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業界ニュース 2018.10.25

これがフラッグシップ?巨大かつ背高なハッチバック・スタイルを持つルノーの旗艦モデル「ヴェルサティス」に遭遇

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例年になく雨が降らず、奇跡的な晴天が続くベルリン。散歩の機会も自然に増えてしまいます。ドイツの首都ベルリンに移住してから、日本に導入されずに終わったクルマを見つけるのが日々の密かな楽しみとなっているのですが、今回もそんなクルマを1台ご紹介します。

見つけた時は思わず「でかっ!」と声を上げてしまった、かつてのルノーのフラッグシップモデル、ルノー・ヴェルサティスです。

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日本未導入に終わったヴェルサティス

ルノー・ヴェルサティスは、サフランの後継車種、そしてルノーの旗艦モデルとして開発された大型高級車です。ルノーのフラッグシップとしては、1960年代のルノー16、1970年代のルノー30、1980年代のルノー25、1990年代のサフランと続いてきて、2002年から2009年まで作られたのがこのヴェルサティスです。日本への導入計画はあったようなのですが、結局実現はしませんでした。この後はラティチュードが後を引き継ぎ、2015年には新たな旗艦モデルとしてタリスマンがデビュー。ただし、タリスマンも日本導入の機会はなさそうなのが残念ですね。

写真の個体は、2002年から2005年までに製造された前期モデルです。後期モデルはフェイスリフトが施されて、フロントグリルのクロムパーツがさらに減らされるなどの変更が行われています。通常フェイスリフトといえば、より何かを付け足して派手にするのが普通だと思うのですが、さらに地味でシンプルな顔に変更しまうあたりに、ルノーの主張が込められているように感じますね。サイドビューに貼られたバッジによると、搭載されたエンジンは3リッターV6のディーゼルエンジンのようです。ちなみに、ガソリンエンジンのトップグレードには、日産製VQ型の3.5リッターV6エンジンが搭載されていました。

巨大なハッチバック・スタイルの旗艦モデル

ヴェルサティスの最大の特徴は、個性的なデザインが生み出す独特のパッケージングです。ルノー初のアダプティブ・クルーズコントロールを備えた切り立ったフロントマスクに、フラッグシップモデルにも関わらず、のちのメガーヌ2を思わせるハッチバックスタイル。全長は4,860mm、全幅は1,860mmもありながら横置きエンジンのフロントエンジン・フロントドライブで、ホイールベースも2,840mmと長大です。さらに全高は1,577mmにも達し、広いホイールベースとFFレイアウト、高い天井によって広々としたキャビンとラゲッジスペースを確保しています。サイドビューは、まさに巨大なメガーヌ2といった雰囲気ですね。

ライバルとしては、ヨーロッパのEセグメントであるメルセデス・ベンツEクラスやBMW 5シリーズ、アウディA6、プジョー607などを想定していたようなのですが、まさに激戦区。保守的なデザインが好まれるEセグメントに、あえてこれだけ個性的なクルマを開発し、実際に市場へ投入してしまったのがルノーらしさと言えるかもしれません。残念ながら商業的には成功せず、2002年から2009年までの生産台数は62,201台でした。そのうちドイツに入ってきたのは5,380台と言われています。間もなく製造終了から10年が経とうとしていますが、どれくらいの数がドイツに残っているか、少し気になるところです。

デザインはパトリック・ルケモン

デザインを担当したのは、鬼才といっても過言ではないカーデザイナー、パトリック・ルケモン。そう、日本にもわずかながら輸入された巨大な3ドアクーペ、アヴァンタイムをデザインしたのも彼です。ちなみにアヴァンタイムはヴェルサティス以上に販売には失敗しており、生産期間は2年で総生産台数は8,557台、日本への正規輸入は206台とされています。従来のカテゴリーにとらわれることなく、挑戦的なスタイリングとパッケージの市販車を次々と投入していた当時のルノーはかなりエキセントリックな存在でしたが、2009年末にヴェルサティスが生産終了し、さらにパトリック・ルケモンが2010年に退社してからは、こうした姿勢は鳴りを潜めることになります。

ヴェルサティス(Vel Satis)の命名は、フランス語のVelocite(速さ)とSatisfaction(満足感)を合わせたもの。ベルサティスは、フランス車ならではのロングツーリング性能(速さ)と、フラッグシップモデルでも変わることのない実用性(満足感)を兼ね備えた、ネーミングに負けないクルマに仕上がっている、というのは言い過ぎでしょうか。とはいえ、商業的に成功しなかったとしても、メガーヌ2などの成功の足がかりを作ったことや、セグメントにとらわれず新しい価値観・パッケージングのクルマを作り上げた姿勢などは、評価すべき点と言えるでしょう。

ローレンス・ヴァン・デン・アッカーやカルロス・ゴーンが率いる現在のルノーにも、思い切ったデザインとパッケージングのクルマで、私たちを驚かせて欲しいですね!

[ライター・カメラ/守屋健]

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(CL 守屋 健)

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