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業界ニュース 2018.10.12

軍用車から派生したと言われる「Gクラス」 実はカーマニアの国王の鶴の一声で誕生!?

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■時代を超えて魅了し続けている名車「Gクラス」誕生秘話

 機能性を優先したシンプルなボディデザインに、オールラウンダーとしての優れた性能、スリーポインテッドスターならではの高級感。クルマとしての様々な要素を内包するメルセデス・ベンツ「Gクラス」は、時代を超えて人々を魅了し続けている名車です。

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 現在ではレンジローバーと並んで高級SUVなどと言われるGクラス。一部のファンからは「昔のゲレンデヴァーゲンは良かった。元々軍用車なのに、こんなに豪華主義のクルマになってしまうなんて…」と言われることも。たしかに、時代と共にGクラスは高級化を推し進めてきましたが、決して戦場で戦うための機能性オンリーのクルマとして生まれたわけではないのです。

 Gクラスの原点、高性能なクロスカントリー4WDの企画がスタートしたのは、1972年のことです。当時、ダイムラー・ベンツ社の株を18%も所有するイラン・パフラヴィー朝のモハンマド・レザー・パフラヴィー王(パーレビ国王)の鶴の一声で決まったと言われています。パーレビ国王は世界的に有名なカーマニアであり、自国の砂漠地帯の国境警備や王族が狩猟に使う四輪駆動車を欲していました。

 大株主の意向により、ダイムラー・ベンツ社は開発を決めますが、長らく四輪駆動車を造っていなかったため、自社のみで早急に四輪駆動車を開発することは実質不可能でした。そこで大戦中に装甲車などを製造していたオーストリアのシュタイア・ダイムラー・プフ社と組むことにしたのです。

 両社は「GfG」という合弁会社を立ち上げて、開発に臨みます。開発にあたっては、優れた悪路走破性、高い快適性と安全性が主眼となり、これは新型Gクラスまで変わらぬDNAとなりました。このことからも分かるように、このモデルは決して軍用車としてのみ生まれたわけではなかったのです。

■アメリカ国内第一号はあの有名ハリウッド俳優

 1974年に最初の試作車が完成し、ドイツの炭田やサハラ砂漠、北極圏など厳しい気候の下でテストが繰り返されました。このプロジェクトには、イランへの納入という目的以外に、もうひとつの目標がありました。それはドイツ連邦軍が新たに採用しようとしていた、新世代の制式小型車両です。

 GfGが造った何台かの試作車は、軍部にも好評を博しましたが、もともと民生用のことも考えて造った車両のために製造コストが高く、結果的にはもっと簡素で安価なフォルクスワーゲン・イルティスにその座を奪われてしまいました。

 ドイツ語でオフロードカーを表す「ゲレンデヴァーゲン(ワーゲンとも発音)」と名付けられたその四輪駆動車は、当初から民生用を考慮していたため、ショートボディ・カブリオレ、ショートボディ・ワゴン、ロングボディ・ワゴン、そしてロングボディ・バンという4種類のボディタイプが用意されていました。

 そして1979年にこれらの量産が始まり、いよいよ納品という段階になって、なんとイランに革命が勃発。パーレビ国王と交わした契約は反故となってしまいます。ですが、ゲレンデヴァーゲンはすでに発売されていたレンジローバーと比べても完成度が高く、一般の市場で高い評価を得ることに成功します。

 GfGはこうして、メルセデス・ベンツのゲレンデヴァーゲンとプフ・Gという2つのバッジモデルを一般に販売し始めました。GfGは両車の市場でのバッティング避けるため、プフ・Gはオーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、ユーゴラスラビア、イギリス、アメリアで、それ以外の国ではメルセデス・ベンツのゲレンデヴァーゲンとして売ることに決めたのです。その取り決めは2000年を持って見直され、昨今はプフ・Gは全体の10%に留まっています。

 余談ですが、驚くことにアメリカでは2002年までメルセデス・ベンツからの販売なく、プフ・Gが導入されていました。そしてアメリカ国内第一号のプフ・Gは、オーストリア人俳優のアーノルド・シュワルツネッガーが乗っていました。

■軍用車として使われた実績…厳密に言えば市販車として誕生

 ドイツ連邦軍のコンペティションで敗れたゲレンデヴァーゲンですが、最初に制式化に踏み切ったのは、フォークランド紛争の準備を進めていたアルゼンチン軍。その後はドイツ連邦国境警備隊での採用を皮切りに、オーストリア軍、スイス軍、そしてNATO軍、国連軍、結果的にはドイツ連邦軍にも制式採用されることになりました。

 ちなみにゲレンデヴァーゲンの民生用は1979年に誕生した「W460」、軍用は1981年に生産が開始された「W461」と型式上でも区別されており、基本的なボディデザインは同じでも様々な部分で異なっていました。そして軍用車は「ヴォルフ(ウルフ)」と別な名前も与えられています。

 その後、GfGは解体となり、ダイムラー・ベンツ社が引き続き開発を、プフ社は下請けで生産を担当することになります。また1993年(日本では1994年から)モデル名の再編が行われ、ゲレンデヴァーゲンは現在のGクラスとなりました。1990年からW463に進化した同モデルですが、フルタイム4WD化やエンジン換装、トレッドサイズの拡大、AMGモデルの追加など、時代に即した高級クロスカントリー4WDの道を着実に歩んでいくのです。

 日本法人であるメルセデス・ベンツ日本の広報部に話を聞いたところ、「もともと軍用車では…というお問い合わせがありますが、厳密に言えば市販車として誕生しました。ただ、さほど登場年にタイムラグがないこと、軍用車として使われてきた実績から、軍用車のDNAを持った優れたクルマとしてご案内することもあります」ということでした。

 Gクラスは新型になってから、従来にないイージードライブ性能と安全性を身に付けました。さらに車内のゴージャス感もパワーアップしています。オンロードでの走りもシャープになり、クロスカントリー4WDということをあまり意識せずに乗ることができるようなりました。「あんなのはGじゃない」と嘆く向きもいるようですが、元々快適かつ安全にすべてのステージを走れるように造られたGクラスにとっては、新型はまさに正常進化の形と言えるのではないでしょうか。

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(くるまのニュース 山崎友貴)

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