バスやタクシーは多くの人が使う公共交通機関だ。だからこそそれらの車両を一般ドライバーは保護すべきである、というのは教習所で習っているはず。
しかし路上に出てみると「そんなこと習ったっけ?」かのようなふるまいをするドライバーが多い。バス停からバスが発進しようとしているのに追い越しをかけたり、危険極まりない状況をよく目にする。
「ひょっとして交通法規忘れているのか?」という疑いを持ちつつ、今回は改めてバスやタクシーにまつわる法律やマナーなどを振り返りたい。
文:永田恵一/写真:Adobe Stock
■絶対守るべし!! 忘れていそうなバス関連の法律
大前提としてバスやタクシーは乗客が利用料金を払って乗車している、公共性や路上での優先度が高い車両だ。
加えてバスはボディサイズの大きさや大型バスだと空車で約10トン、満員乗車なら15トン近い車重になる。当然だが運動性能が高い訳のない非常に動きにくい車両でもある。
近年そんなバスやタクシーに対する法律違反やマナーが、著しく低下しているように思う。いくつか具体的な例を挙げると
【バス停から右ウインカーを出して発進しようとしているバスに進路を譲らない】
乗客が乗降を終え発進しようとしているバスに進路を譲ることは交通法規にも明記されている義務である。
ところが実際の公道、特に混んだ都市部ではバスがバス停から発進しようとしていても進路を譲るクルマは少なく、優良ドライバーの協力かクルマの切れ目でようやくバスが発進できるという場面をよく目にする。
「速く走りたいからバスの前に行きたい」という心理だったり、「バス停に明確なスペースがないため追い越しもしにくい」なんて言い分もわかる。
しかし冒頭に書いたようにバスは定時運行を目指す公共の車両であるのを踏まえれば、自分が乗客だった時の気持ちも考えながら、やはりこういったシーンでは発進しようとしているバスに道を譲らなくてはならない。
ちなみにアメリカでは停止中のスクールバスが「STOP」というランプを点灯させている間は対向車も含めクルマは停止する義務がある(緊急走行中の車両の場合も同様)。
この義務はバスから降りた子どもたちが安全に横断できるように、という配慮なのだ。確認なしでバスの前後から横断のための配慮でもあり、非常に理に適った法規だ。
【バス停の前後の駐車】
バスが走っていない深夜早朝は除外となるが、バス停の前後への駐車はちょっと考えれば「バスの出入りがひどくやりにくくなる」のはわかるはず。
道交法でもバス停(バス停の表示柱)から前後10m以内は駐停車禁止である。たしかにそこしか止められないという場合もあるとは思うが、バスの運転手さんにとっては迷惑もいいところ。
■ルールではないけれど思いやりの気持ちで生まれるマナー
【バスへの急な割込み、進路妨害】
バスへの急な割込みは首都圏のあまりに過密な交通事情を考えれば、状況によってはやむを得ないケースもあるのかもしれない。
しかし冒頭に書いたようにバスは機敏に動けずブレーキの制動距離も長い点や、車内には立っている乗客もいることなどを考えれば、バスと事故を起こした場合の被害は非常に大きい。
このあたりを考えたら「バスと事故を起こしたら大変なことになる」というネガティブ思考でも構わないから、少しバスとスペースを作ってあげるべきだろう。ひいてはそれが自身の身を守ることにもなる。
また進路妨害というのはいささかオーバーな表現かもしれないが、特に2車線以上ある幹線道路などでバスの前を中途半端なペースで走るクルマのことだ。
バスは加減速に時間がかかる車両であり、ドライバーからすれば「加速も減速も進路変更も極力したくない」というのが理想だ。
幹線道路や高速道路でバスを見たら、ユックリ走りたいならバスの後ろに着くか、普通に走りたいというなら常識的な範囲で少しスピードを上げ、バスから離れるというのがお互いに安全で疲労も少ない気持ちのいいドライブにつながる。。
【交差点や横断歩道上でタクシーを止める】
流しのタクシーを拾う際やタクシーから降りる際に、交差点や横断歩道上で止めるというのは誰が見ても交通の流れを乱す行為である。
確かにタクシーを使う時というのは急いでいる、酒に酔っているなど、普段のように頭が回らないこともあるだろう。
しかしだからといって事故にもつながるのも含め交通の流れを乱していい訳はなく、利用者も少しでいいから配慮が必要だ。
「横断歩道の先の止まれるところで」なんて言えばドライバーも無理に交差点内や横断歩道で止まることはないだろう。
こういった配慮は、よく女性が「飲食店などで定員さんに横柄な態度を取る男性を見ると幻滅する」というのと対照的なカッコいい行為のひとつなのではないだろうか。
ここまで主にバスやタクシーに対するマナーの欠如を書いてきたが、ほとんどは法律とか運転技術以前の周りへの気遣いが基になることではないだろうか。
と考えると本当のクレーマーやブラック企業ではないが、日本人の民度のようなものが交通社会も含め低下しているのがとても残念である。
いずれにしてもバスやタクシーに対してだけでなく、いろいろな場面で子供の時に教えられる「もし自分が相手の身だったら」と考えるのを基盤に気持ちよく過ごせる社会にしたいものだ。
■【コラム】タクシーやバスにチャイルドシートが不要なわけ
バスやタクシーへの配慮やマナーとは少し脱線するが、6歳未満の幼児をクルマに乗せる際のチャイルドシートの使用が義務化されてから20年近く経ちながらも、タクシーやバスに幼児を乗せる際にはチャイルドシートの使用義務は道交法で免除される。
タクシーやバスがチャイルドシートの使用義務が免除される法的根拠は、不特定多数の人が乗るクルマのため、年齢によって異なるチャイルドシートの用意やチャイルドシートを置くスペースを確保するのが困難であるためである。
だがタクシーやバスの運転手全員がたとえプロの運転技術を持っていたとしても、もらい事故を受けない可能性はゼロではない。物理的に危険なのはマイカーとなんら変わらないのだ。
バスはともかくとして、ただでさえ少子化が深刻なこの日本で未来ある子供たちがタクシーに乗る時のために、チャイルドシートのあるタクシーが欲しいのも事実だ。
そういったタクシーも探せばあるのだが、数は少なく、かなり前に予約が必要など、利用しにくいのが実情だ。
タクシーのチャイルドシートの対応に関しては、数種類のチャイルドシートを車載したタクシーを若干走らせ、迎車で呼べるようにするのはどうだろう。
当然チャイルドシートそのものや運転手さんの手当、各種利用費も掛かるだろうが、そういったお金こそ税金で賄うべきではないだろうか。
考えれば赤ちゃんと家族が退院後家に帰るクルマがタクシー”というケースだって多々ある。なにか対応策が必要だ
(編集部註:陣痛時などに病院まで送り届ける「妊婦タクシー」というサービスは定着しているが、新生児対応のタクシーはなかなかない。
どうしても赤ちゃんとクルマで移動しなければならない場合は現状ではチャイルドシートにも転用できるベビーカーなどを購入し、タクシーに乗り降りする際に設置するしか方法がない。
JPNタクシーではISOフィックスようのアンカーや固定用のバーも標準装備しており、タクシーへチャイルドシートを搭載するのは可能だ)。
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