■運転の仕方そのものが燃費にもっとも影響
最近はハイブリッドシステムを搭載したモデルや、ディーゼルエンジンを搭載したSUVが多くなってきました。しかし、そうではないモデルも多く存在します。特にDセグメント以上のSUVは車重が重めで、ラダーフレームやリジッドアクスル式サスペンションを採用しているクロスカントリー4WDは、2t越えも珍しくありません。
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さらにこうした車両は大排気量エンジンを搭載しており、巷では「ガソリンをバラマキながら走る」などと揶揄されることもあります。痛いのはユーザーで、大型SUVは燃料タンクも大容量で、満タンにすると1万円を確実に越えてしまいます。
何とか燃費を改善したいと考えているSUVオーナーも少なくないのではないでしょうか。最近では「燃費を改善する」と謳っている様々なカーグッズが販売されていますが、今回はSUVのメカニズムの中で、燃費を改善するテクニックを検証していきましょう。
さて、もっとも燃費に影響するのが、運転の仕方そのものです。急が付かなくとも、ストップ&ゴーの連続は燃費を一気に悪くします。市街地で燃費が悪いのはそのせいです。だからと言って、エンジン回転数を抑え気味にして、ゆっくりと加速していくのは、実は効率的とは言えません。
巡航運転では別ですが、停止状態からの加速の場合、慣性が働かないためそのクルマの車両重量分だけエンジンが仕事をしなければなりません。皆さんは「パワーバンド」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。パワーバンドとは、エンジンが最も効率よく力を発揮できる回転数帯のことです。
これは車種カタログのスペック表を見ると分かるのですが、最大トルクを発生する回転数を下限とし、最高出力を発揮する回転数が上限となる「帯」です。例えば、最大トルクを3000rpmで発生するエンジンであれば、それ以下の回転数でゆっくりと加速すると、かえって効率が悪いわけです。重いSUVほどパワーバンド内で素早く加速し、できるだけ早く法定速度内で巡航した方が燃費は良くなります。
高速道路では、巡航速度が高燃費のカギとなります。ご存じの通り、多くのエンジンは80km/hで最も効率がいいように設計されていますが、輸入車の場合はそれが70km/hだったり、90km/hだったりと多少前後します。愛車が、70から90km/hのどの速度で高燃費なのか、見つけるときっと気持ちよく走れるでしょう。
■ハイブリッドじゃないガソリン車も燃費に影響がある「発電」
燃費に影響を与える様々なメカニズムの中で、意外と忘れがちなのが「発電」です。ハイブリッド車やEVに関わらず、エンジン車でも電力を消費しすぎると燃費が悪くなります。クルマにはオルタネーターという発電機が搭載されており、走行中は発電し、走行に必要な電力をリニアに供給し、同時にバッテリーを充電しているのです。
ドライブの時には、実に多くの電力を消費します。クルマの制御を司るECUや電子デバイス、ヘッドライトやウインカー、補機類の作動、さらにはエアコンやカーAV、デジタルガジェットへの充電などなど。特にエアコンがフルに稼働する夏場は、家庭同様に電力消費が激しくなります。10・15モード燃費で換算すると、夏は冬よりも最大約25%も燃費が悪くなると言われています。
電力消費が激しいと、バッテリーがカラにならぬようにオルタネーターが仕事をし続け、結果としてエンジンの動力が余分に使われて燃費が悪くなるわけです。では、どうしたら電力消費を抑えることができるでしょうか。
まずはエアコンの温度設定に気を配ります。最近のエアコンはフルオート化され、車内温度をモニターしながら設定温度に合わせて動いています。カルソニックカンセイが発表したデータによれば、国産車では設定温度25℃、欧州車では22℃設定が最も燃費効率がいいということです。 燃費を良くしようとそれ以上に設定してしまうと、かえって効率が悪くなってしまうのだとか。クルマに乗る前、車内に溜まった熱気を逃してやるというアクションも、低燃費に寄与します。
気をつけたいのは、オーディオの音量。あまり関係ないと考えがちですが、大きな音量を出すことはアンプに電力を多く送ることになります。適度な音量にすることも、燃費を改善するための第一歩です。
ちなみに自動車メーカーは最近、消費電力を抑えて燃費を向上させるために、ヘッドライトやリアのコンビネーションランプなどにLEDを使うことが多くなっています。では、市販品のLEDキットを使えば燃費も改善されるのでしょうか。
アフターパーツのLEDキットを販売する「株式会社ブレックス」にお聞きしたところ、変化はないとのこと。LED自体はハロゲンなどに比べて消費電力が少ないのですが、車種によっては消費電力削減によってECUが誤作動を起こす場合があるため、システム全体では交換前と同じ電力消費になるように造られているそうです。
■タイヤやホイールも大きいと燃費は厳しい
