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業界ニュース 2018.11.5

欧州の自動車メーカーがディーゼル排ガス不正に手を染めた本当の理由

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 コストと手間を惜しみ燃費と動力性能の両立が難しくなった

 フォルクスワーゲンのディーゼル排ガス問題を発端に、ディーゼルエンジン車の排ガス対策が話題となった。そして、VWもアウディも関係者が逮捕されたり罰金の支払いを命じられたりということが起きている。世界に名だたる自動車メーカーであり、信頼や憧れの高いブランドが、なぜそのような事態となったのか。

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 答えは比較的簡単だ。それは、ディーゼルエンジンが抱える根本的な課題による。

 1990年代に、二酸化炭素(CO2)排出による地球温暖化の抑制が社会に浸透し、クルマの燃費を向上させることが強く求められるようになった。

 そこで、トヨタは97年に世界初のハイブリッド車(HV)プリウスを発売した。そして、従来のガソリンエンジン車の2倍の燃費性能を実現したのである。一方、欧州では、ドイツを中心に欧州のとくに高速での長距離移動において、HVは必ずしも有効でないとの評判であった。プリウスが、燃費向上を主目的に作られたHVであったため、走行性能に不満があったのだ。

 しかしそこに、彼らの見落としがあった。たとえば、燃費をプリウスより少し落とすことをよしとしたトヨタのオーリスのHVは、のちに欧州でそれなりの販売台数を得ている。またVWの問題以後、欧州各自動車メーカーによるHVやプラグインハイブリッド車(PHV)への積極的な姿勢を見れば、電動化の効果は明らかだ。

 いずれにしてもHVは使い物にならないと判断した当時の欧州の自動車メーカーは、従来から小型車で使われてきたディーゼル車の直噴化など性能向上により、燃費をさらに改善しようと試みた。ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べ熱効率が高いことから燃費が良いエンジンと理解されている。また、ディーゼルターボを乗用車に採用し、上級車種にもディーゼルターボ車を波及させて売り上げを伸ばし、欧州市場の約半数がディーゼル車という状況を生み出した。

 ところが、直噴ディーゼルエンジンは、燃費が良くても排ガス浄化性能ではガソリンや、LPG(液化石油ガス)エンジンに劣る。理由は、燃費を良くすればするほど燃焼温度が上がり、窒素酸化物(NOx)の排出が増える。逆に、NOx排出量を減らそうとして燃焼温度を下げると粒子状物質(PM)の排出が増えるという、背反する排ガス性能を有するのである。ガソリンエンジンでも、直噴化した場合はPM排出の懸念が生じる。

 そこで、PMを処理するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)を装備することにより、燃焼温度を下げNOxを減らそうとしたが、それでは圧倒的に燃費性能を上げるのが難しくなる。つまりHVに負けてしまう。燃費を向上させながら、NOx触媒をDPFと併用しながら排ガス浄化を行おうとしたが、NOx除去には限界があった。

 NOx除去に効果的なのは、尿素SCR(選択触媒還元)と呼ばれる触媒の装着にある。日産ディーゼル(現在のUD)や、ダイムラーは、はやくから尿素SCRの採用に踏み切ったが、フルラインアップ(小型車から高級車までを扱う)自動車メーカーは、躊躇した。尿素SCRを取り付けるコストと、尿素を定期的に補充する手間を惜しんだのだ。さらに、日本が世界をリードした新長期規制に準じるEURO6の排ガス規制へと基準が厳しくなると、なおさら排ガス浄化と動力性能の両立が困難になった。

 結果、モード測定による排ガス規制は達成できても、排ガス浄化を満たしながら実走行における動力性能の確保ができなくなった。そこで、市場で運転性能に苦情が出ないよう不正な操作が行われたと考えられる。

 電動化に踏み切るか、直噴ディーゼルターボエンジンを使うにしても尿素SCRを装着するかをしていれば、この問題は起こらなかった可能性は高い。技術の本質を見抜けなかったか、あるいはあえて見ないようにして目先の利益を追求した経営責任である。

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(WEB CARTOP 御堀直嗣)

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