■プリウスが知らしめた小さなシフトレバー EVはさらに変化?
頻繁なシフト操作が必要なMTと比べ、ATは運転中にさほどシフトを動かすことがありませんが、一般的にはMTのシフトレバーと同じようなレバーが付いています。
最新スポーツカーは「AT」でボタン式が当たり前?「スポーツ=MT」はもう古い?
日本において、この状況を変えたのが「プリウス」。初の量産ハイブリッド車(HV)として1997(平成9)年に発売された初代は、ハンドルの根本(コラム)から伸びるシフトレバーでしたが、2003(平成15)年発売の2代目から、指先で軽く操作ができる「エレクトロシフトマチック」を採用し、いまに至るまで踏襲されています。指先で操作する小さなシフトレバーはこれ以前から存在しましたが、プリウスで一気に広まったといえるでしょう(以後、このタイプを「プリウス式」と呼ぶ)。
サイズやデザインこそ異なってくるものの、プリウス式に準じた操作性を持つシフトノブは、ほかのメーカーも取り入れています。ホンダのHVモデルなどに見られるほか、マツダも「アクセラ」にHVを投入するにあたり、専用シフトノブを新規に開発し採用しています。
日産では電気自動車(EV)の「リーフ」に丸い小さな山型のシフトノブを採用。これは現行の2代目にも受け継がれているほか、ガソリンで発電する電気自動車(EV)である「ノート e-POWER」にも採用されています。ただこれも、基本的な操作はプリウス式と同様といえるでしょう。
とはいえ、HVやEVだから小さなシフトレバーが採用されるわけではありません。トヨタでもHV専用車種の「アクア」は、ガソリン車でよく見られるようなシフトパターンの長いレバー。HVとガソリン車との併売モデルでも、ガソリン車と共通のシフトレバーが採用されている車種が見られます。
日産「セレナ」の場合、「e-POWER」モデルも比較的大きなシフトレバーが採用されています。ただしガソリン車は上下にレバーを動かすタイプのインパネシフト、「e-POWER」はプリウス式の操作をするタイプです。日産によると、これは操作性を考慮したもの。「リーフ」や「ノート e-POWER」はフロアシフトの位置に丸い形状のシフトノブを採用していますが、インパネシフトの「セレナ」では、やや大きなもののほうが操作しやすいというわけです。
■「未来感」演出? レバーもノブもナシ!
そして近年は、シフトレバーやノブそのものがないモデルも登場しています。
HVのみ設定されているホンダの現行「アコード」は、「D」も「R」も「N」も、さらにはパーキングブレーキさえも、それぞれコンソール部に設けられたスイッチで操作するタイプ。この方式は2018年発売の「クラリティPHEV」などにも採用されました。
新型「CR-V」では、ガソリン車はシフトレバー式のインパネシフトですが、HVは同じ位置で「アコード」などと同様のボタン式としています。「CR-V」のエンジニアいわく、その理由は「最先端なイメージがあるから」。米国では上級モデルを中心に、このほかの車種でもボタン式を採用しているとのことです。
ちなみに、メルセデス・ベンツなど輸入車でもシフトレバーが小型化しています。ベンツの場合、コラムシフトではあるものの、ウインカーレバーよりも小さいシフトレバーが多くの車種で採用されています。ウインカーと同じ感覚で操作できますが、ウィンカーを出そうとして誤ってシフトレバーを操作し、「N」や「R」レンジに切り替わってしまうケースも。操作に慣れるまでは注意が必要かもしれません。
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