料不正問題の際に、国交省が採用したコースを踏襲している。コースは以下のとおり。
【市街地】
交通安全環境研究所(東京都調布市)~関越道練馬IC(東京都練馬区)までの26.2km
【高速道路】
関越道練馬IC~鶴ヶ島IC(埼玉県鶴ヶ島市)までの30km
【郊外路】
鶴ヶ島IC~熊谷さくら運動公園(埼玉県熊谷市)までの27.1km
これらをすべてつなげた83.3kmが今回の測定コース。
用意したクルマはWLTCモードが公表されているカローラスポーツ(1.2Lターボ)、フォレスター(2.5L NA)、クラウン(2.5ハイブリッド)の3台だ。各車のWLTCモード燃費は以下の通り。
【テスト車両WLTCモード燃費】
・カローラスポーツ:12.9km/L(市街地)、18.2km/L(高速)、16.9km/L(郊外)、16.4km/L(複合)
・クラウン:17.2km/L(市街地)、20.9km/L(高速)、20.8km/L(郊外)、20.0km/L(複合)
・フォレスター:17.2km/L(市街地)、20.9km/L(高速)、20.8km/L(郊外)、20.0km/L(複合)
走行は通常の感覚で走行することを心がけ、走行モードは全車最もエコなモード、エアコンは25℃に設定した。
まずは市街地コースのテストだ。試験当日は雨がぱらついており、交通量も多かった。市街地ゆえ、赤信号による停止や交差点付近での渋滞でアイドリングの時間が増える。
また都心の山手通りではアップダウンが目立ち、エンジンが多く回転するシチュエーションも目立った。
走行中、クラウンを担当する編集部梅木からレシーバーで「クラウン、リッター18km出てますが、そちらはどうですか?」という連絡が入る。
カローラスポーツもフォレスターもリッター10km前後だったため、倍近い差に驚く鈴木氏と編集松永。
WLTCモード燃費に対する達成率は、カローラスポーツは85%、フォレスターは90%、クラウンは102%と、WLTCの数値を上回った。
■高速道路はフォレスターがWLTCモード達成
次のテストは高速道路コースだ。高低差はあるものの、そこまで急激ではなく、流れにのって一定速度で巡航できた。
フォレスターとカローラスポーツは市街コースと比べて燃費がかなり改善。クラウンはエンジンで走行するシチュエーションが増えたため、市街コースからの燃費改善は2km/Lにとどまった。
対WLTCモード燃費達成率は、カローラスポーツは97%、フォレスターは100%、クラウンは94%となった。
ここまではWLTCモードの燃費と実燃費の差は小さい状況だが、郊外だとどうなるのか。郊外コースは信号と信号の間の区間が長く、制限速度いっぱいで巡航できた。
標高差はあるものの、なだらかなアップダウンのため、比較的エンジンへの負担が少ない。試験中、クラウン担当の鈴木氏から「クラウン、リッター28km出てます」との報告が。
一同、トヨタのハイブリッドシステムの燃費に改めて感心する。カローラスポーツ、フォレスターもこの条件は得意なようで、高速道路コースに近い燃費を叩き出した。
対WLTCモード燃費達成率は、カローラスポーツは99%、フォレスターは97%、クラウンは117%となった。
参考として、熊谷さくら運動公園から都内文京区の編集部までの帰宅ルートについても報告したい。
花園インターから関越自動車道に入り新座料金所まで進んだあと、一般道を進み文京区音羽にある講談社ビーシーまでの約83kmの道のりだ。
高速道路の区間は35kmとテストルートより長いほか、高速道路を降りたあとも郊外コースに近い道路状況だ。
このような条件の違いもあり、結果として、3台ともWLTCモードの数値より高い燃費でゴールした。
WLTCモード燃費の達成率は、カローラスポーツは103%、フォレスターは116%、クラウンは107%となった。
■WLTCモードの今後と各社の対応策
テストを終えて、鈴木氏はこう総評する。
「今回テストしてわかったけれど、WLTCの数値は実走行にかなり近い値。我々、特別なエコランをしていないわけだから。
もちろん、ドライバーによって燃費は変わるけど、全ドライバーの中央値に近い燃費数値と思っていい。WLTCが導入されて新しい規定が決まったから、今後はこの規定に合わせて自動車も進化するでしょう。
自動車メーカーによって得意不得意があるけど、不得意なところを補っていくことになるよね。日本はWLTCのエクストラハイ(最高速度130km/h程度の高速走行)モードがないから、市街地モードの比重が大きい。
そこに圧倒的に強いソリューションを持つのがトヨタ。海外ならエクストラハイの燃費を上げてトヨタに対抗すればいいけど、日本ではそれができない。
トヨタと戦うには、他のメーカーは市街地の燃費を上げていかなきゃいけないということになるね。
市街地はエンジンを止めないと燃費はよくならない。アイドリングストップはアイドリングストップ機能がないクルマに比べて燃費が10%くらいよくなるんだけど、ハイブリッドはエンジンを停止しながら走れるからさらに燃費に効く。
海外メーカーがこぞって採用している48Vのハイブリッドシステムについては、簡易型のハイブリッドシステムだから燃費がメチャクチャ上がると思ったら間違い。
スズキのように全車標準化してベースの底上げに使うもの。トヨタの人は『48Vは費用対効果が悪すぎるからやらない』と言っている。
全車電動化が義務付けられたら安いクルマに採用するかもしれないけれど、お金がかかるわりに効果が少ないとの考え。
ヨーロッパはトヨタにかなわないから48Vに全力投球するわけなんだけどね。トヨタのハイブリッドシステムに正面から対抗しているのはホンダだけど、i-DCDやめるらしいね。
やっと熟成したのにもったいない。むしろe-POWERのほうがトヨタの足元を崩せるかもね、凄く安いシステムだから。
特許の問題がクリアできれば真似するメーカーも出てきそう。あと気になるのは、今後増えてくるEVやPHEVの燃費測定ルール。
電気の充電状況で燃費の値は大きく変わるから、そのあたりのルール整備が今後の課題だね」。
今後はWLTCモードにおいては仕向け地向けのプログラムを組んでくるメーカーもあるのかもしれない。特に日本のやや特殊な交通事情では輸入車勢は厳しい戦いになりそうだ。
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