さて大型のSUVの場合は、装着されているタイヤ&ホイールサイズも大径です。モデルによっては、扁平率が低い20インチサイズのものを付けているSUVもあります。SUVのタイヤを持ってみると分かりますが、明らかに16インチくらいの乗用車のタイヤと比較すると、「重い」と感じるはずです。
できるだけ軽いホイールをチョイスし、転がり抵抗の少ないエコタイヤを装着するというのは、確実に燃費にいい影響を与えますが、非常に高価なのがネックです。現在履いているタイヤで何とか改善できないものかということであれば、空気圧を高めにするしかありません。
タイヤには指定の適正空気圧がありますが、許容空気圧というのは上も下も、幅が持たせてあります。特にSUVのタイヤは重い車重を支えるために乗用車用よりも頑丈に作られていますので、空気圧は3kgf/平方センチメートル近くまで入れることが可能です。
空気圧を高めにすれば、当然ながら転がり抵抗が減少し、それが燃費改善に繋がります。日本自動車タイヤ協会(JATMA)が試算したデータによると、タイヤの転がり抵抗を20%減らすと、燃費は約2%改善(寄与率10%の場合)できるとのこと。満タンで1万円のガソリン価格だとしたら、200円も節約できるわけですから、リッター2円引きよりもオトクということになります。
空気圧は、膨張率の関係で季節、気温によっても異なってきます。どれくらいエアを入れたらいいかは、自動車ディーラーに確認するのがいいでしょう。
ちなみにSUVのタイヤの場合、走行シーンに合わせて様々なタイプがありますが、ほとんど未舗装路を走らない、冬はスタッドレスタイヤに替える…ということであれば、「ハイウェイテレーン(H/T)」タイプが最も燃費がいいと言えるでしょう。
ハイブリッド車などのエコカーを見れば分かりますが、低燃費のカギとなるのは各部の「高効率化」です。エンジンはさることながら、各駆動系などの部材や構造なども十分に吟味され、高効率化を実現しています。
SUVの場合、その多くのパワートレーンが4WDというのがスタンダードです。ご存じの通り、4輪を駆動させる4WDは駆動力の伝達経路を考えてもパワーロスの多いメカニズムになっています。
■油脂類を変えると改善は見込める?
愛車の場合、根本的な構造や素材を見直すことができません。ですが、パワートレインの高効率化を進めることは「油脂類」によって可能です。そもそもクルマのエンジンや駆動部に油脂類が使われているのは、「冷却」「密閉」「洗浄」「防錆」以外に、「潤滑」という大切な役割があります。つまり滑らかに動くようにしているわけです。
ご存じの通り、エンジンオイルは多くの種類があり、高性能オイルと呼ばれている商品の中には、高出力化や省燃費を積極的に謳っているものもあります。実際、いいオイルを使うことは燃費改善に繋がるのでしょうか。神奈川県にある四輪駆動車専門店「ツインランド」の高松一也店長に聞いてみました。
「4WD車には、前後デフの他に、センターデフやサブトランスファーといったメカニズムがあります。その中にはそれぞれギアが入っており、さらにそれらをつなぐプロペラシャフトがあります。それらを駆動すると、そこでメカニカルロスが発生するわけです。オイルやグリースは、そのメカニカルロスを抑えるために重要。いいものを使うことによって高効率化し、併せて燃費の改善が望めます」とのことです。
同店では、パワークラスターという高分子タイプのオイルを、エンジン、デフ、ミッション、トランスファーに入れて高効率化を図っていると言います。
「エンジンオイルにいいものを使う人は多いのですが、意外と駆動系のオイルまでに高効率なものを入れる人は少ないですね。ですが、SUVやクロスカントリー4WDは、駆動系にも摩擦を少なくするオイルを使った方が低燃費につながりますし、低騒音化や走行性能改善も望めます」(「ツインランド」の高松一也店長)。
ちなみにすべての駆動系のオイルを交換するには3万円前後かかりますが、交換したほとんどのユーザーが燃費改善を実感しているといいます。多い時では約2割の燃費改善が望めることもあるようですから、決して高いランニングコストとはならないかもしれません。
最後はガソリンです。よく“レギュラー仕様のクルマにハイオクを入れると燃費が向上する”と謳っているガソリンスタンドがありますが、実際は変わりません。それぞれのエンジンが最高の性能を発揮するために使うガソリンのオクタン価が指定されているので、レギュラーにハイオクを入れてもエンジン自体の性能や効率が元以上にアップすることはありません。
ただし、ハイオク仕様の多い輸入SUVにレギュラーを入れてしまうと、かえって燃費が悪くなりますのでご注意ください。
今回はSUVの燃費改善について考えてきましたが、あまり燃費のことばかりに気を取られてしまうと、楽しくドライブできないのも事実。ガソリンを節約できるシーンでは抑えて、クルマの性能を発揮したいシーンでは使う。せっかくレジャー志向の強いSUVなのですから、たまには燃費度外視で走らせるのもいいのではないでしょうか。
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