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業界ニュース 2018.10.22

誌面に登場する「モデルさん」と編集者の関係の本当の話…自動車ライターへの大きな誤解

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新聞や雑誌など「紙媒体」の凋落については今さら指摘するまでもないが、そもそもの話として、紙かウェブかを問わず「商業媒体」そのものが、SNSやその他の「アマチュアが発信するメディア」の台頭により影響力を落としているように見える。

それについては「そうだね」としか思わないため特に言うことはないが、しかし同時に、「でも世間の人はいまだに商業メディアを、何かこう凄いものだと勘違いしているのでは?」と思わされることも多い。

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例えば「オンナとゼニ」が関係する話題においてだ。

誌面に登場する「モデルさん」と編集者の関係

他ジャンルのことはよく知らないが、自動車メディアでは誌面や画面にしばしば女性の「モデルさん」や「グラビアアイドル」、あるいは「美人自動車ライター」などが登場する。

そして彼女らにご登場いただくと、雑誌やメディアの発売後や公開後に、読者などからけっこうしばしばこう言われるものだ。

「で、やっぱり撮影後にヤッたの?」

……そんなことあるわけないではないか。何を言ってるんだ。

例えばモデルさんやグラビアアイドルさんで言うと、確かに彼女らは撮影現場に来て、見た目上は和気あいあいとした感じでシューティングを行う。

だがメインのシューティングが終われば、彼女らはジャーマネさんと一緒にとっとと帰っていく。ジャーマネ無しのピンで現場にいらっしゃる場合もあるが、そういった際は若手編集部員などが近所の駅までクルマで丁重に、すみやかにお送りする。

で、残った我々はカメラマン(たいてい男)と、「エンジンルーム」とか「荷室の使い勝手」「果たして実燃費は?」みたいな地味な写真群を、夕方ぐらいまで延々と撮り続ける。それが、一般的な自動車メディアのリアルだ。異性系の特権など特にないのである。

企画に登場してもらっただけで「付き合ってるの?」と

10年以上前だが、こんなこともあった。

当時わたしが編集長をしていた某輸入車専門誌に、クルマ好きであればたぶん誰もが知っている有名美人自動車ライターさんをキャスティングした。彼女の名前を仮にQさんとしておく。どんな企画だったか詳しくは忘れたが、Qさんには何らかのクルマにロケ撮影付きでご試乗いただいたと記憶している。

そして発売から約1カ月が過ぎた頃。その雑誌に広告を出稿してくれていた某プロショップに、わたしは別件の取材のため赴いた。すると、プロショップ社長はわたしに言った。

「こないだの誌面にQさん出てたよね? Qさんってさ、実は地元がこのへんでさぁ」

あぁ、そうなんですか。

「今もキレイだけど、昔から本当に美人でさ。オレ、好きだったんだよね。高校生の頃」

なるほど。そういうこともあるでしょうね。

「でも……伊達さんとだったらお似合いだと思うから、オレはそれでいいよ」

……は?

「付き合ってるんでしょ? 隠さないでいいよ。オレはもう諦めてるから。ていうか今じゃカミさんいるしさぁ(笑)」

わたしは社長に、もちろんQさんとは何もないこと。ていうか撮影現場に行ったのは編集部のスタッフであって、わたしではないこと。つーかただ出演してもらっただけなのに何言ってんだテメー! 的なことを丁寧にご説明申し上げた。

その車種をホメる記事を書けばメーカーはゼニをくれるのか?

これはさすがに極端なサンプルであり、しかも今とは時代背景が少々違う10年以上前のことだ。しかしこれに類する経験をしばしばしていると、「……人々は商業メディア内で仕事をしている人間の権勢や影響力を、いまだかなり過剰に見積もっているのではないか?」と思ってしまうのである。

や、「在京キー局のプロデューサー」みたいな人の場合は、もしかしたらそういうこともあるのかもしれないが(よく知りませんが)、少なくとも自動車メディアには、そのようなパワーはいっさいない。ただただ地味に、フツーに、むさ苦しい男所帯で「仕事」をしているだけなのだ。

ゼニについても同様である。

あるクルマをホメると、後日にしばしば、下記のようなネット上の陰口を叩かれる。

「くだらねえ提灯記事書きやがって。コイツ、○○○社からいくらもらったんだ?」

その方が「くだらねえ提灯記事」と感じてしまった点については不徳の致すところと反省したいが、「○○○社(←自動車メーカーやインポーターの社名)からいくらもらったんだ?」に関しては聞き捨てならない。

たしかにいくらかのゼニはもらっている。

だがそれは、その原稿を発注してくれた出版社や情報企業などからの「原稿料」でしかなく、トヨタでも日産でもボルボでも何でもいいのだが、そういったところからは一銭たりとももらっちゃいないのである。

というか「むしろくれよ!」とすら思う。

何かのクルマを原稿内でホメると後日、そのメーカーやインポーターから「ありがとうございました」というメッセージとともに数万円が振り込まれる。原稿料以外に。

あるいはメーカーやインポーターの本社に呼び出され、何事かと思えば「○○という弊社のモデルをメディアで定期的に持ち上げていただければ、毎月XX万円の顧問料的なアレをお振込みします」と内々に打診される。

……素晴らしいじゃないか。そんな話がもしもあるのであれば、ぜひやりたい。絶妙な提灯をカマしてみせるので、どうかわたしにお任せいただきたい!

しかし残念ながら、そんな話はどこにもない。

今や自動車ライターに「特別な影響力」はない

「でもそれはお前が無名の三文自動車ライターだからであって、もっと有名な連中はそんな感じでやってんじゃねえの?」

そうおっしゃる人もいるだろう。だが残念ながら、そういった事実もない。

いや、超々雲の上のほうにいらっしゃる、ごく一部の超絶有名評論家さんとかが何をやってらっしゃるかは、わたしは知りませんよ。あまりにも縁がなさすぎて。

しかしごく普通ぐらいに有名な、クルマ好きなあなたが各メディアでしょっちゅう名前と顔を見かけている書き手さんたちは、わたしの知る限りでは「原稿料のみ」でやっている。何らかのクルマをホメたところで、アディショナルなゼニは発生しないのだ。

まぁたまにメーカー直の何らかの「講師」みたいなことをして、そのギャラが結構良かった……みたいな話はあるかもしれないが(詳しくは知りませんし、そうだと言ってるわけでもありません)、せいぜいその程度だ。

メディアの編集部員がモデルさんたちに対して特別な影響力を持っていないのと同様に、自動車ライターの影響力も――仮にそこそこ有名な人であっても――読み手が邪推しているほどのものではぜんぜんないのだ。残念ながら。

ということで、このあと1本●万円の激安原稿料にて某車をホメちぎらねばならないため(本当に良いクルマだった)、わたしはちょっと忙しい。それゆえ本日はこれにて失敬する。御免。

[ライター/伊達軍曹]

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