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復活せよ! ステーションワゴン──【第1回】いま、SUVやミニバンではなくワゴンを選ぶ理由とは?

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復活せよ! ステーションワゴン──【第1回】いま、SUVやミニバンではなくワゴンを選ぶ理由とは?

ステーションワゴンの魅力とは何か? 広い荷室がウリであることはわかるけれど、それだけならSUVやミニバンもある。現代におけるステーションワゴンの存在意義を考えるにあたって、このスタイルの歴史に立ち返ってみたい。

クルマは馬車の後継であるから、馬車で使われた呼び名が継承されるケースが多い。たとえばステーションワゴンというのは駅馬車のことで、鉄道ならぬ宿場の駅と駅を結ぶ定期運行される交通手段である。屋根付きで人と荷物を運び、駅に着くとそこが目的地の荷物は人は降り、新しい荷物と人を積んで、次の駅に向かう。駅では馬と御者も交代したり休む。フランスなどでは「オテル・ド・ラ・ポスト」という名のホテルがいまでもしばしばあるけれど、あれは郵便(ポスト)馬車の駅の宿泊・休憩所の名残りである。

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ブレークはボディのないフレームだけの馬車をもともとは指した。シューティングブレークは銃や猟犬を積んで狩猟(shooting)に出かけるために仕立てられたブレークのことで、さすがにボディを持つが、狩猟用の屋根のない馬車のことであった。また、エステートとは領主がじぶんの領地(estate)を見まわるための馬車だ。

馬車からクルマの時代に変わり、現在ではステーションワゴンも、ブレークも、シューティングブレークも、エステートも、荷室を広くとったスタイルの乗用車の呼称として使われているのはご存じの通り。このスタイルは、1910年代のT型フォードにもある。クルマが普及する初期の段階から存在しているのだ。

日本では、1990年代にステーションワゴンが大ブームとなった。これはアウトドアブームやバスフィッシングブームとリンクした流行で、ステーションワゴンは、広い荷室に遊び道具を満載して出かけるためのクルマだった。同時に、「あの人、ちょっといい趣味持っているんじゃない?」というような、ライフスタイルを表現するための道具でもあった。

とはいえ、クルマは世につれ世はクルマにつれ。時代とともに、クルマの役割は変わっていく。2018年現在、遊び道具を満載して出かける、またはそんなライフスタイルを表現する役割は、SUVに取って代わられた。

現代のステーションワゴンに求められるのは、かつてのシューティングブレークのような役割だ。つまりは、スタイリッシュでパーソナルな雰囲気があり、スポーツクーペのようによく走る紳士のための贅沢な遊びグルマだ。

シューティングブレークは用途が用途であるだけに大量生産されることはなく、コーチビルダーと呼ばれるボディ工房で1台ずつつくられるケースが多かった。4ドアのモデルをベースにすることもあったけれど、1910年代はロールス・ロイスやベントレーの2ドアモデル、1950年代以降もアストンマーティンDB5やジャガーEタイプなどの2ドアクーペが主流だった。

なぜなら、クーペのほうがよりパーソナルで贅沢な乗り物だったからだ。贅沢な遊びに使うクルマなのに、「後席にもドアがあったほうが便利ですから」なんていうのは野暮というもの。ちょっと不便なくらいが粋なのだ。

それに、シューティングブレークは2ドアクーペのように山道をびゅんびゅん走る性能があることも大事だった。運転それじたいにもスポーツの醍醐味を求める紳士のためのツールだったからだ。

現在のステーションワゴンは4ドアモデルが主流ではある。けれど、屋根が描く弧をエレガントにデザインしたり、あえて全高を引き下げたりして、2ドアクーペのようなフォルムを狙っている。実用性よりもカッコ重視であること、便利よりも粋を重んじている点は、かつてのシューティングブレークと同じだ。

それから、山道をびゅんびゅん走るのにふさわしいパワーと操縦性を備えている点もシューティングブレーク的である。

車高が高くてがっちりしているSUVは、動物にたとえればイノシシだ。一方、低くて美しく、俊敏に走るステーションワゴンはチーターだ。いま、たくましいイノシシのほうが人気であるのは間違いない。

でも、目を閉じて想像してみてほしい。イノシシであふれかえった草原に、艶やかな毛並みの一頭のチーターが現れるシーンを。ゴツいSUVが隆盛するいまこそ、ステーションワゴンが鮮烈な印象を残すのである。

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