アウディは機械学習(ML)を量産体制に応用することを決定した。アウディが開発を進めているソフトウェアはプレス加工において金属板に発生するクラックを認識し、自動でマークする。これらはすべて自動でなおかつ高い精度で行われ、一連のスキャンをわずか数秒で終わらせる。このプロジェクトを通じてアウディは人工知能技術を社内の様々な現場に応用し、量産体制における品質管理に革新をもたらすことを目指している。
アウディが製造する車両の外形が複雑かつ洗練されたデザインになり、また同時にアウディが定める品質基準が高まる中、同社はプレス工場において加工後すべてのコンポーネントをすぐに検査するようにしている。従来は従業員による目視確認と、画像認識ソフトを利用した内視鏡検査でクラックを見つけていたが、近い将来これらがすべて機械学習(ML)を応用した検査方法に代わる。新たなクラックチェックソフトは微細なクラックまでも見つけ、適格に場所をマークする。
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「現在、インゴルシュタットのプレス加工工場において自動検査機の量産ラインへの導入に向けた試験を行っている。自動化されることにより従業員による検査を大幅にサポートするだけでなく、アウディが目指す現代のスマート工場の実現に向けた重要な一歩を踏んだことになる」と装備・成型技術センターのトップJörg Spindler氏は言う。
アウディが導入を進めているシステムはディープラーニングをベースとしており、画像などの高次元なデータを大量に一度に扱える。開発チームはこの数か月、数百万枚の画像を用いて開発ソフトの動作を確認していた。開発で大きな山場となったのは大量の画像データのデータベース化と、所謂画像の「ラベリング」化であった。開発チームが与えたサンプル画像ではクラックがピクセル単位にまでマークされていた。これらの努力が実り、今やソフトが自動で微細なクラックをチェックできるようになり、また今までソフトが見たことないようなクラックも検知できるようになったのだ。数テラバイトにも上るデータベースはすべてアウディのインゴルシュタット工場の7台のプレス機といくつかのフォルクスワーゲンの工場で得られたものだ。
「人工知能と機械学習はアウディのミライの技術のカギとなっている。この二つの開発や応用を進めることでアウディの高度デジタル化は持続可能なものになるだろう」とアウディAGの最高情報責任者(CIO)のFrank Loydl氏は言う。「この横断的なプロジェクトで、我々は自動品質検査ソフトを量産体制に導入できるレベルまで引き上げてきている。業界内では前例のないものだ」
同ソフトウェアはコンセプトから試作まですべて自社開発で進められている。2016年中ごろからアウディITのイノベーション部門は量産技術部門と協力し開発を進めている。将来的には、すべての品質管理作業が現在のスマートカメラを使用した目視確認から機械学習を用いたものへと代わるだろう。
従来の方法はかかる労力が大きい:ドアやボンネットからフェンダーまで、内視鏡をすべてのコンポーネントの隙間から通さなければならなかった。それだけでなく、画像認識プログラムがパーツにあたる光やパーツの表面粗さに影響を受けやすく誤判定を起こすことも少なくなかった。また、将来的にはアセンブリ現場や塗装工場など、プレス加工品の検査だけにとどまらず様々なコンポーネントの検査もAI/機械学習を使って自動化できる。
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